絵手紙に自作の都々逸を載せています。小説と映画の感想も。
by cuckoo2006
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
全体
本(日本のもの)
本(外国のもの)
海外ミステリー
村上春樹
邦画
洋画
韓国映画
舞台
えてがみどどいつ
折り込み都々逸
折り込み短・狂歌
狂歌(今年を振り返って)
絵手紙展
3分スピーチ@話し方教室
エッセイ@文章教室
児童文学
旧作再掲載
未分類
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
more...
最新のコメント
kepitaroさん ..
by cuckoo2006 at 18:23
この「保木間」という地名..
by kepitaro at 17:38
yumechiyanさ..
by cuckoo2006 at 20:34
こんばんは 少し早いで..
by yumechiyan at 20:50
tsunojirushi..
by cuckoo2006 at 15:26
私は「円」の単位が付くと..
by tsunojirushi at 11:59
wakuさんがおっしゃる..
by cuckoo2006 at 12:41
「つりだし」という決まり..
by waku59 at 08:37
まさ尋さん それはもう..
by cuckoo2006 at 14:27
まさ尋さん やはりそう..
by cuckoo2006 at 14:16
最新のトラックバック
ブックマーク  (五十音順)
タグ
(559)
(453)
(58)
(31)
(13)
(12)
(11)
(9)
(7)
(7)
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


「東京奇譚集」 村上春樹〔著〕

「東京奇譚集」 村上春樹〔著〕_d0074962_1412025.jpg出版社 / 著者からの内容紹介
『奇譚(きたん)とは、不思議な、あやしい、ありそうにない話。しかしどこか、あなたの近くで起こっているかもしれない物語――。話題の四作品に、書き下ろし『品川猿』を加えた、村上春樹待望の最新作品集刊行!』2005年発刊




村上春樹の文章を読む時は、つい前のめりになってしまいます。普段は無口だけれど、たまにその人が口を開くと、皆がぐっと身を乗り出して耳を傾ける。さて!今日はどんなこと言うのか?!私にとってそんな存在の作家です。

この「東京奇譚集」は、さらりと読めました。長編小説のように、読み終わってドシンと重いものを渡されたという手応えはなく、やや薄味。でも、やはり村上さんのフィルターを通した話を聴くことが出来た満足感がありました。

不思議な、でも周りになくもなさそうな五つの物語の短編集。作者が、知人に個人的に聞いた話、として紹介される第一話の「偶然の旅人」が、一番しっくりきました。長い間、ある事情から仲違いをしていた三十代の姉弟、偶然の出来事をきっかけに、弟が姉に電話する。その時、姉も自分の身に降り懸ったある事のために、弟に連絡をしようと思っていた。その日のうちに再会した二人は・・・。作者自身が顔を現して語り始めるこの話は、大いに思い当たります。普通に現実感がありました。

そして、「ハナレイ・ベイ」、「どこであれそれが見つかりそうな場所で」、「日々移動する腎臓のかたちをした石」、登場人物が淡々としている分、心の動きに共感しました。

最後の「品川猿」は、村上ファン好みです。若い女性が、ある悩みを抱え、品川区の区民相談室を訪れる。相談員と過去を振り返るうちに辿り着く一つの真実。そして、捕らえた「猿」は、遂にすべてを告白する・・・。これが、一番作者らしい作品でした。

五つの話とも作者の話す物語に、耳を澄ますように、すーっ読み進みました。
by cuckoo2006 | 2007-12-29 14:15 | 村上春樹 | Trackback | Comments(0)
<< 「転々」 監督三木聡 「対岸の彼女」 角田光代〔著〕 >>