絵手紙に自作の都々逸を載せています。小説と映画の感想も。
by cuckoo2006
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「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティ[著]


「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティ[著]_d0074962_15434783.jpg
 それぞれ見も知らぬ、さまざまの職業、年齢、経歴の十人の男女が、U・N・オーエンと名乗る一人の男からの招待状を手に、デヴォン州沖にあるインディアン島へむかっていた。不気味な岩だらけの島だった。やがて一行は豪奢な大邸宅へとついたが、肝心の正体主は姿を見せず、そのかわりに見事な食卓が待っていた。不審に思いながらも十人が食卓についたとき、どこからともなく古い童謡がひびいてきた。つづいて、十人の客たちの過去の犯罪を、一人ずつ告発していく不気味な声が・・・・・!クリスティ、最高の異色作。(文庫本裏表紙より)

 お正月に三谷幸喜脚本の二夜連続ドラマ「オリエント急行殺人事件」やってましたね。結末におぼろげな記憶があっても、やはり老舗の安定感。楽しめました。久しぶりにアガサ・クリスティを読みたくなって図書館に「そして誰もいなくなった」を予約。“死ぬまでに読んでおきたい名作ミステリー”などで必ず上位に挙がる作品です。

 けれども私が受け取った本は、あまりに黄ばんであまりに字が小さく、その上大勢の登場人物名のややこしいこと。正直滅入りかけましたが、読み進むうちにそんなことは飛んでいきました。

 何人もの無関係な人間が一つの場所に集められるという展開に、アレ、これ前に読んだっけ?と何度も既視感を覚えました。それほど、これ以後の小説やドラマに、この本が影響を与えてきたことが分かります。

 一人、また一人と“十人のインディアンの少年の唄”の歌詞の通りに殺されていく招待客たち。やがて彼等は、この小島に閉じ込められた自分達の中の一人が殺人者であることに気づきます。殺人者は、ある手段を使って告発します。招待客全員が法によって裁くことのできない罪を犯していることを。

 隠し通してきた罪が暴かれる恐怖、罪の意識とそれを打ち消す感情、他者の犯した罪への嫌悪感、彼等はじりじりと追い詰められていきます。そしてこの中の誰が殺人者なのか。疑心暗鬼の中、招待客たちは警戒し合いつつ連帯行動を取ります。

 もう、次から次へと殺されていく。探偵役はいないので誰に感情移入して良いのやら、こちらの心も右往左往。疑惑を抱き合ったまま最後の三人となり、一人が除かれ、遂に二人は相対する。やがて一人残った人物は、、、、

 最終章で、すべてのからくりが明らかになります。犯人が解った読者はまずいないでしょう。真相は胃の腑に落ちるものでした。この手法でこの順序ならば現実的可能性があるだろうと。今の時代に発表されてもネット上で矛盾点は突かれないはずです。

 殺人事件の緻密さと人間心理の繊細さ、黄ばんだページもなんのその、やはり古典の中の古典ミステリは極上でした。「そして誰もいなくなった」と並び名作ランキング常連のエラリー・クィーン「Yの悲劇」も遅ればせながら読んでみましょう! 
by cuckoo2006 | 2015-02-10 12:36 | 海外ミステリー | Trackback | Comments(0)
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