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「海辺のカフカ」上・下 村上春樹〔著〕
またまた村上春樹。
村上氏の本の特徴は一部読者が「中毒症状」を起こすこと、とどこかで聞いたことがある。 私もどうやら今、抗生物質も利かない重症のようだ・・ 今年に入って、「アフターダーク」から始まり「ダンス・ダンス・ダンス」、「ノルウェイの森」、「海辺のカフカ」、「風の歌を聴け」、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」、「羊をめぐる冒険」と7冊立て続けに読んでしまった。 いったい何にそんなに惹かれるのか?つらつら考えてみますとー 主人公達が、静かな揺るぎない内なる世界を持っていること。周りに迎合せず淡々と自分のスタイルで生きていること。日常を街を人生を、まるで旅をするように送っているところ。 本を読んでいると、風に吹かれながら一本道をテクテク歩いて行くような感覚、が呼び覚まされる気がしてくるのです。 で、立て続けに読んだこの村上本のうち一番心の奥まで響いた1冊はというと、「海辺のカフカ」だ。 15歳の誕生日に「僕」は家を出て四国へと向かう。すべては世界で一番タフな15歳になるために。やがて図書館の片隅で暮らすようになった「僕」は・・・ 「15歳の主人公」、感情移入など出来っこない自分とはかけ離れた物語に違いない、とページを捲っていったのだが、これが瞬く間にグングン引き込まれた。 長い上下巻を数日で読み終えてしまった。 私は抽象的な観念の世界が入り混じるお話が大の苦手。 そんな単細胞の読者も根こそぎ取り込んでしまう春樹氏の才能、ただものじゃないと思う。 これを伝えたい、という物凄いクリアなメッセージを持ってることを感じた。 だけども悲しいかな、そのメッセージをしっかりこの手に受け留められたか、というと自信がない・・ 何しろ「変身」してしまう「カフカ賞」受賞作品だものなあ。 でも、この小説は極上である、ということは恐いほどひしひしと伝わって来た。 哲学的なやり取りをする図書館トリオ(カフカ少年、大島さん、佐伯さん)よりもナカタさんとホシノさんのデコボコ俗物コンビの方が私はずっと好きだった。 一番心に染みた人物は、中日ドラゴンズファンのホシノさん、もうゾッコン。 最新作「アフターダーク」の一つ前の長編小説、村上春樹がまた一つ大きく変化を遂げたと言われている作品。 海外でも同時発売され、米英でベストセラーになっているそうです。
by cuckoo2006
| 2006-06-13 18:04
| 村上春樹
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Comments(7)
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まさ尋
at 2021-11-25 13:05
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海辺のカフカに挑戦中。私の得意な飛ばし読み。1日100ページだ10日で終わる計画。最初の方でアレルギー出そうでしたがこれは文章ではなく音楽として読むと言い聞かせています。
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cuckoo2006 at 2021-11-25 13:25
まさ尋さん
「海辺のカフカ」、お読みですか! 聞かれてないのに言いますと、私の好きな村上長編作品のベスト3は、『ねじまき鳥クロニクル』、『スプートニクの恋人』、そして『海辺のカフカ』です。 「文章ではなく音楽として読む」とは、村上さんが聞いたら一番喜ぶ感想に間違いありません^^
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まさ尋
at 2021-11-25 20:07
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日本語の持つ奥ゆかしさや陰影やら省略の美学をとことん廃しているのを感じます。敢えて逆らっている感じがします。頑張って登頂します。
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cuckoo2006 at 2021-11-26 12:44
まさ尋さん
村上作品はやはり新しい文学なのかな、とまさ尋さんの感想をお聞きして思いました。 2012年に蜷川演出で上演された「海辺のカフカ」(@彩の国さいたま芸術劇場)を観に行きました。カフカ役は柳楽優弥で、佐伯さんは田中優子。この数年後、同じ蜷川演出で佐伯さんを宮沢りえが演じたようです。4時間弱の舞台でしたが観に行って良かった!と思いながら帰ってきたことだけ覚えてます^^;
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まさ尋
at 2021-11-27 10:35
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上巻を読み終わりました。読んだと言うより走ったと言う感じかな。猫殺しでやめなくて良かったです。今から下巻借りに行きます。こんなに読めるのが何か不思議な感じです。
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まさ尋
at 2021-11-28 10:40
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海辺のカフカ読了。読んだと言うよりマウンテンバイクで風を切って駆け抜けたと言う感じかな。
グシャグシャな話の中に出てくるそこだけ急にリアルな男女の絡みの描写がいやらしくなくさわやかでいい感じ。 最後の場面で警察に追われているはずの少年が平然と電車に乗ることなど突っ込みどころ満載。 上巻と佐伯さんやナカタさんが死んでからが長すぎてきつかったけど不思議と後味のいい作品。 章子さんのおかげで春樹ワールドに入ることができ感謝します。ありがとうございました。
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cuckoo2006 at 2021-11-28 12:49
まさ尋さん
自称ハルキストとしましては村上春樹を読んでくれた方にはお礼を言いたくなります! ところで、この『海辺のカフカ』は2002年に出た本。村上春樹の読者は、80年代作品のファンと90年代以降作品のファンにはっきり分かれるとのことで、私は典型的な後者グループです。村上作品の神髄は80年代の作品にあるとも言われているそうです。 本音を言うと、近年の長編作品は惰性で読んでるところがありますが、自称ハルキストとしてはやはり新刊を待ち遠しく思っております^^;
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