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「1Q84」村上春樹〔著〕

1Q84」  

c0186554_1757502.jpgc0186554_1758936.jpgBook Description
1949年にジョージ・オーウェルは、近未来小説としての『1984』を刊行した。
そして2009年、『1Q84』は逆の方向から1984年を描いた近過去小説である。
そこに描かれているのは「こうであったかもしれない」世界なのだ。
私たちが生きている現在が、「そうではなかったかもしれない」世界であるのと、ちょうど同じように。
Book 1
心から一歩も外に出ないものごとは、この世界にはない。心から外に出ないものごとは、そこに別の世界を作り上げていく。
Book 2
「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。


 何はさておき、村上春樹は、私には特別の作家です。「1Q84」は、勿論発売当日に購入。重い本をあちこち連れ歩くのも苦になりません。読み進むことが心のハリになるほど楽しい時間でした。しかし、まあ、サッパリワカラン話です。

 物語の舞台は、1984年、東京。スポーツクラブのインストラクターの女性「青豆」と小説家志望の予備校講師「天吾」が、交互に語り手となります。天吾が、17歳の少女「ふかえり」の書いた小説「空気さなぎ」を書き直したことを発端に、現実の1984年が、未知の世界1Q84年へと変わり始めていきます・・・

 いつもながら、文章が巧いこと自体を気づかせないほどの滑らかさです。青豆と天吾の現在と過去、彼らを取り巻く人々、そして二つの月・・・ミステリーの興味もいっぱいに、物語は謎めいた世界へ展開していきます。筋立てそのものは非常に面白く読みやすい。しかしながら、作者の意図したメッセージを読み解こうとすると、もうお手上げでした。一つだけ、はっきり受け取れたことは、「善悪の価値観の基準は、一つではない」、ということ。これは、カルトリーダーと青豆との対決の中で、提示されていきます。

 最後の1ページを読み終えて、これで終りの筈がない!絶対に続編がある!と確信したのですが、それも間違いだったようです。6月23日付け朝日新聞文化欄の『1Q84』を読み解く、で本の内容について書かれた部分で一番ピタリときたのが森達也氏の書評。その中で、『この国にはいない「ビッグ・ブラザー」(オーウェル著「1984年」で描かれた)に対し、「リトル・ピープル」は、民意や世相を表す。決意や思想は、物語という間接話法によってより強く読む側の意識に刻まれる。その意味ではラストにも納得した。続編はありえない。』と。

 目から鱗でした。もう一度、最も難解な下巻の後半を読み返してみると、「二人」は、このようなかたちで結ばれたのだ、と思えてきました。そして、天吾の「彼女を見つけ出そう」は、「明日からも生きていこう」という希望の言葉と同意に受け取れました。続編はない!に、影響されやすい私も全面的に賛成です。

 下に再掲載しました地下鉄サリン事件被害者の話をまとめたノンフィクション村上春樹著「アンダーグラウンド」の感想文もお読みくだされば光栄です。
by cuckoo2006 | 2009-07-31 11:38 | 村上春樹 | Trackback | Comments(1)
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Commented at 2009-10-08 13:12 x
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