小説、映画、絵手紙、都々逸
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「劇場」又吉直樹〔著〕


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《演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った―。『火花』より先に書き始めていた又吉直樹の作家としての原点にして、書かずにはいられなかった、たったひとつの不器用な恋。夢と現実のはざまにもがきながら、かけがえのない大切な誰かを想う、切なくも胸にせまる恋愛小説。》

内容(「BOOK」データベースより)


期待は裏切られません。読み終わって何とも哀しい気持になりました。若い男女の恋愛小説なのですが、そこには男と女の、人と人との解り合えない生身の感情が充満しています。心が大きく動かされました。


物語は、主人公・永田が八月の午後、新宿から渋谷の人混みを朦朧と歩く描写から始まります。身体と心がバラバラのまま、自らの五感を実況中継していくような息苦しさ。壊れかかっている永田自身の感覚が皮膚を通して伝わってきます。


沙希との出逢いや会話のいくつかなどは既に又吉さんのエッセイで読んだことのあるエピソードでした。実体験の強みは伝わりますが、やはり新鮮さは薄れます。小説の中で最初に読みたかったと思いました。


沙希と暮らし始め、永田はギリギリのところで自分を取り戻します。けれども、次第に永田は沙希に依存していきます。又吉さんそのもののような永田という人間の、はらわたを晒すような独白が続きます。嫉妬とプライドの卑小さ、卑小さを隠そうとする傲慢さ。あまりの赤裸々さが快感なほどです。


私は女なので、こういう場面で男とはこんなふうに考えているのかと、目から鱗の部分もありました。


新聞の書評に「女性の描き方に現実感がない」という趣旨の意見がありましたが、私は沙希の感覚、行動に共感しました。沙希と同じような想いをした若い日の自分にも逢えました。限界を越えてしまった沙希の変わりぶりも真実でしょう。そして彼女の選んだ道は正しいものと信じます。


最初が素晴らしいと言いましたが、終わり方も成功しています。 
の最後には大きな違和感がありましたが、この本の結末は沁みます。泣けます。悲しさ、切なさ一杯に本を閉じました。



by cuckoo2006 | 2017-06-30 18:24 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)
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