絵手紙に自作の都々逸を載せています。小説と映画の感想も。
by cuckoo2006
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「イーハトーボの劇列車」作井上ひさし 演出鵜山仁


「イーハトーボの劇列車」作井上ひさし 演出鵜山仁_d0074962_17052743.png

■作井上ひさし■演出鵜山仁■出演井上芳雄 辻萬長 大和田美帆 木野花 土屋良太 石橋徹郎 小椋毅 松永玲子 田村勝彦 大久保祥太郎 鹿野真央 みのすけ 演奏:荻野清子
■ストーリー
大正七(一九一八)年十二月二十六日、宮沢賢治は、故郷花巻から東京に入院している妹・とし子の見舞いを目的に上野行きの夜行列車に乗り込んだ。その手には大きな革のトランクが握りしめられ、たくさんの願いが詰め込まれていた。
「大好きな音楽を聞き、エスペラント語の勉強をする。そのためには家の重圧から逃れ、父の庇護の下を離れなければならない。そして何よりも真の生き方を探すことである」
賢治は、東京に理想郷を求めては挫折を繰り返し、九度の上京の中でいつしか花巻に理想郷を見いだす。東京での出来事と上京する列車の中で賢治の童話から抜け出たような人物たちと織りなす夢のような時間が交差する。そして挫折の度に突然現れる背の高い、赤い帽子の車掌から手渡される「思い残し切符」とは・・・・・・。
井上ひさしが愛してやまない日本語に、不思議でかわいらしい、そして輝くような魅力を付け加えてくれた、岩手花巻人である宮沢賢治の評伝劇。文学、音楽、化学、農業、宗教、芸能など多岐にわたる才能を、虚弱ゆえ叶えることが出来なかった賢治。この数々の大切なものを、鵜山仁の新演出で現代に問いかけます。
ミュージカルだけでなくストレートプレイでも高い評価を得ている井上芳雄をはじめとする実力派の新キャスト陣を迎えて、十四年ぶりに再演いたします。(こまつ座HPより)


 宮沢賢治と井上ひさしの世界に、同時に浸りました。

 学生服姿の賢治が妹とし子の看病に上京するところから、37歳で亡くなるまでの時間。幻想的な賢治の世界を、井上ひさしが言葉の魅力いっぱいに紡ぎます。

 舞台には、楕円形のお盆のような回り舞台が乗り、そこが上り夜行列車や賢治の下宿先になり、また宇宙と繋がる空間にもなります。役者達の発する賢治作品独特の擬音と、小気味いい台詞回しに賢治の人生がテンポ良く展開していきます。

 理想を掲げ清貧の中を生きた人、というのが私の賢治像でしたが、彼が岩手の名家の体が丈夫でないボンボンだったことも初めて知りました。もちろん一貫して弱い立場の人の側に身を置き、肉食の罪の意識を感じ菜食を通した賢治は、「雨ニモマケズ」のイメージそのものですが。

 それでも一方、家業を嫌い、父親と対立しながらも理想郷を作るための活動資金を実家から受け続けます。元祖モラトリアム人間のデクノボーではありませんか。親近感が増してしまいます。

 ユートピアを作る、という賢治の夢は、周囲の大人達には甘いと吐き捨てられ、暮らしに追われる農民達には全くの絵空事。孤立する賢治は、夢と絶望の間を揺れ動きます。そして、唯一の理解者だった妹とし子を病で失います。

 疲れ切って列車で眠り込む賢治に、賢治の本の登場人物達が、もう楽にしてやろうと窓から冷たい風を入れます。作者の優しさが染みました。賢治は肺炎のため亡くなります。

 最後は、死者の世界へ旅立つ銀河鉄道発車の場面。「これから私達が行く場所は、あなた方がいるような暖かで楽しい場所ではありません」という木野花の放つ台詞に涙が出そうになりました。何時か必ず自分もそこへ行くことが感じ取れたら。それでも、旅立つ人達の表情は一様に穏やかなものでした。

 紀伊国屋書店で、「銀河鉄道の夜」の文庫本を買って帰りました。劇中で歌われた「星めぐりの歌」、そして、物語に散りばめられた「思い残し切符」、、、賢治のやさしい世界に浸っています。郷愁を感じるような舞台でした。


@紀伊国屋サザンシアター



    星めぐりの歌

    宮澤賢治


    あかいめだまの さそり
    ひろげた鷲の  つばさ
    あをいめだまの 小いぬ、
    ひかりのへびの とぐろ。

    オリオンは高く うたひ
     つゆとしもとを おとす、
    アンドロメダの くもは
    さかなのくちの かたち。

    大ぐまのあしを きたに
    五つのばした  ところ。
    小熊のひたいの うへは
    そらのめぐりの めあて。

by cuckoo2006 | 2013-10-26 21:37 | 舞台 | Trackback(1) | Comments(2)
Tracked from 梟通信~ホンの戯言 at 2013-10-27 10:05
タイトル : 修羅を脱け出せるのはデクノボーだけだ こまつ座「イーハト..
こまつ座第101回公演「イーハトーボの劇列車」を観に紀伊国屋サザンシアターへ。 最初のうちは劇の中に入っていけなかった。 説明的なセリフが面倒、落語とか能・狂言のようなものしか受け付けなくなっているのかもしれない。 (ロビーで買った本、俺も一緒に聞かせてもらおう) 家出した宮沢賢治(井上芳雄)を連れ戻そうと父親(辻萬長)が上京して、賢治と宗論を戦わすあたりから面白くなった。 賢治が法華経を信じ先祖代々の浄土真宗を否定、その大きな理由に法華経は、「今いるそこを浄土としろ」といい浄土真宗...... more
Commented by saheizi-inokori at 2013-10-27 10:04
下宿のおばさんが好かったです。
又賢治回帰中。
Commented by cuckoo2006 at 2013-10-27 14:21
saheiziさんもお書きですが、賢治(井上芳雄)と父親(辻萬長)と未亡人(木野花)の下宿屋の場面、良かったですね。
それにしても、木野花さん、色白の瓜実顔でお綺麗でした。
“メガネ会計ババア”とはもう呼べませぬ。
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