小説、映画、絵手紙、都々逸
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師走「蛇口」えてがみどどいつ

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背中が湯気出す朝練習は蛇口が包帯巻いている

# by cuckoo2006 | 2017-12-17 17:34 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「一年の終わりに 狂歌」3分スピーチ

皆さま、こんにちは。
今日のテーマは「一年の終わりに」です。
そこで、私が一年の終わりに作る狂歌のお話をいたします。

皆さま、狂歌ってご存じでしょうか。
狂歌とは、社会風刺や皮肉、滑稽を盛り込んだ五・七・五・七・七の形でつくる和歌短歌のことです。江戸時代に大流行しました。

私は雑俳と呼ばれる言葉遊びの会に参加しています。
雑俳は「ざっぱい」と読みます。
雑俳には、川柳、洒落付け、語呂合わせ、都々逸など様々なジャンルがあります。
雑俳も江戸時代に生まれた庶民の遊びです。

雑俳の会では毎回色々なお題が出されます。
頭を絞って考え、いい句がひらめいた時は嬉しいものです。
一年の終わりの12月の句会には、今年一年に起こった出来事を詠み込む狂歌が出題されます。

狂歌は万葉集からの有名な歌の一部を変えて作ったりします。
また、掛詞(かけことば)の技法を使うことも多いです。
掛詞の技法とは「その手は桑名の焼きハマグリ」などというものです。
 
皆さまもきっとお聞きになったことがある、狂歌の名作を一つご紹介します。

白河の 清きに魚(うお)も 住みかねて もとの濁りの 田沼恋しき

これは魚の住む「田沼」と江戸幕府老中の「田沼意次(おきつぐ)」が掛けられています。
汚職がはびこっていても田沼意次時代の方が自由で豊かで暮らしやすかった、今の松平定信は窮屈でヤだねえ、などという庶民の本音が込められているのでしょう。
こんなふうに狂歌を作ることで御上への鬱憤を晴らしていたのかも知れません。

では最後に、私が作りました今年一年の出来事を詠んだ拙い狂歌を三つご紹介します。

一年の 終わりの手締め 上野から 幸せ響くヨーオシャンシャン
(手締めのシャンシャンとパンダの赤ちゃんのシャンシャンが掛かっております)

お次はノーベル文学賞。村上春樹ファンの心境です。

ハルキスト ディラン・ショックも 癒えぬまま もう慰め聞カズオ・イシグロ
(去年はボブ・ディラン、今年はカズオ・イシグロの手に・・・)

一番最後は、貴乃花親方派の立場から作りました。

礼節は モンゴル会の 出席と けして白鵬破らざること

いかなる理由も暴力を肯定することはできません。


ありがとうございました。

♬♬♬ ♪♪♪ ♫♫♫ ♪♪♪ ♬♬♬ ♪♪♪ ♫♫♫ ♪♪♪ ♬♬♬
 
今日のハル
「ヨルはカーチャンの膝の上がボクの定位置さ」
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# by cuckoo2006 | 2017-12-09 21:14 | 3分スピーチ@話し方教室 | Trackback | Comments(0)

師走「落花生」えてがみどどいつ

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埃まみれのお役目終えた消化器外して十二月

# by cuckoo2006 | 2017-12-04 16:14 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

師走「かぼちゃ」えてがみどどいつ

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今年の苦労をたっぷり吸って家計簿分厚い十二月

# by cuckoo2006 | 2017-12-02 15:58 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「澪木」朴重鎬[著]


 d0074962_15010304.jpg『「北」への帰国とは何だったのか。祖国・北朝鮮へ帰国した弟夫婦の惨憺たる生活、子どもたちを民族学校から日本の学校へ転校させる姉夫婦、そして「愛国組織」──。一人の女性の生に在日同胞の現代史を集約して描く力作長篇小説。』(帯より)




 読んでいて楽しくなる本ではありませんが、強く引き込まれました。時代は1950年代後半、主人公の明姫(ミョンヒ)は東京にある民族学校の教師。「愛国事業」に関わる編集者の夫、一歳の娘と暮らしています。朝鮮料理店を営む明姫の両親は濃密な愛情を子供達に注いでいます。

 

 明姫の日常生活を通して「愛国組織」への忠誠と同胞達との肉親のような絆が描写されます。日本という国に住みながら祖国・北朝鮮の一員としての強固な価値観を持つ人びと。彼等の内面を始めて知る思いでした。

 

 私達と懸け離れた世界にいる明姫ですが、妻、母、娘としての思いは当たり前過ぎるほど普遍的です。実家を助けることについての夫への遠慮、両親が自分を頼り切っていることへの気の滅入り、乳飲み子と保育園で別れる切なさなど身に覚えのある感情が沸き上がります。作者が男性であることが信じられないほど明姫の揺れ動く胸の内にリアリティがありました。


明姫は弟の面倒を見ながらも、おとなし過ぎる性格に不甲斐なさを感じています。その弟が、亡くなる前のオモニ(母親)の世話を買って出ます。病院の暗い小部屋で死を待つオモニ。弟の優しさが明姫の心を救います。強く印象に残る場面でした。


オモニの死後、父と弟は祖国への帰国を決めます。これが彼等にとって未来の開ける、正しい選択と信じ送り出す明姫。彼女は心に重りをつけたように苦しむことになります。


祖国での苛酷な生活は、弟家族からの手紙文ですべて表現されます。手紙は毎回、生活の苦しさを嘆き、時計、ミシン、靴などを送ってくれという訴えで占められます。弟家族の叶えられない願いは次第に怒りを含んだものに変わっていきます。


弟一家へ心配と同情を深めながらも、それらの手紙は明姫の心を彼等から遠ざけます。夫の看病のため教員を辞め北海道で暮らす明姫の生活も厳しいものでした。現実感にあふれた双方の心理描写に胸が塞がれます。

 

 物語の中には日本人がほんの僅かに登場します。明姫の近所の日本人主婦達は軸のない、ふわふわとしたお気楽な存在に描かれます。仲良くしていても明姫と彼女達の間には、はっきりと一線が引かれていることが感じられます。

 

 もう一人終盤に登場する、夫の子供の頃からの知り合いの「森田の小母さん」。彼女はお裾分けや心付けを申し訳なさそうにそっと置いておくような心根の優しい人。日本人読者としては彼女の存在に救われます。


日本で生きていく以外に道はない明姫夫婦は、娘達を民族学校から日本の公立小学校へ転校させることを決意します。民族学校の寄宿舎から娘達の荷物を夫婦が運び出すところで物語は終わります。


重く暗い題材ですが、「いじいじ考えてばかりいて何もしないでいるのは性に合わない」明姫の気質が物語を支えています。

 

 生まれ育った日本と祖国に引き裂かれながら人生を歩む主人公。その心の深淵に少しだけ触れる思いで本を閉じました。


# by cuckoo2006 | 2017-12-01 18:15 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)

霜月「レモン」えてがみどどいつ

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あなたへ真っ直ぐ走って行ったあの日のあんなに青い空

# by cuckoo2006 | 2017-11-29 15:53 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

霜月「しいたけ」えてがみどどいつ

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伊達に亭主をやってはいない喧嘩の負け方知っている

# by cuckoo2006 | 2017-11-24 15:22 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

霜月「さやえんどう」えてがみどどいつ

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娘のところへ越してくらしい葉書のさよなら笑ってる

# by cuckoo2006 | 2017-11-20 15:36 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

霜月「ラフランス」えてがみどどいつ

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向こうもこっちも心配事は伝えぬ絵文字が笑ってる

# by cuckoo2006 | 2017-11-18 20:47 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

霜月「落ち葉」えてがみどどいつ

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上野へパンダへ公園口へ頭上注意の通り抜け

# by cuckoo2006 | 2017-11-15 18:10 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

霜月「軍手」えてがみどどいつ

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こころの雑草いっしょに抜いて朝露軍手を湿らせる

# by cuckoo2006 | 2017-11-13 15:51 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「近所の気になること」3分スピーチ

皆さま、こんにちは。
今日のお題は、「近所の気になる事」。
近所のちょっと気になる喫茶店のお話をいたします。

それは、私の住んでいる西新井の駅のすぐ傍にある「シルビア」という喫茶店です。
階段を上って一歩店内に入ると、そこは昭和レトロの別世界です。

私がこの店を知ったのは、テレビ東京・土曜夜の「アド街ック天国」という番組でした。
毎回一つの街を徹底的に紹介します。
取り上げられた街にある場所のランキングが発表されます。
西新井の回の第1位は、もちろん西新井大師。
そして、この「シルビア」も第15位にランキングされていたのです。

すぐに行ってみました。
お店の入り口には誇らしげに「アド街ック天国・第15位」と張り出されていました。
テレビの効果は絶大です。
私のようなお客がたくさん来たのでしょう。

「シルビア」の1階は広大な面積のパチンコ屋さんです。
その2階部分がまるごと「シルビア」。
広々としたくつろぎの空間です。

ステンドグラスにシャンデリアという昭和へタイムスリップしたような雰囲気に、「シルビア」はテレビや映画のロケが何度も行われているそうです。

私が「シルビア」を好きなのは、とにかくゆったりとしていること。
4人のボックス席に一人客が点在しているので長い時間座っていても全く気を使いません。
食事もでき、ハンバーグにもオムライスにも焼きそばにも何でも味噌汁がついてきます。

落ち込んだ気分の時、なぜか「シルビア」へ足が向きます。
いつも注文するのは、ホットケーキセット。
ホットケーキには生クリームとバナナのスライスが添えられカラフルな粒々がトッピングされています。
やさしく懐かしい味です。
頭を空っぽにゆっくり過ごした後、階段を下りて「シルビア」を出ます。
すると、いつも不思議に心が充電されたように元気になっているのを感じます。
そんな西新井のオアシス「シルビア」のご紹介でした。

ありがとうございました。

シルビア店内
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(画像はお借りしました)



# by cuckoo2006 | 2017-11-11 17:47 | 3分スピーチ@話し方教室 | Trackback | Comments(0)

霜月「味噌汁」えてがみどどいつ

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今日の社説は我が意を得たり豆腐のみそ汁うまいこと

# by cuckoo2006 | 2017-11-06 21:05 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「三宅義信選手」 エッセー@文章教室

 三宅義信選手

           

 2020年の東京五輪が楽しみ! とは、なかなかおおっぴらに言いにくい雰囲気だ。私の回りには驚くほど五輪開催に反対する声が多い。膨らみ続ける予算を他の事に使う方が良いとも思う。けれどもお祭りに乗っかるのが好きな私は、観戦チケットを何とか手に入れ、友達を誘ったり家族に分けてやったりしようと密かに意気込んでいるのだ。


1964年、東京五輪が開かれた時、私は小学校4年生だった。新宿の社宅に住んでいた私は、母と代々木体育館へ体操の練習を観に行った。恐らく安い入場料で見学できたのだろう。

男子選手か女子選手かの記憶も曖昧だが、一つだけはっきり覚えていることがある。選手が入場すると、こんなアナウンスが流れた。

「日本選手だけでなく外国の選手も応援してください」

笑い声がどっと湧き起こった。

「どうして今、みんな笑ったの?」

私にはなぜ笑いが起こったのか理解できなかった。こんなに笑うなんて外国の選手に失礼じゃないかなと思った。母からも納得いく答えは返ってこなかった。

今から思えば、その笑い声は、オリンピック自国開催の晴れがましさ、目の前でこれから活躍するであろう体操選手を観られる嬉しさ、そしてあと数日となった開会式、そんな高揚感いっぱいの暖かな笑い声だったのだろう。

オリンピックは幕を開けた。毎日テレビを夢中で見た。日本選手団の中で一番最初に金メダルを取ったのは重量挙げの三宅義信選手である。

私も三宅選手と一緒になって息を止め、顔を真っ赤にしてバーベルを挙げている気持で応援した。

その後、三宅選手はたくさんのテレビに出演された。三宅選手を見ると、もう一緒にバーベルを持ち上げる必要もないのに、いつも息苦しい気持になった。

不安になって母に訴えた。

「お母さん、私、この人がテレビに出ると胸が苦しくなるの」

母は笑ってこう言った。

「アキコ、それは恋よ」

10歳の私は驚いた。そして、この事は誰にも言わないことにしようと心に決めた。

三宅義信さんはロンドン、リオ2大会続けてメダルを獲得した三宅宏美選手の伯父さんである。

最近、テレビで久し振りに三宅義信さんを拝見した。現在77歳、静かな佇まいに威厳と風格が感じられた。初恋の人が今でも素敵で嬉しかった。


 2020年には夫もリタイアしていると思う。マラソン競技など一緒に応援に繰り出そう。日本の選手にも外国の選手にもたくさん声援を送るつもりだ。


# by cuckoo2006 | 2017-11-03 15:49 | エッセイ@文章教室 | Trackback | Comments(0)

霜月「蜜柑」えてがみどどいつ

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永代供養でこのお値段で妻がいいなら決めようか

# by cuckoo2006 | 2017-11-01 21:16 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

神無月「柿」えてがみどどいつ

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駆け出したくなる秋空だから私にそこまで用意ドン

# by cuckoo2006 | 2017-10-30 14:50 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

神無月「マスカット」えてがみどどいつ

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袋いっぱい美味しい秋をもいだはとバス弾んでる

# by cuckoo2006 | 2017-10-26 18:08 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

神無月「黄菊」えてがみどどいつ

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お化けでいいから出て来てほしい話したいこと溜ってる

# by cuckoo2006 | 2017-10-24 16:03 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

神無月「鈴」えてがみどどいつ

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みんな取り越し苦労で済んだ御礼参りの鈴の音

# by cuckoo2006 | 2017-10-20 16:33 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「秋」3分スピーチ

皆さま、こんにちは。

先月「秋」というお題を聞き、私の頭に最初に浮かんだ事をお話しします。
それはまだ暑さの残る9月、ゼミ仲間男女5人で軽井沢へドライブした思い出です。

お金がない学生だった私達は、仲間の一人のお父さんの車で憧れの軽井沢へ向かいました。
はしゃいだ気分の私達は、車の中で秋の歌を一人ずつ歌う山手線ゲームをすることにしました。
一人ずつ秋の歌を歌い出し、続けて皆で合唱します。

♪今はもう秋~誰もいない海~~   
♪秋の夕日に照る山もみじ~~
♪うす紅の秋桜が秋の日の何気ない日溜まりに揺れている~~
♪小さい秋小さい秋小さい秋見つけた~~
 
5人でぐるぐる回るので秋の歌もだんだん尽きてきました。
すると仲間の一人がこんな歌を歌い出しました。

♪秋でもないのに人恋しくて寂しくて黙っていると~~

これはフォーク歌手・本田路津子さんの「秋でもないのに」というヒット曲です。

この歌について議論が始まりました。
「秋でもないのに」と歌っているのでこの歌は秋の歌には含まれないという派と、「秋」という言葉が入っているのだから秋の歌にカウントされるという派が激突したのです。
皆でギャーギャー言い合いました。

車内が険悪な雰囲気になった頃、車は軽井沢に到着しました。

40年前の軽井沢は、それはハイソな雰囲気でした。
金網越しに見たテニスコートには正田美智子さんと皇太子殿下の姿が浮かぶようでした。

有名な「万平ホテル」でお茶を飲もうなどと大きなことを言っていたのですが、私達がとても入れるような場所ではなく、普通のホテルでサンドイッチと珈琲を飲みました。
それでも当時の私達には目の玉が飛び出るようなお値段でした。

そして絵葉書を1セット買って皆で1枚ずつ分け合いました。
「軽井沢は空も雲も風も、もう秋です」と気取って書いたことを覚えています。

「秋でもないのに」が秋の歌なのかどうか今でも分かりませんが、
それは絶対に秋の歌ではない!とハンドルを握りながら言い張っていた男のコの顔を懐かしく思い出しています。

ありがとうございました。

♬♬♬ ♪♪♪ ♫♫♫ ♪♪♪ ♬♬♬ ♪♪♪ ♫♫♫ ♪♪♪ ♬♬♬

今日のハル
「絵手紙って美味しそうだなあ」
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# by cuckoo2006 | 2017-10-14 21:54 | 3分スピーチ@話し方教室 | Trackback | Comments(0)

祝!カズオ・イシグロ ノーベル文学賞受賞!!

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ[著] 土屋政雄[訳]


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内容紹介「自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点 。」

 久々の“一気本”でした。
 物語は、31歳になった介護人キャシー・Hが子供時代を過ごした全寮制の施設へールシャムでの生活を回想していく形で進みます。子供同士の仲間意識やちょっとした意地悪に喧嘩など、丹念な描写に馴染み深い感情が甘酸っぱく蘇ります。

 その一方で、教師を保護官と呼び、外界から遮断されたこの施設の実態はどういうものなのか?「提供」という言葉の意味するものは?そしてこの物語はどこへ辿り着くのか?読者に不吉な予感を感じさせながら、へールシャムの中で子供達は成長して行きます。

 そして、友人同士の親密さ、気まずさ、微妙な力関係や淡い想いなど、刻々と変化していく感情が息苦しいほど繊細に描かれていく。どれもこれも脈打つような描写に引き込まれました。

 1章進むごとに主人公達は、9歳、13歳、16歳・・と年齢を重ね、へールシャムの輪郭が次第にくっきりしてきます。この物語は一体どこへ行くのか?という興味が、グングン加速します。

 ラストは、やはりカズオ・イシグロでした。すべてが明らかにされた後、淡い余韻を残し物語は終わる。言ってみれば奇想天外なストーリーなのですが、主人公達が与えられた運命を淡々と受け入れていくところに、現実の社会に適応して生きるという意味において、自分に引き付けて感じられるものがありました。作者の巧さであり物語の哀しさでしょう。

 人と人との間にある“空気”を繊細に掬い取る描写とストーリーへの興味に、ページを捲る指が止まりませんでした。

(2007年8月9日掲載記事)





# by cuckoo2006 | 2017-10-08 18:02 | 本(外国のもの) | Trackback | Comments(0)

神無月「栗」えてがみどどいつ

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母の鼻唄聞こえるようなまな板斜めの傷がある

# by cuckoo2006 | 2017-10-05 16:32 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

神無月「コスモス」えてがみどどいつ

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鉄橋染めてく橙色へ少年野球の河川敷

# by cuckoo2006 | 2017-10-02 18:09 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「フロスト始末」上・下 R・D・ウィングフィールド[著]

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今宵も人手不足のデントン署において、運悪く署に居合わせたフロスト警部は、強姦・脅迫・失踪と、次々起こる厄介な事件をまとめて担当させられる。警部がそれらの捜査に追われている裏で、マレット署長は新たに着任したスキナー主任警部と組み、フロストをよその署に異動させようと企んでいた・・・・・・。史上最大のピンチに陥った警部の苦闘を描く、超人気警察小説シリーズの最終作。

(文庫本裏表紙より)

 

 「悪いニュースと悪いニュースがある。どっちから聞きたい?」

 ジャック・フロストは健在でした。ロンドン郊外にあるデントン署のフロスト警部は私のヒーローです。


「クリスマスのフロスト」から始まる6作のフロスト警部シリーズ。全作品が年末のミステリーランキング1位という超人気警察小説シリーズです。私が初めて読んだのは「夜のフロスト」。この本から海外ミステリー好きになりました。


馴染みの薄かった外国の推理小説が一気に身近になるほどジャック・フロストの個性は強烈だったのです。


フロスト警部と言えば、えび茶色のマフラーにヨレヨレのトレンチコート。そして連発するお下劣なジョークです。それは殺人事件の現場検証でも死体解剖室でも止まることはありません。


デスクの未決箱はうず高く、書類処理能力はゼロ。ガソリンの請求書の数字を6から8に書き換えるのも朝飯前です。


しかしこう見えてもフロスト警部は稀に見る人格者なのです。署の体面しか考えない上司は一切無視し、頭の中には一刻も早い被害者の救出と事件の解決しかありません。保身や出世への執着は皆無。それでいて容疑者も含めて弱い立場の者にはとことん優しいのです。


忙しさに悪態をつきながらもフロスト警部は猛烈に働きます。理想の上司とは言えませんが、同僚からの信頼は厚く、皆どんなに疲れていてもフロストのジョークに苦笑いで付き合っています。


今回は読み終わるのを少しでも伸ばすようにゆっくりページをめくりました。なぜならこれが愛するフロストとの最後の逢瀬だから。本作「フロスト始末」は2007年に亡くなっ著者R・D・ウィングフィールドの遺作となりました。


最終作でのフロストは史上最大のピンチに陥ります。経費のちょろまかしがマレット署長にばれデントン署を追われることになったのです。スキナー警部という新たな手強い敵も現れます。


そしていつものように立て続けに起こる事件。人間の足をくわえた犬が現れる一方、相次いで行方不明になる少年少女。異物が混入されたミルクが置かれたスーパーマーケットには脅迫電話があり、腐乱死体発見の一報が入ります。


マレット署長がいい恰好をし署員の大半を隣の署へ応援に貸し出したため、デントン署の人手不足は尋常ではありません。フロストには満足に寝る時間も食べる時間もありません。


そんなフロスト警部のもうお馴染みの大暴走が事件の解決に繋がり一人の被害者が救出されます。世相を反映するような残虐で救いようのない結末にもフロスト警部のくだらな過ぎるジョークは炸裂します。


カラッと乾いた空気に肩の力が抜けていくのが私にとってジャック・フロストの最大の魅力。フロストがいつか言っていたように、『山のような胸くそ悪くなる事件を前にして冗談を言うのは因果な仕事をいくらかでも楽にするため』でしょう。


とんでもない手口を使ってデントン署にもまんまと残れそう。フロスト警部のニンマリした顔で、シリーズは完となりました。


# by cuckoo2006 | 2017-09-20 13:38 | 海外ミステリー | Trackback | Comments(0)

長月「お玉」えてがみどどいつ

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砂を吐き出す浅蜊の脚が伸びて明日のお味噌汁

# by cuckoo2006 | 2017-09-12 15:58 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「私の好きな乗り物」3分スピーチ

皆さま、こんにちは。

今日のお題は、「私の好きな乗り物」。
私の好きな乗り物、それは鉄道を走る列車です。
旅行に行く時は飛行機でなく必ず鉄道を選びます。

長崎へ行った時は片道7時間を往復新幹線と在来線で行きました。
「飛行機で行かなきゃ時間が勿体ないじゃない」と良く言われます。
けれども私にとっては「飛行機で行くなんて勿体ない」のです。
せっかく長く列車に乗れる機会だと言うのに一足飛びに目的地に着くことの方がよっぽど勿体ないと感じます。

列車に乗っている時間は私にとって特別な時間。
車窓を眺めながら、本を読んだり考え事をしたり、ゆっくり駅弁を味わったり少しも退屈しません。
車内販売のコーヒーを飲みながら、変わっていく窓の外の景色と向き合うような、自分自身と向き合うような、それはそれは贅沢な時間なのです。

今年の夏は、群馬の富岡製糸場へ行って来ました。
行き帰りに新幹線に乗るのも楽しみです。

東京駅から高崎までの行きの新幹線は「あさま」でした。
念願だった世界遺産の富岡製糸場をじっくり見学できました。

高崎へ戻る上信電鉄は偶然にも「絵手紙列車」でした。
「絵手紙列車」とは車内の壁いっぱいに全国から寄せられた絵手紙が飾られている電車です。
この電車は絵手紙を描く者にとっては一度は乗ってみたい有名な路線なのです。
ラッキーでした。

帰りの新幹線は「Maxとき」、またまたラッキーでした。
なぜならMaxがつく車両は全部2階建てです。
もちろん乗り込むとすぐに2階席へ駆け上がります。
広々とした夕暮れの車窓を眺めながら旅気分が一層盛り上がったことは言うまでもありません。

私が子どもの頃は列車が発車する時、警笛が鳴りカタッという振動とともに動き出しました。
私はそのカタッと動き出す瞬間が大好きでした。

今では新幹線は気がつかないくらいにスーッと滑り出します。
それでも列車が動き出す旅の始まるその瞬間には子どもの頃と同じようにワクワクします。


ありがとうございました。


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今日のハル
「今年の夏も去年と同じ秋川渓谷へ行ったよ。自分から川に入って行った勇敢なボクさ」

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# by cuckoo2006 | 2017-09-09 21:03 | 3分スピーチ@話し方教室 | Trackback | Comments(0)

長月「がま口」えてがみどどいつ

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心得ましたと百円玉がいつもの願いを背負って飛ぶ

# by cuckoo2006 | 2017-09-08 15:08 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

長月「徳利」えてがみどどいつ

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もみじマークを返しに行った父に一本つけておく

# by cuckoo2006 | 2017-09-04 16:07 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「一人旅」エッセー@文章教室

一人旅

               

 京都、長崎、四国へ一人旅したことが私の小さな自慢である。家族で旅行する時は万事が夫任せ。私の切符まで預かってくれる。

一人旅は私にとって期待と不安に満ちた大冒険なのだ。東京駅で駅弁をじっくり選び、切符を握りしめて新幹線の座席に着く。さあ、ここから自分一人で見知らぬ街を目指すのだ。

自分で作った行程表には、列車の時刻や見学場所の滞在時間などが細かく書き込まれている。どこで降り、どの在来線に乗り替えるか。名所までの交通機関は。夕食はどこで取るか。何時に宿に着くか。頭の中で反芻する。

  鳴門の渦潮を見に行った時、徳島へ戻る最終バスは三時台。間に合わずにタクシーを呼んでもらった。現地に行かなければ分らないこともある。

  用意周到のつもりでも、必ず乗り間違ったり道に迷ったりする。情けなくなるが、そんな時でも一人旅は気楽なものだ。誰かに迷惑を掛けることも気を遣うこともない。

「ドジだねえ。ま、ゆっくり行こうか」

自分にそう言うだけだ。

  どこへ行っても、その土地の人は親切だった。地図を見るのが苦手な私は、すぐ人に道を尋ねる。尋ねた場所まで連れて行ってもらったことが何度もある。

  坂の途中で、「大浦天主堂は、ここを上ったところです」と途中まで案内してくれた娘さん。「お気をつけて」の笑顔がそのまま長崎の印象になった。

  そんなふうにして二泊三日をどうにか終え、帰りの新幹線に乗り込む。もう次の予定を確認する必要もない。ここに座っていれば間違いなく東京駅に到着するのだ。

  車窓を眺めながらシートに身を沈めた時、私は不思議な感覚に襲われた。もうしなければならないことは何もない。無事に旅を終えた。あとは自分が帰る場所へ車両の揺れに身を任せるだけ。安心感に包まれている。

  もしかして、これはベッドに身を横たえた人生の最終章の心境ではないだろうか。やるべき事は何とかやった。もう心配することはない。この先は自分の還る場所へ向かうだけ。最期にこのような心持ちになるのだとしたら何だか救われた思いもしてくる。

  旅の終わりに、高揚感や緊張感から解き放され、穏やかな心で車窓を眺める。これが私の一人旅の醍醐味である。

  新幹線は静かにホームへ滑り込んだ。


# by cuckoo2006 | 2017-09-01 15:59 | エッセイ@文章教室 | Trackback | Comments(0)

葉月「ガーベラ」えてがみどどいつ

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黄色い帽子のカルガモたちがも一度右見て左見て

# by cuckoo2006 | 2017-08-28 14:09 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)