小説、映画、絵手紙、都々逸
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「風立ちぬ」監督宮崎駿

a0163466_17425357.jpg解説:宮崎駿監督が「崖の上のポニョ」(2008)以来5年ぶりに手がけた長編作。ゼロ戦設計者として知られる堀越二郎と、同時代に生きた文学者・堀辰雄の人生をモデルに生み出された主人公の青年技師・二郎が、関東大震災や経済不況に見舞われ、やがて戦争へと突入していく1920年代という時代にいかに生きたか、その半生を描く。幼い頃から空にあこがれを抱いて育った学生・堀越二郎は、震災の混乱の中で、少女・菜穂子と運命な出会いを果たす。やがて飛行機設計技師として就職し、その才能を買われた二郎は、同期の本庄らとともに技術視察でドイツや西洋諸国をまわり、見聞を広めていく。そしてある夏、二郎は避暑休暇で訪れた山のホテルで菜穂子と再会。やがて2人は結婚する。菜穂子は病弱で療養所暮らしも長引くが、二郎は愛する人の存在に支えられ、新たな飛行機作りに没頭していく。宮崎監督が模型雑誌「月刊モデルグラフィックス」で連載していた漫画が原作。「新世紀エヴァンゲリオン」の監督として知られる庵野秀明が主人公・二郎の声優を務めた。松任谷由美が「魔女の宅急便」以来24年ぶりにジブリ作品に主題歌を提供。(eiga.comより)

 冒頭、二郎少年の夢のシーンの映像から、もうゾクゾク。やっぱり宮崎駿監督作品は、モノが違う!と感激しますが、残念ながら、その感激は前半までしか持ちませんでした。
 

 ゼロ戦設計者の堀越二郎(+堀辰夫の小説の要素が加味されている)の少年期から、関東大震災に遭遇する東大生時代までは、文句なしに引き込まれます。

 二郎は、子供の頃から夢見た飛行機設計の仕事に就き、天性の才能を発揮します。その道一筋に進む人間特有の器の大きさ、無頓着さ、二郎のキャラクターがとても良かった。好きな道で自己の天分を全うする、これほど幸せなことはないでしょう。平和な世であったならば、、、

 しかし、世の中が戦争へと突き進む中、より良い飛行機を作ることは、より高性能な武器を作ることに繋がっていきます。

 物語は、どうもこのあたりから歯切れが悪くなる。やはり実在の人物をモデルにする遠慮というか美化を感じました。二郎は、兵器を作ることに苦悩していたのか、それとも、少しでも良い製品を生み出す技術者の本能が、それを上回っていたのか、、、、その心境は誰にも分かりません。

 戦争に加担する苦悩は曖昧なまま、それを補うように、恋愛シーンでの彼のピュアさが強調されます。ラストシーンでの、堀越二郎が戦後に残したという「(自分の設計した機体は)一機も戻らなかった、、、」という言葉。宮崎監督もどういう風に終らせるか、迷ったんじゃないでしょうか。消化不良のモヤモヤが大きく広がります。

 しかし!胃の腑に落ちぬ気持ちを洗い流すように流れ出す、ユーミンの「ひこうき雲」。それと共に、人物を排した、これまでの場面場面が映し出されます。じんわり込み上げるものがあり、不覚にも、これはいい映画だったのだ、という感想が沸き上がってきます。「良かったよねー」と隣の夫に言っていました。2011年夏の「コクリコ坂から2010年夏の「借りぐらしのアリエッティ」より、少なくともこちらの方が私は好みです。


@TOHOシネマズ西新井
by cuckoo2006 | 2013-08-28 18:31 | 邦画 | Trackback | Comments(0)

葉月缶ビール えてがみどどいつ

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角の踊り場特等席の花火を待ってる缶ビール
by cuckoo2006 | 2013-08-23 18:57 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

葉月かき氷 えてがみどどいつ

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旅の話に映画の話ふたりへ溶けてくかき氷
by cuckoo2006 | 2013-08-17 15:51 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

葉月盆提灯 えてがみどどいつ

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ベランダ夜空へ少ぅし近く迎え火一本焚くおがら
by cuckoo2006 | 2013-08-14 14:01 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

カタルシツ「地下室の手記」演出前川知大

d0074962_1813698.jpg説明:語る室。イキウメのオルタナティヴ、別館を作ります。イキウメからはみ出したものをときどき、ここでやります。
第一回は、地下室でひたすら愚痴をこぼす一人の社会不適合者を描いた、ドストエフスキーの「地下室の手記」を演劇にします。 
世間から軽蔑され虫けらのように扱われた男は、自分を笑った世界を笑い返すため、自意識という「地下室」に潜る。
世の中を怒り、憎み、攻撃し、そして後悔の念からもがき苦しむ、終わりのない絶望と戦う元小官吏のモノローグ。
舞台は帝政ロシアから現代日本に。ネットのストリーミング生放送で、カメラに向かって理路整然と罵詈雑言。
地下室への訪問者に小野ゆり子を迎え、コメントにブチ切れるいい大人を、安井順平が実演します。(前川知大) 

原作 ドストエフスキー(光文社古典新訳文庫「地下室の手記」、安岡治子訳)
脚本・演出 前川知大
出演  安井順平 小野ゆり子
  
 
 

面白かった!これほど小さな劇場で芝居を観るのは初めて。赤坂レッドシアターの座席に着くと、手の届きそうな舞台に幕はなく、目に飛び込んでくるのは、両端に並べられた生活感のある大道具に小道具。ワクワク感に胸が踊ります。

 ふらりと登場して来るのは、主人公の男(安井順平)。ほぼ彼一人の独白で物語は進みます。彼の口から湧き出る言葉は、これまで関わってきた人間達への怒り、恨み、妬み、そして自己憐憫のオンパレード。

 “俺だって頑張ってきたんだ。この社会で生きていこうと。人間関係を作り上げようと。40歳までは。母親が死ぬまでは”

 しかし、ある時から彼は降りてしまう。世の中の邪悪で愚かな連中と対峙することを。日々屈辱にまみれて生きることを。そして、彼は、やって来た。世の中と隔絶したこの地下室へ。

 ここから、彼は、インターネットのニコニコ動画へ思いの丈を吐き出します。そこへぽつぽつと写し出される視聴者からの冷めたコメント。

 ヤダねー、こういう人は、と思いながらも、思い当たる感情、覚えのある行動に、溜め息まじりの笑いが込み上げてきます。

 “コンチキショーと思っている相手に、またニコニコと道を譲ってしまい、夜そいつに肩をぶつける練習をする”

 “指名した女のコに、自意識のカラを破れずキザな説教を続け、あなたの話って本を読んでるみたい、と指摘され傷つく”

 それにしても、ドストエフスキーの文学をこんな下世話な話にしていいのか?という疑問が湧いてきます。帰りがけに売店で原作を買ってみて驚きました。時代背景と設定は違えど、主人公の劇中のセリフとエピソードは、そっくりそのまま。

 ドストエフスキーが、帝政ロシアの時代に、まるで2chでの罵詈雑言のような文章を書いていたとは。巨匠は、2世紀を越えて人間の心の奥底を抉り出していたのですね。

 賢い人間の取るべき行動はただ一つ、なんにもしないことだ、と豪語していた彼。地下室からは絶対に出ないからな!が最後のセリフ。その彼の心の柔らかい部分も充分に受け取れました。人間って哀しいなあ、可愛いなあ、と美空ひばりの唄みたいな感想が沸いてきます。それぞれのツボでの観客の笑い声にも親近感。足取り軽く、心も軽く、劇場を後にしました。


@赤坂レッドシアター
by cuckoo2006 | 2013-08-11 15:40 | 舞台 | Trackback | Comments(0)

葉月ペットボトル えてがみどどいつ

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焼けつく地面のへばった影にペットボトルが空になる
by cuckoo2006 | 2013-08-09 14:29 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)

葉月アイスコーヒー えてがみどどいつ

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アイスコーヒー氷を噛んで猛暑へ回転ドアを押す
by cuckoo2006 | 2013-08-01 15:49 | えてがみどどいつ | Trackback | Comments(0)