「風にそよぐ草」 監督アラン・レネ
2012年 01月 27日
「アメリカの伯父さん」「恋するシャンソン」などで知られるフランスの巨匠アラン・レネが描く、初老の男女の運命的な恋の物語。歯科医のマルグリットはある日、引ったくりにあいバッグを持ち去られてしまう。駐車場の片隅に捨てられたバッグを拾った初老の紳士ジョルジュは、その中にあったマルグリットの小型飛行機操縦免許の写真を見てなにかを感じる。そうして知り合った2人はすれ違いを繰り返しながらも恋に落ちていくが、その関係は周囲を巻き込んで思わぬ方向へ転がり始める。主演は近年のレネ作品の常連、アンドレ・デュソリエとサビーヌ・アゼマ。(映画comより)ナンジャコリャ!でした。
出だしは上々だったのです。雰囲気のいい映像に音楽にナレーションに、フランス映画って素敵だなあ~岩波映画はやっぱりいいなあ~とホクホクしながらシートに身を沈めていたのですが、、、、
話の筋はこうです。ある日、初老の男ジョルジュは駐車場で赤い皮の財布を拾う。それは、引ったくられたバッグの中にあった歯科医マグリットのものだった。財布の中にあった小型操縦免許の写真を見て、ジョルジュは彼女に強いシンパシーを感じる。マグリットに会うことを断られたジョルジュは、彼女の家をつきとめ、ポストに手紙を入れたり、毎晩留守電にメッセージを残したり、果ては彼女の車をパンクさせたりする。
ジョルジュの心の声も妄想も全部ナレーターによって語られます。彼の奇妙な発言や周囲の人の彼への接し方から、私はてっきり、ジョルジュは(恐らく銃による自殺未遂から)脳障害を起こしている状態、と思いました。
やがて、彼と会うことを拒んでいたマグリットは自分からジョルジュに会いに行きます。ここで形勢はガラリと変わる。今度は、マグリットの様子がおかしくなっていきます。すわ、マグリットも脳に損傷か!
いやあ、これは「恋」だったのですねえ。恋をしている状態の男女を、脳障害と思い込んでしまった自分に愕然とします。失業中の夫が少しでも元気になるならと、妻はジョルジュがマグリットに会うことを後押しさえするし、有能な歯科医として患者の尊敬を得ているマグリットの毎日も単調なもの。二人の抱える寂しさは良く伝わってきました。
二人の切ない想いがようやく通じ合った時、ジョルジュのズボンのチャックが上がらなくなったり、大人の恋を89歳の監督は、滑稽に辛辣にシュールに描いてみせます。ラスト、コントロールを失った小型機にジョルジュの妻も同乗していたのは、熟年の恋は否応無しに家族を巻き込むという暗示なのでしょうか?
“二度目のFin”の前の唐突な母娘の会話も全くの意味不明。「ママ、猫になれば、猫のご飯が食べられるの?」だったっけな。私には理解不能だったので、この映画は「不条理劇」の引き出しに入れて置くことにします。それにしても、熟年が恋に走れば端からは脳の異変に見える、ということを今回恐ろしく認識しました。原題は、「狂った草」、こちらの方がピタリと来ます。
@岩波ホール
★次回は、ジェフリー・ディーバーの「死の教訓」です。
# by cuckoo2006 | 2012-01-27 14:31 | 洋画 | Trackback | Comments(0)
































