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カタルシツ「地下室の手記」演出前川知大

d0074962_1813698.jpg説明:語る室。イキウメのオルタナティヴ、別館を作ります。イキウメからはみ出したものをときどき、ここでやります。
第一回は、地下室でひたすら愚痴をこぼす一人の社会不適合者を描いた、ドストエフスキーの「地下室の手記」を演劇にします。 
世間から軽蔑され虫けらのように扱われた男は、自分を笑った世界を笑い返すため、自意識という「地下室」に潜る。
世の中を怒り、憎み、攻撃し、そして後悔の念からもがき苦しむ、終わりのない絶望と戦う元小官吏のモノローグ。
舞台は帝政ロシアから現代日本に。ネットのストリーミング生放送で、カメラに向かって理路整然と罵詈雑言。
地下室への訪問者に小野ゆり子を迎え、コメントにブチ切れるいい大人を、安井順平が実演します。(前川知大) 

原作 ドストエフスキー(光文社古典新訳文庫「地下室の手記」、安岡治子訳)
脚本・演出 前川知大
出演  安井順平 小野ゆり子
  
 
 

面白かった!これほど小さな劇場で芝居を観るのは初めて。赤坂レッドシアターの座席に着くと、手の届きそうな舞台に幕はなく、目に飛び込んでくるのは、両端に並べられた生活感のある大道具に小道具。ワクワク感に胸が踊ります。

 ふらりと登場して来るのは、主人公の男(安井順平)。ほぼ彼一人の独白で物語は進みます。彼の口から湧き出る言葉は、これまで関わってきた人間達への怒り、恨み、妬み、そして自己憐憫のオンパレード。

 “俺だって頑張ってきたんだ。この社会で生きていこうと。人間関係を作り上げようと。40歳までは。母親が死ぬまでは”

 しかし、ある時から彼は降りてしまう。世の中の邪悪で愚かな連中と対峙することを。日々屈辱にまみれて生きることを。そして、彼は、やって来た。世の中と隔絶したこの地下室へ。

 ここから、彼は、インターネットのニコニコ動画へ思いの丈を吐き出します。そこへぽつぽつと写し出される視聴者からの冷めたコメント。

 ヤダねー、こういう人は、と思いながらも、思い当たる感情、覚えのある行動に、溜め息まじりの笑いが込み上げてきます。

 “コンチキショーと思っている相手に、またニコニコと道を譲ってしまい、夜そいつに肩をぶつける練習をする”

 “指名した女のコに、自意識のカラを破れずキザな説教を続け、あなたの話って本を読んでるみたい、と指摘され傷つく”

 それにしても、ドストエフスキーの文学をこんな下世話な話にしていいのか?という疑問が湧いてきます。帰りがけに売店で原作を買ってみて驚きました。時代背景と設定は違えど、主人公の劇中のセリフとエピソードは、そっくりそのまま。

 ドストエフスキーが、帝政ロシアの時代に、まるで2chでの罵詈雑言のような文章を書いていたとは。巨匠は、2世紀を越えて人間の心の奥底を抉り出していたのですね。

 賢い人間の取るべき行動はただ一つ、なんにもしないことだ、と豪語していた彼。地下室からは絶対に出ないからな!が最後のセリフ。その彼の心の柔らかい部分も充分に受け取れました。人間って哀しいなあ、可愛いなあ、と美空ひばりの唄みたいな感想が沸いてきます。それぞれのツボでの観客の笑い声にも親近感。足取り軽く、心も軽く、劇場を後にしました。


@赤坂レッドシアター
by cuckoo2006 | 2013-08-11 15:40 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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