小説、映画、絵手紙、都々逸
by cuckoo2006
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カテゴリ
全体
本(日本のもの)
本(外国のもの)
海外ミステリー
村上春樹
邦画
洋画
舞台
えてがみどどいつ
3分スピーチ@話し方教室
エッセイ@文章教室
未分類
以前の記事
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
more...
最新のコメント
saheiziさん 親..
by cuckoo2006 at 11:10
近所の子供が話をしたこと..
by saheizi-inokori at 22:45
登山の後の車中のビールこ..
by cuckoo2006 at 13:41
この歌大好きです。山や海..
by まさ尋 at 10:01
まさ尋さん 旧中山道歩..
by cuckoo2006 at 21:45
突き出しつまんだ呑めない..
by cuckoo2006 at 21:34
飲めない人のことを考えな..
by まさ尋 at 07:49
今山の会で月1回旧中山道..
by まさ尋 at 07:45
saheiziさん 痛..
by cuckoo2006 at 01:19
ほんとに健康なときにはち..
by saheizi-inokori at 20:58
最新のトラックバック
2014年版:実力派若手..
from dezire_photo &..
修羅を脱け出せるのはデク..
from 梟通信~ホンの戯言
アントーニオは鬱で猿之助..
from 梟通信~ホンの戯言
イリュージョニスト
from 龍眼日記 Longan D..
武士の一分
from 映画や本を淡々と語る
mini review ..
from サーカスな日々
「手紙」東野圭吾著、読ん..
from 男を磨く旅
エジンバラ といえば
from エジンバラ?
チルドレン |伊坂 幸太郎
from ミステリー倶楽部
ブルー・リボン賞。渡辺謙..
from 芸能ニュース 速報ニュース ..
ブックマーク  (五十音順)
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


「草原の椅子」上・下 宮本輝〔著〕

d0074962_12475695.jpg
d0074962_1248313.jpg
『五十歳になり、さらに満たされぬ人生への思いを募らせる憲太郎と、大不況に悪戦苦闘する経営者・富樫。人の使命とは? 答えを求めるふたりが始めた人生という鮮やかな大冒険。』



宮本輝は、やはりベストセラー作家だ。
軽快に場面を展開し、読者を疲れさせず飽きさせず、長編小説を苦もなく最後まで読ませる腕は大したもの。

登場人物は、技術系サラリーマン遠間憲太郎と叩上げの経営者富樫、
人生の転換期を向え、それぞれに抱く閉塞感、ミドルエイジクライシス真っ只中の50歳の二人は、仕事を通して知り合い親友となる。

長年連れ添った妻と2年前に別れた憲太郎、一方、富樫は愛人と手が切れたばかり、
不思議に気が合うこの二人が、大阪の居酒屋で、故郷尾道へ向かう車の中で、夜の長電話で、愚痴と冗談まじりに人生を、この国を、語り合う。
その本音の一言一言に思わず耳を傾けた。日本人が見失った生きる姿勢に心根の持ち方・・どないなっとるんや、というボヤキに妙な説得力があった。

そして、子供の頃、父親が何かにつけて言ってくれた言葉、「考えあぐねたら寝ちまえ」に始まり、
チェーホフの手紙の文章「人生をむずかしく考えてはいけませんー」からナンシー・ウッドの「今日は死ぬのにもってこいの日だー」まで所々にポンポンと置かれた引用文にも立ち止まった。

やがて、彼らは何かを見つけ出すためにシルクロードのタクラマカン砂漠、そして遥かな高地にあるフンザへと出発する・・・そこで、憲太郎がする一つの決意・・・

宮本輝の小説に悪人が出てくることはまずないのだが、この物語も善意の人々で溢れ返っている。でも、登場する動物から子供まで何とも生き生きと健気なので、現実離れも心地良く読めてしまう。

胸に書き留めておきたいキラリとした言葉を幾つも見つけた。
例えば、あとがきで「おとな」をこんなふうに定義する―

「幾多の経験を積み、人を許すことができ、言ってはならないことは口にせず、人間の振舞を知悉していて、品性とユーモアと忍耐力を持つ偉大な楽天家でもある」
最後の「偉大な楽天家」がとてもいい。一番難しいことだと思う。

作者は、阪神淡路大震災で家を喪った後、半年間シルクロードを旅する。本書は、帰国後、1997年12月から1年間毎日新聞に連載された。

前回読んだ「神の子どもたちはみな踊る」の村上春樹も神戸出身。偶然にも村上氏と宮本氏の大地震のあとに書かれた作品を続けて読むことになった。

どちらも私のイメージの中で、他の多くの作品よりも明るく突き抜けた印象。
世の中を真っ直ぐに捉えた二人の作家の真摯な目にちょっとばかり感動もしました。
by cuckoo2006 | 2006-09-15 08:44 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://cuckoo2006.exblog.jp/tb/3803259
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 「マッチポイント」 監督・脚本... 「神の子どもたちはみな踊る」 ... >>