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「五十鈴川の鴨」竹西寛子[著]

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内容(「BOOK」データベースより)
淡い交りだった―静寂な川の流れに、生きては会えぬ人のおもざし。あたうかぎりの寡黙と忍耐にひめた原爆の影。

 
 

 こういう雰囲気の本を初めて読みました。七編の短編集、どのお話も人生の秋にいる主人公の何気ない日常と心情が綴られます。全編が淡く寂しく澄んでいます。

 一編目、タイトルの「五十鈴川の鴨」は、セミナーでふと知り合った建築家二人の十数年の淡い交流。語り手の男性の追想により、友人の孤高の生涯が浮かび上がります。二人で訪れた伊勢神宮、境内を流れる五十鈴川を眺めていた友人の心情を、男性は今になって知ることとなります、、、、

 ザワザワした日常は一切なく、ここには違う時間が流れています。心を尽くし、折り目正しく生きてきた、それぞれの主人公の纏う、静かに澄み切っている気配に引き込まれました。実は、一編目を読み、これは私には合わないなあ、と思いましたが、読み進むうち、背筋が伸びるような呼吸がゆっくりになるような気持ちになっていきます。

 どの物語も、日々の暮らしをあっさりなぞる筋立てですが、そこで交わされる人と人との心がきめ細やかに掬い取られます。私が一番好みだったのは、三編目の「くじ」。展示用のモデルハウスの抽選会へ向かうバスで隣り合った老年の男女。天気の話から始まった会話は家族の話になり、男性は、息子に女がいて、この申し込みは嫁へのせめてもの贈り物になれば、という思いを打ち明ける。女性は男性に、この日初めて暖かい視線を送る。女性が男性と再会した夢を見るところでお話は終わります。抑制の利いた二人の会話が印象的でした。

 年を重ねても、こんなふうに凛と達観した心境には至れるはずもありませんが、ガサガサ生きている日常を一瞬立ち止まるような気持ちになります。一度だけ参った伊勢神宮で、ひしひしと感じた“霊気”が、ページを捲っているうちに蘇ってくるようでした。著者竹西寛子さんは、1929年広島生まれです。


★次回は、映画「フライト」です。

by cuckoo2006 | 2013-03-19 20:02 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)
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