小説、映画、絵手紙、都々逸
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「ノルウェイの森」 監督トラン・アン・ユン

ノルウェイの森」 a0163466_2136189.jpg
見どころ
87年に刊行された村上春樹の世界的ベストセラー小説を、20年以上の年月を経て実写映画化したラブストーリー。松山ケンイチ扮する大学生ワタナベが2人の女性のはざまで心を揺らすさまを、「青いパパイヤの香り」の名匠トラン・アン・ユンが、原作の持つ切ない世界観そのままに、みずみずしく映し出す。
キャスト
松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、高良健吾、玉山鉄二、霧島れいか(Movie Walkerより)



 これは、原作者が観てもがっかりしないでしょう。村上春樹作品のイメージが、かなり正確に映像化されています。それに松山ケンイチ演ずる主人公ワタナベトオルの容貌、喋り方、雰囲気が村上春樹にとても良く似てます。原作の中のワタナベと著者自身がかなりの部分で重なるので、毎回役がのりうつると言われる“憑依役者”マツケンの存在が、この映画成功の決め手となりました。

 物語のはじまりは、1967年、ワタナベと彼の親友キズキ、キズキの幼なじみの直子の三人が高校時代を過ごす神戸から。キズキは卒業を前に自ら命を絶つ。東京で空虚な大学生活を始めるワタナベ。そんな時、彼は偶然、直子に再会する。しかし、直子の二十歳の誕生日を祝った日を境に彼女はワタナベの前から姿を消してしまう。夏休みの前、ワタナベはキャンパスでミドリと出会う・・・

 学生運動が激化した大学を舞台に、髪を横分けにしズボンにシャツインした物憂い表情のマツケンは60年代の終わりにすんなり溶け込んでいるし、直子役の菊池凛子もその時代の人に見えます。ミドリ役の水原希子も入江美紀(小澤征爾夫人)か加賀まりこを思わせるような昔の洒落た女の子の雰囲気がいい具合。三人の配役に違和感がありません。

 「ノルウェイの森」を読んだ一番の感想は、『あぁ、あん時、ああいう服着てこういうもの食べて、あんなこと考えていたっけなぁ』というものでした。この映画もそれと全く同じ。スパッと切り取られたその季節の空気感に浸り、そこに居た自分と対面する、感覚です。

 辟易としたシーンは原作通りだろうし、原作の印象的な場面は幾つも削られていました。中年にさしかかったワタナベがドイツへ向かう機内で、ビートルズの「ノルウェイの森」を聴き過去を回想する、という導入部まで省かれています。そんなこんな差し引いても、この映画は劇場で観ておいて良かったと思います。

 がっかりしたくないので、原作を読んだ映画は観ないことにしているのですが、この「ノルウェイの森」は、本とは違うもう一つ別の良さを持っています。時代を流れていたリアルな風の匂いを吸い込むことができました。映画化成功でしょう。


@TOHOシネマズ西新井
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by cuckoo2006 | 2010-12-21 21:50 | 村上春樹 | Trackback | Comments(0)
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