絵手紙に自作の都々逸を載せています。小説と映画の感想も。
by cuckoo2006
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「火花」又吉直樹〔著〕

「火花」又吉直樹〔著〕_d0074962_18384168.jpg
内容(「BOOK」データベースより)
お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。


 高校生の時、芥川賞作家の庄司薫さんにファンレターを出したお話を前にしました。私が今も高校生だったら、又吉さんにもきっとファンレターを出していたことでしょう。

 「火花」は、感想を書こうとすると何やら恥ずかしいことを口走ってしまいそうな本。本の帯には「この物語は、人の心の中心を貫き通す」とありますが、自分の奥底で眠り込んでいた何かが目を覚ます気配を感じました。

 「火花」から私が一番強く受け取ったものは、変わっていくことの悲しさ、でした。物語の中で十年の歳月が流れます。終盤近く語り手の徳永が、過ぎ去った日々の中、抱え込んできた恐怖と自負、そして同じ時間を共有した仲間たちへの思いを吐露する場面には胸が締め付けられました。永遠とも思えた“今”が振り返ればもう終わっていること。それに薄々気づきながら毎日を生きていること。読んでいる自分自身と物語が重なり合います。

 本を読み終わって私がした恥ずかしいこと。それは、所属している歌会の入会当時の顔ぶれと現在を比べてみたこと。気づかないうちに半分以上が新しいメンバーに変わっていました。十数年の時を実感しました。そんな感傷的なことをさせたのも、この本に心を揺さぶる力があったからでしょう。

 ココ好きだなあ、と思う場面が幾つもありました。徳永が神谷と初めて飲んだ花火大会の夜、帰り道に「次の電柱まで少しだけ走った」というところ。自分が駆け出したような既視感を覚えました。一緒になっていたずらをする神谷の彼女に「真樹さん、なんで手伝ってるんですか?」と抗議する場面では徳永の嬉しさが伝わります。それから喧嘩した相方と徳永が仲直りする公園のベンチのシーンも好きでした。

 けれども神谷の漫才の哲学は飲み込めなかったし、彼の面白さも最後まで理解出来ませんでした。これは難解な芥川賞の世界観と片付け、脇に置いてしまいました。

 変わっていくものは哀しい。でもその中で少しも変わらないものも、もっと哀しい。人の哀しみに寄り添うような物語でした。

by cuckoo2006 | 2015-08-27 08:35 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2015-08-27 09:38
そういえばブログのコメント欄にのメンバーも10年で全員変わったような気がします。
自分は変わらないつもりでも、読み返すと変わっているのです。
Commented by cuckoo2006 at 2015-08-27 21:00
saheiziさん
私が時々びっくりするのは昔、ずいぶん年取って思えた親の年齢を自分が越えてることです。
常連さんが変わっても店主変わらず、で頑張ってゆきたいですネ。
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