小説、映画、絵手紙、都々逸
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卯月飴玉 えてがみどどいつ

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まあるい大きな飴玉舐めて愚痴は言わないことにする
by cuckoo2006 | 2013-04-27 15:57 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「下町ロケット」池井戸潤[著]

a0163466_13375416.jpg内容紹介
主人公・佃航平は宇宙工学研究の道をあきらめ、東京都大田区にある実家の佃製作所を継いでいたが、突然の取引停止、さらに特許侵害の疑いで訴えられるなど、大企業に翻弄され、会社は倒産の危機に瀕していた。
一方、政府から大型ロケットの製造開発を委託されていた帝国重工では、百億円を投じて新型水素エンジンを開発。しかし、世界最先端の技術だと自負していたバルブシステムは、すでに佃製作所により特許が出願されていた。宇宙開発グループ部長の財前道生は佃製作所の経営が窮地に陥っていることを知り、特許を20億円で譲ってほしいと申し出る。資金繰りが苦しい佃製作所だったが、企業としての根幹にかかわるとこの申し出を断り、逆にエンジンそのものを供給させてくれないかと申し出る。
帝国重工では下町の中小企業の強気な姿勢に困惑し憤りを隠せないでいたが、結局、佃製作所の企業調査を行いその結果で供給を受けるかどうか判断するということになった。一方、佃製作所内部も特に若手社員を中心に、特許を譲渡してその分を還元してほしいという声が上がっていた。
そうした中、企業調査がスタート。厳しい目を向け、見下した態度をとる帝国重工社員に対し、佃製作所の若手社員は日本のものづくりを担ってきた町工場の意地を見せる。


 この前読んだ「空飛ぶタイヤ」に続いて二冊目の池井戸潤さん。こちらの「下町ロケット」が直木賞受賞作品です。「空飛ぶタイヤ」と同じく、主人公は中小企業の社長。物語の構図もかなり似ています。

 正義と情熱に燃える中小企業、それに対して、傲慢で事勿れ主義の大企業、、でもその大企業にも物の分かった人間はいて、、、、窮地に陥った町工場に、ギリギリのところで、その気概に報いるように、どこからか救いの手が差し伸ばされる、、、お話の構図も展開も「空飛ぶタイヤ」にそっくり。それでも、面白く気持ち良く読めてしまいます。

 下町の町工場が、大企業に太刀打ちできたのは、何と言っても確固たる高度な技術力を持っていたから。また、社員一人一人を大切にする家族的な信頼関係があってこそでした。酷い会社、嫌な奴は、ことごとくこっぴどい目に合うので、本当に胸がスカッとして、良ーく眠れます。

 私が一番恐ろしいと思ったのは、大手企業が、競争相手である小さな会社に、言掛りのような訴訟を起こすケース。裁判の目的は勝訴ではなく、長期戦に持ち込み、相手の評判を落とし、業績を急落させ、銀行の融資をストップさせること。世間は、あの大企業が訴えることに間違いはない、と上っ面の判断をしてしまう。これは、我が身を振り返っても、大いにあり得ること。しっかり覚えておきます。

 物語の最初と最後は、ともにロケット打ち上げの場面。ラストシーンでは、社長と社員たちのここまでの苦労を思い、やはり泣けました。佃品質、佃スピリットバンザイ!!と一緒に拍手喝采しました。


★次回は、高樹のぶ子の「マルセル」です。
by cuckoo2006 | 2013-04-23 16:35 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)

卯月湯呑み えてがみどどいつ

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湯呑みと広げた日曜版の窓にはたっぷり朝がある
by cuckoo2006 | 2013-04-19 16:17 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「ふくわらい」西加奈子[著]

a0163466_161862.jpg内容紹介
マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。
彼女は幼い頃、紀行作家の父に連れられていった旅先で、誰もが目を覆うような特異な体験をした。
その時から、定は、世間と自分を隔てる壁を強く意識するようになる。
日常を機械的に送る定だったが、ある日、心の奥底にしまいこんでいた、自分でも忘れていたはずの思いに気づいてしまう。
その瞬間、彼女の心の壁は崩れ去り、熱い思いが止めどなく溢れ出すのだった――。


 二晩で読み終えました。久々の先へ先へと読まずにいられない小説。そして、久々に、この人好きだー!という登場人物にも出逢えました。短編集「しずく」には、作者独特の感性を感じましたが、こちらは長編の分、西さんカラーがより濃厚です。

 紀行作家の父と年の離れた病弱な母の元に生まれた定は、幼い頃から周囲とは別の世界にいるような子供でした。めったに感情を現わすことのない定が、ある日、母に与えられた「福笑い」に笑い転げ、夢中になる。父の暗い書斎で、目隠しをし、来る日も来る日も「福笑い」に没頭する定、、、幼い定の五感が伝わってくるような文章です。

 時は流れ、25歳の定は、周囲も認める有能な編集者。相変わらず、世間と隔絶した場所に居る定は、一目置かれつつも、鳴木戸さんは実はロボットなのでは、と気味悪がられています。

 そんな定が担当するのは、変わり者の作家ばかり。その中の一人、週刊誌に連載を持つプロレスラー守口廃尊(ばいそん)が、とても良かった!この人、大好きでした。連戦の果て、失敗した「福笑い」のような顔の守口が、定を前に喫茶店で、言葉と文章について、人間について人生について、猪木について、展開する持論に聞き入ります。

 連載中止が決まり、落ち込んだ守口は、何気ない電話を装い定に助けを求める。彼の部屋で、定のしでかしたことは最悪でしたが、守口はどれほど救われたことでしょうか。追い詰められた守口に応え、定もこれ以上ない自己開示をしたのです。

 守口や、定に一目惚れした盲目のハーフ次郎、出版社の美人同僚小暮しずく、定に出会った人々は、彼女の常識外れな不器用さに面食らいながらも、彼ら自身の生身の感情が引き出されていきます。また、彼らのその無防備な感情が定自身の心と体を解放し、周囲との壁が少しずつ消えていきます。

 定が小暮しずくを、初めて出来た友達、と乳母に紹介するところはほんとにいいシーン。登場人物にこんなに好感を持ったのは久しぶりです。定もいいし、しずくもいいし、もう守口が最高でした。

 最後は、ここまでやらなくても、と思いましたが、心と体、自己と他者、文字と言葉、てんでばらばらだったパーツが、定の中で収まりあった瞬間だったのでしょう。自己完結した世界に留まる小川洋子さんの「最果てアーケード」に対して、若い西さんの方は、そこを一歩踏み出す。ちょっぴり安心もしました。


★次回は、池井戸潤の「下町ロケット」です。
by cuckoo2006 | 2013-04-14 13:20 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)

卯月筍 えてがみどどいつ

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片手に提げてる筍重く葉桜みどりの風が吹く
by cuckoo2006 | 2013-04-08 15:16 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

「最果てアーケード」小川洋子[著]

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内容(「BOOK」データベースより)
ここは、世界でいちばん小さなアーケード―。愛するものを失った人々が、想い出を買いにくる。小川洋子が贈る、切なくも美しい記憶のかけらの物語。



 小川洋子さんの世界でした。何かの拍子にできた、世界の窪みのような、小さな小さなアーケードが物語の舞台です。この場所で生まれ育ち、大家であった父が死んだ後も、アーケード専用の配達係りをしている「私」が主人公。

 訪れる人は極わずか、大通りを行き交う人々のほとんどはアーケードの入り口に気づかない。現実と幻想の狭間にあるようなアーケードには、「一体こんなもの、誰が買うの?」という品物ばかりが並んでいます。その品の一つ一つの由来を尋ねる繊細な描写に引き込まれました。

 年代物のレースを扱うレース屋、その下請けの遺髪レース職人、一種類のドーナツだけを売る輪っか屋、人形や剥製専用の義眼屋、様々な種類のドアノブ屋、買い取りもする勲章屋、使用済みの絵葉書などを扱う紙店、、、、それぞれの店の片隅で、その品を必要としているたった一人がたどり着くまで、品物たちは辛抱強く待ち続けます、、、、

 読んでいくうちに、アーケードに並ぶこれらの店が、誰かにとっては確実に需要があるような現実感が増してきます。それでも、一か所だけ、この場所はやはり現実とかけ離れた異空間なのでは?と思わせるくだりがあります。それは、図書館のリクエストシートに書かれた「私」の連絡先へ、司書が電話を掛けるところ。でも、これも、ただ単に、過去から永遠に変わらない場所、というふうにも取れる。読む者が自由に解釈できる好きな箇所でした。

 世間から見れば不遇とも言える境遇にいる主人公達が、自己完結した静かな幸福感の中で生きている、という小川さんの小説の世界が、ここでも展開されます。そういう意味で、「猫を抱いて象と泳ぐ」に近いものを感じました。

 また、一つ一つのお話が連なり一つの世界を作る、のは、「人質の朗読会」を思い起こします。「人質の朗読会」は、生涯で好きな本ベスト3に入るほど良かった。でも、残念ながら、この「最果てアーケード」は、私の苦手なメルヘン調の色合いが濃く、その分相性は良くありませんでした。

 この本も図書館で半年の順番待ちでした。来る時はどどっと来るもので、この「最果てアーケード」と「ふくわらい」(西加奈子)と「下町ロケット」(池井戸 潤)が同時にやって来て、嬉しい悲鳴を上げております。小川さんの次の予約は、「ことり」、こちらも当分待たされそうです。


★次回は、西加奈子の「ふくわらい」です。
by cuckoo2006 | 2013-04-04 19:47 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)