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「そろそろ旅に」 松井今朝子[著]

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内容(「BOOK」データベースより)
のちに十返舎一九の名で「東海道中膝栗毛」を著し、一大旋風を巻き起こす重田与七郎の若き日々。故郷駿府を出て大坂、江戸へ―。行く手の定まらない男が、行きつ戻りつ、旅の途中で見つけた己れの進む道とは。直木賞作家、渾身の長編小説。


  時代小説はどうも苦手なのですが、この本は私と一才違いの女性作家によるもの。そう思うとグンととっつき良く読み易かった。ご存じ「東海道中膝栗毛」を書いた十返舎一九の若き日々が描かれます。

 万事につけ鷹揚で度胸が据わり、人当たり良く優しい。お気楽でだらしないのだが、不思議と周囲の人の心にするりと入ってしまい、女達からは放って置かれない。だいたいこんな一九の人物像なのですが、作者は何を頼りに一九の人となりを仕立てたのでしょうか。

 エピローグの中の一文、『だれのことも何かと貶した馬琴が、どうしたわけか一九のことだけはあまり悪く書かなかった』を読んでナルホドと思いました。つまり、同時代に活躍した作家の中で一番長生きし、仲間を評する書物を残した滝沢馬琴(南総里見八犬伝・著)が、 “唯一、一九のことだけ悪く書かなかった”、この一つの事実から、十返舎一九という歴史上の人物に血を通わせ表情を与えた、というわけですよね。史実も調べた上のことでしょうが、作家の想像力って凄いものです。

 当の馬琴はというと、悪女の後家に婿入りした身の不運を嘆きながらも子沢山の子煩悩。一九に文献について質問などされると喜び勇んで博識を披露します。また生意気盛りの式亭三馬(浮世床・著)も登場し、一九と連れ立って雑俳の会に出掛けたりする。皆それぞれが後世に残る代表作を発表する前の、焦ったり悔しがったり喜んだりする姿が生き生きと描かれます。

 私が一番心を引かれたのは、一九の抱える心の闇でした。目の前の人と話している時でさえ心がふと旅に出てしまう、そんな一九の胸の奥底にあるもの・・・それは、武士出身である一九が幼い頃から一緒にいる家来の太吉の存在が大きく関わっていました。最後に謎が明かされる太吉とのやり取りが、一九の心のあり様、生き様をリアルに肉付けしています。

 二度の婿入りを離縁した一九ですが、夫婦がもう元に戻れないと察した時に、穏やかさと親しさを再び感じ合う描写など沁みました。二人の妻ともが一九が旅立つことを許してしまいます。心に深い闇を抱えた一九が、抱腹絶倒の弥二喜多道中をものにし、馬鹿馬鹿しさなら天下一品、と言われたのも面白く切ないものですね。

 ところで、私は毎日、松井今朝子さんのブログ「今朝子の晩ごはん」 を読んでます。震災の時には情報と意見を発信しつづけ、今は首相を“ブースカ”と呼びやっつけてくれてます。そんなわけで、なんだか知ってる人が書いた小説を読んでるような感覚を味わいました。(「快獣ブースカ」とは我々が子供の時の円谷プロによる人気アニメ)

 最後に十返舎一九辞世の句をご紹介、

この世をば どりゃお暇(いとま)に 線香の 煙とともに 灰(はい)左様なら


★次回は、映画「ステキな金縛り」です。

by cuckoo2006 | 2011-11-21 20:21 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)
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