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「冬の裁き」 スチュアート・カミンスキー[著]
「冬の裁き」
真冬のシカゴ。深夜、若い夫婦が二人組に襲われた。夫は射殺され、妻は重傷。老刑事エイブ・リーバーマンにとって、これは特別な事件だった。殺されたのは、彼の甥だったのだ―こうして、長い一日がはじまった。犯罪が続発し、哀しみの葬儀が進むなか、リーバーマンの執念の捜査はつづく。そして24時間後、彼は事件に潜む真の悲劇を裁く場に立っていた…一日を時系列的に追う緊密な構成で、からみあう犯罪と人間模様を浮き彫りにする野心的ミステリー。MWA賞作家カミンスキー、渾身の一作。(文庫本裏表紙より) 久々の海外ミステリー。途中で止まれない“一気本”ではなかったけれど、落ち着いて楽しめました。近頃、根を詰めるとめっきり身体に障るので、丁度いい具合の面白さです。 舞台は、真冬のシカゴ。午前0時2分、路上で若い夫婦が二人組の強盗に襲われる。事件を担当することになったリバーマン刑事は、被害者が兄夫婦の息子と妊娠中の妻であることを知る。一族を襲った深い悲しみの中、リバーマンは執念の捜査を続ける。一方同僚のハンラハン刑事が抱える事件も危機が迫っていた。その日の夜11時30分にすべての真相が明らかになるまでの長い長い一日の話です。 物語は、終始暗く静かなトーンで進みます。事件と並行して刑事の家庭が描かれるところも私の好みでした。家族の間の微妙な距離感や小さな不協和音などが繊細に描かれます。リバーマンが、野球場へ初めて連れて行った甥の喜んだ丸顔を思い出すところや、リバーマンの娘リサが、別れた夫の新しいガールフレンドに父が好感を持ったことに心が揺れる描写など、しっくり来ました。 最後に、追い詰めた犯人とリバーマンが交わす一つの約束・・・悲劇の結末は想像もつかないものでした。 相性がいい作家に出会えたと喜んだのですが、作者スチュアート・カミンスキーは、残念なことに2009年に75歳で亡くなっています。エイブ・リバーマン刑事シリーズは、あと2冊「裏切りの銃弾」と「愚者たちの街」が出ているのでどちらか読んでみようと思います。
by cuckoo2006
| 2011-02-02 12:52
| 海外ミステリー
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Comments(2)
Commented
by
通りすがり
at 2012-11-03 12:09
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はじめまして。
この著者の情報を求め、こちらに来ました。 私が読んだのは「消えた人妻」と言う作品で、この安っぽい(感じがする)タイトルが、本当に勿体無い、良い拾い物をしたと思いました。 亡くなっているんですね。じゃあもう続けて訳されることもないんだろうなぁ。 相性が良いと書かれていますので、押し付けがましいのですが、上記作品お勧めします。 私も他作品を読んでみたいと思います。
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Commented
by
cuckoo2006 at 2012-11-03 21:52
スチュアート・カミンスキーの情報ありがとうございます!
「消えた人妻」読んでみます。通りすがりさんも海外ミステリファンでいらっしゃいますな。 私は、ネットで見つけた同好の士のブログを頼りに、次に読む本を決めたりしてます。ハズレに当たらずに済み助かってます。 またお勧め本などあれば教えてくださいね♪
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