絵手紙に自作の都々逸を載せています。小説と映画の感想も。
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「そして父になる」監督是枝裕和

「そして父になる」監督是枝裕和_a0163466_1775310.jpg解説
是枝裕和監督が福山雅治を主演に迎え、息子が出生時に病院で取り違えられた別の子どもだったことを知らされた父親が抱く苦悩や葛藤を描いたドラマ。大手建設会社に勤務し、都心の高級マンションで妻と息子と暮らす野々宮良多は、人生の勝ち組で誰もがうらやむエリート街道を歩んできた。そんなある日、病院からの電話で、6歳になる息子が出生時に取り違えられた他人の子どもだと判明する。妻のみどりや取り違えの起こった相手方の斎木夫妻は、それぞれ育てた子どもを手放すことに苦しむが、どうせなら早い方がいいという良多の意見で、互いの子どもを“交換”することになるが……。2013年・第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、審査員を受賞した。良多を演じる福山は自身初の父親役。妻みどりに尾野真千子、斎木夫妻にリリー・フランキー、真木よう子が扮する。(eiga.comより)


 ちょっと冷静には観ていられないような、過去の未解決な感情が目を覚ますような、やっぱり凄い映画でした。

 赤ちゃん取り違え、という特異な設定のドラマなのですが、どこの家庭でも普遍的に見られる父と息子の関係が浮き彫りにされます。父親の息子に対する期待と失望、その失望を感じ取る妻の悲しみと怒り、幼いながらも父親の期待に応えようとする息子、、、どこにもいそうな家族の姿がありました。

 妻「たまには誉めてやってよ」、夫「ふたりで甘くしてどうするんだよ」
遠い昔に聞いたことがあるようなセリフも。野々宮(福山雅治)の妻(尾野真千子)に感情移入するところが多くありました。

 子供が取り違えられた、もう一方の両親は、小さな電器店を営む斎木夫妻(リリー・フランキー、真木よう子)。斎木家の子供たちは、野々宮家の息子・慶多とは正反対に、今のまんまのお前を丸ごと愛しているよ、というメッセージをシャワーのよう浴びて育ってきました。

 斎木が、野々宮よりも人間として男性として優れている、という話ではありません。けれども、子供が育っていくうえで一番大切なもの、それは、どんなお前であろうとそのまんまで価値がある、という肯定のメッセージを、斎木は頭で考える以前に全身から発信し続けてきたのです。それは、どんなに恵まれた環境であっても、お前は期待に添っていない、という無言のメッセージとは対極にあるものでしょう。

 野々宮が、義母(樹木希林)の助言を慇懃無礼に拒絶したり、斎木が、留守番している義父に、フードコートでカツカレーをお土産にしたりと、小さなエピソードでそれぞれの人となりを見せていきます。当たり前のことですが、大変な事態に直面していても、二組の夫婦はどこにでもあるような日常を生きています。自然でした。私は、野々宮と養母(風吹じゅん)の電話での会話が良かった。成人した子供との手本にしたいような遣り取りです。

 それにしても、慶多はどう見ても斎木さんちの子だよなぁ、あちらへ帰るのがこの子の幸せだなぁ、と思わせてしまうのは、見事な演出力です。愛するが故の期待、そして失望というメッセージを与え続けた息子でも、子供は無条件に親を愛するし、父親の期待に精一杯応えようとする。息子との別れに際し、初めてそのことに気づいた野々宮は、父としてまた人として再生したのでしょう。

 子供を交換するのか、今まで通りに育て続けるのか、、、最後は、どちらにもとれる結末です。私は、自分の中で二転三転しながらも、血の繋がりのある親の方へ帰るように思えました。「パパなんかじゃない!」と叫ぶ息子に、「パパだったんだよ。できそこないでも6年間お前のパパだったんだよ」という過去形の言葉からも、やはり息子と別れる時に初めて本当に彼の父親に成り得た、というふうに感じました。文句なし★★★★★作品です。


@TOHOシネマズ西新井
by cuckoo2006 | 2013-11-14 19:20 | 邦画 | Trackback | Comments(2)
Commented by きぬえ at 2013-11-20 08:45 x
是枝監督の”だれも知らない”には、打ちのめされました、、
そして、この映画も、観てみたくなりました、、、
Commented by cuckoo2006 at 2013-11-20 21:54
この作品も子供達が自然で大人の俳優達もそれを受けて自然な演技に見えました。ここ5年ほどで一番良かったです!
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