小説、映画、絵手紙、都々逸
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「秋」3分スピーチ

皆さま、こんにちは。

先月「秋」というお題を聞き、私の頭に最初に浮かんだ事をお話しします。
それはまだ暑さの残る9月、ゼミ仲間男女5人で軽井沢へドライブした思い出です。

お金がない学生だった私達は、仲間の一人のお父さんの車で憧れの軽井沢へ向かいました。
はしゃいだ気分の私達は、車の中で秋の歌を一人ずつ歌う山手線ゲームをすることにしました。
一人ずつ秋の歌を歌い出し、続けて皆で合唱します。

♪今はもう秋~誰もいない海~~   
♪秋の夕日に照る山もみじ~~
♪うす紅の秋桜が秋の日の何気ない日溜まりに揺れている~~
♪小さい秋小さい秋小さい秋見つけた~~
 
5人でぐるぐる回るので秋の歌もだんだん尽きてきました。
すると仲間の一人がこんな歌を歌い出しました。

♪秋でもないのに人恋しくて寂しくて黙っていると~~

これはフォーク歌手・本田路津子さんの「秋でもないのに」というヒット曲です。

この歌について議論が始まりました。
「秋でもないのに」と歌っているのでこの歌は秋の歌には含まれないという派と、「秋」という言葉が入っているのだから秋の歌にカウントされるという派が激突したのです。
皆でギャーギャー言い合いました。

車内が険悪な雰囲気になった頃、車は軽井沢に到着しました。

40年前の軽井沢は、それはハイソな雰囲気でした。
金網越しに見たテニスコートには正田美智子さんと皇太子殿下の姿が浮かぶようでした。

有名な「万平ホテル」でお茶を飲もうなどと大きなことを言っていたのですが、私達がとても入れるような場所ではなく、普通のホテルでサンドイッチと珈琲を飲みました。
それでも当時の私達には目の玉が飛び出るようなお値段でした。

そして絵葉書を1セット買って皆で1枚ずつ分け合いました。
「軽井沢は空も雲も風も、もう秋です」と気取って書いたことを覚えています。

「秋でもないのに」が秋の歌なのかどうか今でも分かりませんが、
それは絶対に秋の歌ではない!とハンドルを握りながら言い張っていた男のコの顔を懐かしく思い出しています。

ありがとうございました。

♬♬♬ ♪♪♪ ♫♫♫ ♪♪♪ ♬♬♬ ♪♪♪ ♫♫♫ ♪♪♪ ♬♬♬

今日のハル
「絵手紙って美味しそうだなあ」
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# by cuckoo2006 | 2017-10-14 21:54 | 3分スピーチ@話し方教室 | Trackback | Comments(0)

祝!カズオ・イシグロ ノーベル文学賞受賞!!

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ[著] 土屋政雄[訳]


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内容紹介「自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点 。」

 久々の“一気本”でした。
 物語は、31歳になった介護人キャシー・Hが子供時代を過ごした全寮制の施設へールシャムでの生活を回想していく形で進みます。子供同士の仲間意識やちょっとした意地悪に喧嘩など、丹念な描写に馴染み深い感情が甘酸っぱく蘇ります。

 その一方で、教師を保護官と呼び、外界から遮断されたこの施設の実態はどういうものなのか?「提供」という言葉の意味するものは?そしてこの物語はどこへ辿り着くのか?読者に不吉な予感を感じさせながら、へールシャムの中で子供達は成長して行きます。

 そして、友人同士の親密さ、気まずさ、微妙な力関係や淡い想いなど、刻々と変化していく感情が息苦しいほど繊細に描かれていく。どれもこれも脈打つような描写に引き込まれました。

 1章進むごとに主人公達は、9歳、13歳、16歳・・と年齢を重ね、へールシャムの輪郭が次第にくっきりしてきます。この物語は一体どこへ行くのか?という興味が、グングン加速します。

 ラストは、やはりカズオ・イシグロでした。すべてが明らかにされた後、淡い余韻を残し物語は終わる。言ってみれば奇想天外なストーリーなのですが、主人公達が与えられた運命を淡々と受け入れていくところに、現実の社会に適応して生きるという意味において、自分に引き付けて感じられるものがありました。作者の巧さであり物語の哀しさでしょう。

 人と人との間にある“空気”を繊細に掬い取る描写とストーリーへの興味に、ページを捲る指が止まりませんでした。

(2007年8月9日掲載記事)





# by cuckoo2006 | 2017-10-08 18:02 | 本(外国のもの) | Trackback | Comments(0)

神無月「栗」えてがみどどいつ

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母の鼻唄聞こえるようなまな板斜めの傷がある

# by cuckoo2006 | 2017-10-05 16:32 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

神無月「コスモス」えてがみどどいつ

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鉄橋染めてく橙色へ少年野球の河川敷

# by cuckoo2006 | 2017-10-02 18:09 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「フロスト始末」上・下 R・D・ウィングフィールド[著]

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今宵も人手不足のデントン署において、運悪く署に居合わせたフロスト警部は、強姦・脅迫・失踪と、次々起こる厄介な事件をまとめて担当させられる。警部がそれらの捜査に追われている裏で、マレット署長は新たに着任したスキナー主任警部と組み、フロストをよその署に異動させようと企んでいた・・・・・・。史上最大のピンチに陥った警部の苦闘を描く、超人気警察小説シリーズの最終作。

(文庫本裏表紙より)

 

 「悪いニュースと悪いニュースがある。どっちから聞きたい?」

 ジャック・フロストは健在でした。ロンドン郊外にあるデントン署のフロスト警部は私のヒーローです。


「クリスマスのフロスト」から始まる6作のフロスト警部シリーズ。全作品が年末のミステリーランキング1位という超人気警察小説シリーズです。私が初めて読んだのは「夜のフロスト」。この本から海外ミステリー好きになりました。


馴染みの薄かった外国の推理小説が一気に身近になるほどジャック・フロストの個性は強烈だったのです。


フロスト警部と言えば、えび茶色のマフラーにヨレヨレのトレンチコート。そして連発するお下劣なジョークです。それは殺人事件の現場検証でも死体解剖室でも止まることはありません。


デスクの未決箱はうず高く、書類処理能力はゼロ。ガソリンの請求書の数字を6から8に書き換えるのも朝飯前です。


しかしこう見えてもフロスト警部は稀に見る人格者なのです。署の体面しか考えない上司は一切無視し、頭の中には一刻も早い被害者の救出と事件の解決しかありません。保身や出世への執着は皆無。それでいて容疑者も含めて弱い立場の者にはとことん優しいのです。


忙しさに悪態をつきながらもフロスト警部は猛烈に働きます。理想の上司とは言えませんが、同僚からの信頼は厚く、皆どんなに疲れていてもフロストのジョークに苦笑いで付き合っています。


今回は読み終わるのを少しでも伸ばすようにゆっくりページをめくりました。なぜならこれが愛するフロストとの最後の逢瀬だから。本作「フロスト始末」は2007年に亡くなっ著者R・D・ウィングフィールドの遺作となりました。


最終作でのフロストは史上最大のピンチに陥ります。経費のちょろまかしがマレット署長にばれデントン署を追われることになったのです。スキナー警部という新たな手強い敵も現れます。


そしていつものように立て続けに起こる事件。人間の足をくわえた犬が現れる一方、相次いで行方不明になる少年少女。異物が混入されたミルクが置かれたスーパーマーケットには脅迫電話があり、腐乱死体発見の一報が入ります。


マレット署長がいい恰好をし署員の大半を隣の署へ応援に貸し出したため、デントン署の人手不足は尋常ではありません。フロストには満足に寝る時間も食べる時間もありません。


そんなフロスト警部のもうお馴染みの大暴走が事件の解決に繋がり一人の被害者が救出されます。世相を反映するような残虐で救いようのない結末にもフロスト警部のくだらな過ぎるジョークは炸裂します。


カラッと乾いた空気に肩の力が抜けていくのが私にとってジャック・フロストの最大の魅力。フロストがいつか言っていたように、『山のような胸くそ悪くなる事件を前にして冗談を言うのは因果な仕事をいくらかでも楽にするため』でしょう。


とんでもない手口を使ってデントン署にもまんまと残れそう。フロスト警部のニンマリした顔で、シリーズは完となりました。


# by cuckoo2006 | 2017-09-20 13:38 | 海外ミステリー | Trackback | Comments(0)

長月「お玉」えてがみどどいつ

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砂を吐き出す浅蜊の脚が伸びて明日のお味噌汁

# by cuckoo2006 | 2017-09-12 15:58 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「私の好きな乗り物」3分スピーチ

皆さま、こんにちは。

今日のお題は、「私の好きな乗り物」。
私の好きな乗り物、それは鉄道を走る列車です。
旅行に行く時は飛行機でなく必ず鉄道を選びます。

長崎へ行った時は片道7時間を往復新幹線と在来線で行きました。
「飛行機で行かなきゃ時間が勿体ないじゃない」と良く言われます。
けれども私にとっては「飛行機で行くなんて勿体ない」のです。
せっかく長く列車に乗れる機会だと言うのに一足飛びに目的地に着くことの方がよっぽど勿体ないと感じます。

列車に乗っている時間は私にとって特別な時間。
車窓を眺めながら、本を読んだり考え事をしたり、ゆっくり駅弁を味わったり少しも退屈しません。
車内販売のコーヒーを飲みながら、変わっていく窓の外の景色と向き合うような、自分自身と向き合うような、それはそれは贅沢な時間なのです。

今年の夏は、群馬の富岡製糸場へ行って来ました。
行き帰りに新幹線に乗るのも楽しみです。

東京駅から高崎までの行きの新幹線は「あさま」でした。
念願だった世界遺産の富岡製糸場をじっくり見学できました。

高崎へ戻る上信電鉄は偶然にも「絵手紙列車」でした。
「絵手紙列車」とは車内の壁いっぱいに全国から寄せられた絵手紙が飾られている電車です。
この電車は絵手紙を描く者にとっては一度は乗ってみたい有名な路線なのです。
ラッキーでした。

帰りの新幹線は「Maxとき」、またまたラッキーでした。
なぜならMaxがつく車両は全部2階建てです。
もちろん乗り込むとすぐに2階席へ駆け上がります。
広々とした夕暮れの車窓を眺めながら旅気分が一層盛り上がったことは言うまでもありません。

私が子どもの頃は列車が発車する時、警笛が鳴りカタッという振動とともに動き出しました。
私はそのカタッと動き出す瞬間が大好きでした。

今では新幹線は気がつかないくらいにスーッと滑り出します。
それでも列車が動き出す旅の始まるその瞬間には子どもの頃と同じようにワクワクします。


ありがとうございました。


♬♬♬ ♪♪♪ ♫♫♫ ♪♪♪ ♬♬♬ ♪♪♪ ♫♫♫ ♪♪♪ ♬♬♬

今日のハル
「今年の夏も去年と同じ秋川渓谷へ行ったよ。自分から川に入って行った勇敢なボクさ」

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# by cuckoo2006 | 2017-09-09 21:03 | 3分スピーチ@話し方教室 | Trackback | Comments(0)

長月「がま口」えてがみどどいつ

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心得ましたと百円玉がいつもの願いを背負って飛ぶ

# by cuckoo2006 | 2017-09-08 15:08 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

長月「徳利」えてがみどどいつ

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もみじマークを返しに行った父に一本つけておく

# by cuckoo2006 | 2017-09-04 16:07 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「一人旅」エッセー@文章教室

一人旅

               

 京都、長崎、四国へ一人旅したことが私の小さな自慢である。家族で旅行する時は万事が夫任せ。私の切符まで預かってくれる。

一人旅は私にとって期待と不安に満ちた大冒険なのだ。東京駅で駅弁をじっくり選び、切符を握りしめて新幹線の座席に着く。さあ、ここから自分一人で見知らぬ街を目指すのだ。

自分で作った行程表には、列車の時刻や見学場所の滞在時間などが細かく書き込まれている。どこで降り、どの在来線に乗り替えるか。名所までの交通機関は。夕食はどこで取るか。何時に宿に着くか。頭の中で反芻する。

  鳴門の渦潮を見に行った時、徳島へ戻る最終バスは三時台。間に合わずにタクシーを呼んでもらった。現地に行かなければ分らないこともある。

  用意周到のつもりでも、必ず乗り間違ったり道に迷ったりする。情けなくなるが、そんな時でも一人旅は気楽なものだ。誰かに迷惑を掛けることも気を遣うこともない。

「ドジだねえ。ま、ゆっくり行こうか」

自分にそう言うだけだ。

  どこへ行っても、その土地の人は親切だった。地図を見るのが苦手な私は、すぐ人に道を尋ねる。尋ねた場所まで連れて行ってもらったことが何度もある。

  長崎の街の坂の上で、「大浦天主堂は、ここを下ったところです」と途中まで案内してくれた娘さん。「お気をつけて」の笑顔がそのまま長崎の印象になった。

  そんなふうにして二泊三日をどうにか終え、帰りの新幹線に乗り込む。もう次の予定を確認する必要もない。ここに座っていれば間違いなく東京駅に到着するのだ。

  車窓を眺めながらシートに身を沈めた時、私は不思議な感覚に襲われた。もうしなければならないことは何もない。無事に旅を終えた。あとは自分が帰る場所へ車両の揺れに身を任せるだけ。安心感に包まれている。

  もしかして、これはベッドに身を横たえた人生の最終章の心境ではないだろうか。やるべき事は何とかやった。もう心配することはない。この先は自分の還る場所へ向かうだけ。最期にこのような心持ちになるのだとしたら何だか救われた思いもしてくる。

  旅の終わりに、高揚感や緊張感から解き放され、穏やかな心で車窓を眺める。これが私の一人旅の醍醐味である。

  新幹線は静かにホームへ滑り込んだ。


# by cuckoo2006 | 2017-09-01 15:59 | エッセイ@文章教室 | Trackback | Comments(0)

葉月「ガーベラ」えてがみどどいつ

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黄色い帽子のカルガモたちがも一度右見て左見て

# by cuckoo2006 | 2017-08-28 14:09 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「蜜蜂と遠雷」恩田陸〔著〕

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私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!

内容(「BOOK」データベースより)


 

 一冊の本を読み終えた達成感を味わいました。これは久しぶりの感覚です。海に面した架空の地方都市「芳ヶ江」で行われる国際ピアノコンクール。その1次、2次、3次予選と本選の全てが記録されています。

 

 実は物語のあらすじを聞いて、なかなか読む気になれませんでした。音楽に素養のない自分には苦手分野の小説。おまけに2段組みの本は腕が痛くなるほどの重さです。それでも数ページ捲ると苦手意識はどこかへ飛んでいきました。

 

 ーー明るい野山を群れ飛ぶ無数の蜜蜂は、世界を祝福する音符であるーー

 ーー世界とは、いつもなんという至上の音楽に満たされていたことだろうーー

 

 光が降り注ぐような序章とともに、キャンパス地のカバンを肩から、たすき掛けにした『風間塵』が登場します。彼の魅力が、この物語の魅力でした。私の頭の中では、振り払っても振り払っても最後まで、『風間塵』の顔が、連勝記録を伸ばしていた棋士の藤井総太四段の顔でした。私のような読者、他にもいたのではないでしょうか。若き天才というものは茫洋として自然体なのかも知れません。


 類い稀な才能に並外れた情熱、『風間塵』はじめ主要な4名のコンテスタント達は、凡人の手の届かぬ所に立っています。そんな彼等一人一人の苦しみと不安が吐露されます。そして物語は、コンクールの審査員、取材記者、友人、家族と視点を移しながら進んでいきます。


 ピアノ曲、一曲一曲を表現する言葉の多彩さ、イメージの広がりに圧倒されました。時に文学的に時に感覚的に、音符が文字に変換されていくようです。聴いたことのない曲や作曲家が身近に感じられました。クラシックを聞くという趣味のない自分が退屈せずに読んでいることが不思議な気持です。


 一体この中の誰が優勝するのか、読み進むに連れ興味はそこへ集約されます。最後のページに、すべての順位が明らかにされます。並んだ名前の一人一人をねぎらいたい気持でした。ちょっとした仕掛けもあり後味がぐっと良くなります。

 

 本を閉じた時、2週間に渡るコンクールのすべてを観客席で見届けた思いでした。直木賞・本屋大賞ダブル受賞、納得の一冊です。



# by cuckoo2006 | 2017-08-23 20:39 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)

葉月「黄菊」えてがみどどいつ

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線香一本きれいに灰になって遺影と長話

# by cuckoo2006 | 2017-08-21 14:27 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

葉月「トルコキキョウ」えてがみどどいつ

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緑の顔彩小さくなって絵手紙季節の花ばかり

# by cuckoo2006 | 2017-08-18 13:03 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

葉月「ハマユリ」えてがみどどいつ

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木陰見つけて座らす母にそそぐ冷たいみどりいろ

# by cuckoo2006 | 2017-08-15 17:59 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「最近、大喜びしたこと」3分スピーチ

皆さま、こんにちは。
今日は、最近、大喜びしたお話をいたします。

ブログというものを初めて12年目になります。
好きな小説や映画の感想などを書いています。
でも、いまだに句読点の打ち方や会話文の挟み方など、これでいいのかなあ?と迷いながら書いています。
そんな時、近所のショッピングセンターの中にあるカルチャースクールに「やさしい文章教室」という講座を見つけました。

見学に行ってみると、受講生の書いたエッセーに、ここには「、」を打った方が良い、ここは「1マス」下げる、この部分は、もっと膨らませて、など丁寧に解説されていました。
それは、まさに私が知りたかったことです。
受講生同士で感想を言い合うのも楽しい時間でした。
すぐに入会を申し込みました。

いよいよ最初の講座の日です。
私は、芥川賞作家・又吉直樹の第2作「劇場」の感想文を提出しました。
ああ、何て言われるのかなあ、ドキドキしながら講師の先生の言葉を待ちました。
すると先生は、

イマイさんの文章は直すところがありません。どこで身につけたのでしょうか。

と言われたのです。
天にも昇るほど嬉しさを感じました。
最初から誉められてしまったので、どういう顔をしたら良いか分らず下を向いたままでいました。

講座が終わり、教室を出ました。
私の頭の中には、

イマイさんの文章は直すところがありません。どこで身につけたのでしょうか。

という先ほどの先生の言葉が果てしなくリフレインし、嬉しさのあまり普通に歩くことができませんでした。
小走りになるのを止められませんでした。
そして、トイレの中で思い切りガッツポーズをしました。

さて、待ちに待った2回目の文章教室の日です。
今回、提出したのは映画の感想文です。
しかし、今回は全く誉められません、、、
先輩方に比べても私の文章は平板でした。
ガックリです。

考えてみると、前回の褒め言葉は、多分に新人にやる気を起こさせる激励も含まれていたのだと分かりました。
それでも、あんなに嬉しい気持になれたのですから充分、得をした気分です。

「やさしい文章教室」では先生のことを編集長と呼びます。
書くことの好きなお仲間との、ひと時が毎月楽しみになりました。

ありがとうございました。

♬♬♬ ♪♪♪ ♫♫♫ ♪♪♪ ♬♬♬ ♪♪♪ ♫♫♫ ♪♪♪ ♬♬♬

=今日のハル=

9歳になりました!2008年8月4日、長崎生まれ)

「お散歩から帰ったら床にペタンとしてカラダを冷やすんだ。毎日暑いよね~」
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「その後はヘソ天でお昼寝サ」
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# by cuckoo2006 | 2017-08-12 20:02 | 3分スピーチ@話し方教室 | Trackback | Comments(0)

葉月「デルフィニウム」えてがみどどいつ

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全部終われば寂しくなって花火の途中で引き上げる

# by cuckoo2006 | 2017-08-09 15:04 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

葉月「西瓜」えてがみどどいつ

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垣根の上から虫取り網が通る昭和は晴れていた

# by cuckoo2006 | 2017-08-07 15:56 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

エッセイ@文章教室はじめました♪ 「靴」

  


 私とリウマチは30年を越える長い付き合いだ。手足に多少の変形はあるものの毎日を元気に過ごしている。

それでも困る事がある。歩くと右足の裏が痛い。指の付け根あたりの骨が飛び出しているせいだ。そこに魚の目ができる。整形外科で、変形した足を出し魚の目を削ってもらうのは切ないものである。

けれども看護師さんは、

「痛くなる前にまた来てくださいね」

と、いつも優しく言ってくれる。

もう一つ困るのは靴選びである。飛び出した骨が当たるため、履いて痛くない靴が無いのだ。私の足のサイズは23.5cmだが、それより1大きい24.5cmの靴を買い、骨が当たる部分に樹脂製の敷物を入れる苦肉の策を取っている。これで痛みはかなり緩和される。

デパートの靴売り場では、外反母趾などに対応した歩きやすい靴のコーナーに直行する。そこで、これはという靴を選び、24.5㎝のサイズを頼む。

しかし店員さんは、

「お客様にそのサイズは大き過ぎます。合わないサイズの靴を履いていると腰を痛めます」       

頑として私の頼みを聞いてくれない。腰が痛くなる以前に一歩足を前に出すと痛いのだから話にならない。

「でも、その靴を履いて痛い思いをするのは私なんです」

職業意識の高いシューフィッターさんに捨て台詞を吐いたこともある。

そんな時、ふらりと日本橋三越本店に足を踏み入れた。オシャレ度の低い靴のコーナーも広々としている。座って履いてみるソファーもゆったりしている。望みのサイズも快く出してくれた。次々に履いて通路を歩いてみる。

すると、そのうちの一足が自分でもアレッと驚くほどフィットした。

「不思議です。痛くありません!」

私は思わず大きな声を出した。

「木型がお客様の足にピッタリ合っているのですね」

店員さんも喜んでくれた。

買って帰った日に、いつものように夫に靴の中にボンドで敷物を固定してもらった。リウマチの妻と30年以上一緒にいる夫。何かにつけ助けてもらい感謝している。

一日歩いても痛くならずデザインとも折り合えた靴は、大塚製靴のボン・ステップというシリーズ。クリーナーで良く磨いてやっている。

この靴を履いて、これからも元気に歩いて行きたいものである。


# by cuckoo2006 | 2017-08-04 16:40 | エッセイ@文章教室 | Trackback | Comments(0)

文月「向日葵」えてがみどどいつ

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ブラスバンドがつんざく空へカチワリ頭で溶けている

# by cuckoo2006 | 2017-07-29 15:15 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

文月「スプレー菊」えてがみどどいつ

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頑固の看板下ろしたらしい父にお礼を言われてる

# by cuckoo2006 | 2017-07-26 14:57 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「しあわせな人生の選択」監督セスク・ゲイ


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解説 余命わずかな男と彼を取り巻く人々の最期の4日間を描いたドラマ。カナダに住むトマスは長年の友人でスペインに住むフリアンが余命わずかであることを聞き、フリアンのもとを訪れる。治療をあきらめ、身辺整理を始めたフリアンは、愛犬トルーマンの新たな飼い主を探し、アムステルダムの大学に通う息子の誕生日を祝うためにオランダへ旅をする。その中でフリアンとトマスは、昔のように遠慮のない関係に戻っていくが……。主人公フリアン役を「人生スイッチ」のリカルド・ダリン、フリアンの親友役を「トーク・トゥ・ハー」のハビエル・カマラがそれぞれ演じる。監督、脚本のセスク・ゲイは母親の闘病生活の実体験をベースもとに本作を製作し、スペイン版アカデミー賞といわれる第30回ゴヤ賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞の5部門を受賞した。

(eiga.comより)



 ストーリー+“犬モノ”に惹かれて観に行きました。人間の日々の営みが発する生暖かなモノ、息や体温や匂いが伝わってくるような映画です。

 

 作品の原題は「トルーマン」。主人公が飼っている大型の老犬の名です。お目当ての犬の登場シーンは予想よりずっと少なかったのですが、涙が込み上げる場面に必ず犬はいるのでした。

 

 スペインで暮らす親友フリアンが余命わずかなことを知り、カナダから駆けつけるトマス。二人が共に過ごす4日間の物語です。フリアンとトマスが肩を並べ町を歩きます。出喰わす友人知人とのやり取りからフリアンがどんな人間か想像されます。

 

 俳優であるフリアンは気ままに本音で生きてきた男。フリアンと、ぶつかったことがある者も今の彼の病状を知っているようです。フリアンと顔を合わせてしまった居心地の悪さや罪悪感が彼らの顔に浮かびます。

 

 そんな時でも、フリアンの隣に温厚そうなトマスが立っていることで雰囲気が少しだけ和みます。トマスの存在に、フリアンと顔を合わせた知り合い、医者や息子でさえ救われた気持になっていることが分かります。トマスが来てくれて本当に良かったと、こちらまでホッとしました。

 

 フリアンは本来の自分のまま、いようと努めます。それでもトマスもフリアンを見守る彼の従姉妹も、フリアンの纏う死の影に息苦しさを感じます。帰国する前の晩、死の影を払り払うかのようにトマスと彼女が求め合うのも人間そのもののように感じました。

 

 ラストシーン、トルーマンにもフリアンにも傍らに寄り添う人間がいます。カナダへ帰る機上の人となったトマス。余りにも色々なことが起り、混乱する彼の胸の内が察せられました。これも人間だなあと愉快な気持になります。そしてカナダの自然の中を、のっそり歩くトルーマンの姿が浮かびました。




@ヒューマントラストシネマ有楽町



# by cuckoo2006 | 2017-07-22 14:08 | 洋画 | Trackback | Comments(0)

文月「リンドウ」えてがみどどいつ

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困った時だけ頼りにされて長兄一番背が低い

# by cuckoo2006 | 2017-07-19 16:04 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

文月「ユリ」えてがみどどいつ

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母はいつでも笑って言った取られやしないよ命まで

# by cuckoo2006 | 2017-07-17 13:13 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

文月「とうもろこし」えてがみどどいつ

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おがら代わりの線香花火二つ重ねて盆の入り

# by cuckoo2006 | 2017-07-14 13:14 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

文月「沢蟹」えてがみどどいつ

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林間学校夜空に線を引いて柄杓が見えてくる

# by cuckoo2006 | 2017-07-11 15:09 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

文月「ジョッキ」えてがみどどいつ

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新入社員もジョッキを空けて堅苦しいのは抜きにする

# by cuckoo2006 | 2017-07-09 15:16 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「lion/ライオン 25年目のただいま」監督ガース・デイビス

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解説


インドで迷子になった5歳の少年が、25年後にGoogle Earthで故郷を探し出したという実話を、「スラムドッグ$ミリオネア」のデブ・パテル、「キャロル」のルーニー・マーラ、ニコール・キッドマンら豪華キャスト共演で映画化したヒューマンドラマ。1986年、インドのスラム街で暮らす5歳の少年サルーは、兄と仕事を探しにでかけた先で停車中の電車で眠り込んでしまい、家から遠く離れた大都市カルカッタ(コルカタ)まで来てしまう。そのまま迷子になったサルーは、やがて養子に出されオーストラリアで成長。25年後、友人のひとりから、Google Earthなら地球上のどこへでも行くことができると教えられたサルーは、おぼろげな記憶とGoogle Earthを頼りに、本当の母や兄が暮らす故郷を探しはじめる。

(映画com.より)







冒頭に表示される「物語は事実に基づいている」のテロップに緊張感が高まります。インドのスラム街、5歳のサルーと兄は、盗んだ石炭をミルクに代え母と妹に持ち帰ります。法を犯してでも今日を生き抜く子ども達の姿が活き活きと描かれます。


母にミルクを差し出すサルー。自分はいいと笑顔で首を振る母。貧しい暮らしの中、サルーが母の愛情を受けてきたことが伝わります。だからこそサルーは過酷な運命を生き延びられたのでしょう。

 

 仕事を探しに行く兄に強引について来てしまったサルーは駅のベンチで眠ってしまいます。無人のホームで目覚めた彼は貨物列車に飛び乗り閉じ込められます。数日後、列車が到着したのは大都市カルカッタ。言葉も通じない喧噪の町でサルーは一日一日を懸命に生き延びます。

 

 無力なサルーの前での大人達の振る舞いは恐いほどその人の本質をあぶり出します。路上でも収容施設でも孤児達の境遇はあまりに痛ましく目と耳をふさぎたくなる場面もありました。

 

 やがてサルーはオーストラリアの夫婦の元へ養子に行きます。誠実で愛情深い養父母に、こちらまで救われた思いでした。新しい環境に順応したサルーは逞しく成長します。しかし大きくなっても彼の心は迷子のままでした。

 

 大学生になったサルーはGoogle Earthにより自分が迷子になったカルカッタに何処からたどり着いたのかを調べ始めます。そして遂に見つけ出す自分の生まれ育った村。


幼い頃、過ごした路地に足を踏み入れるシーンはサルー自身の目でカメラが進みます。ドキュメンタリーを見ているようにドキドキしました。

 

 最後は実際のサルーの行方不明児捜索の写真や母親と妹との再会のシーンが映し出されます。実際のサルーを目にして、彼の現実対応能力の高さと持って生まれた魅力があったから生還できたことが良く分りました。


 しかし優しい兄は、駅で居なくなった幼い弟を必死に探し回り、列車に轢かれ命を落としていました。また、サルーの後に養子に来た少年は傷ついた心を取り戻すことはできず、誰にも心を開くことはありませんでした。多くの孤児達の真実をすくい取っていると思います。

 

「インドでは毎年8万人の子どもが行方不明になっている」と最後にテロップが出ます。幸運なサルーのハッピーエンドから現実に引き戻されました。



@渋谷シネパレス


# by cuckoo2006 | 2017-07-07 18:20 | 洋画 | Trackback | Comments(0)

文月「団扇」えてがみどどいつ

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途切れた花火を見上げたまんま二人の団扇が動いてる

# by cuckoo2006 | 2017-07-05 12:49 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「劇場」又吉直樹〔著〕


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《演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った―。『火花』より先に書き始めていた又吉直樹の作家としての原点にして、書かずにはいられなかった、たったひとつの不器用な恋。夢と現実のはざまにもがきながら、かけがえのない大切な誰かを想う、切なくも胸にせまる恋愛小説。》

内容(「BOOK」データベースより)


期待は裏切られません。読み終わって何とも哀しい気持になりました。若い男女の恋愛小説なのですが、そこには男と女の、人と人との解り合えない生身の感情が充満しています。心が大きく動かされました。


物語は、主人公・永田が八月の午後、新宿から渋谷の人混みを朦朧と歩く描写から始まります。身体と心がバラバラのまま、自らの五感を実況中継していくような息苦しさ。壊れかかっている永田自身の感覚が皮膚を通して伝わってきます。


沙希との出逢いや会話のいくつかなどは既に又吉さんのエッセイで読んだことのあるエピソードでした。実体験の強みは伝わりますが、やはり新鮮さは薄れます。小説の中で最初に読みたかったと思いました。


沙希と暮らし始め、永田はギリギリのところで自分を取り戻します。けれども、次第に永田は沙希に依存していきます。又吉さんそのもののような永田という人間の、はらわたを晒すような独白が続きます。嫉妬とプライドの卑小さ、卑小さを隠そうとする傲慢さ。あまりの赤裸々さが快感なほどです。


私は女なので、こういう場面で男とはこんなふうに考えているのかと、目から鱗の部分もありました。


新聞の書評に「女性の描き方に現実感がない」という趣旨の意見がありましたが、私は沙希の感覚、行動に共感しました。沙希と同じような想いをした若い日の自分にも逢えました。限界を越えてしまった沙希の変わりぶりも真実でしょう。そして彼女の選んだ道は正しいものと信じます。


最初が素晴らしいと言いましたが、終わり方も成功しています。 
の最後には大きな違和感がありましたが、この本の結末は沁みます。泣けます。悲しさ、切なさ一杯に本を閉じました。



# by cuckoo2006 | 2017-06-30 18:24 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)