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「おみおくりの作法」監督監督ウベルト・パゾリーニ解説:孤独死した人を弔う仕事をする民生係の男が、故人の人生を紐解き、新たな人々との出会いから、生きることとは何かを見つめ直していく姿を描いたイギリス製ヒューマンドラマ。「フル・モンティ」「パルーカヴィル」などのプロデューサーとして知られるウベルト・パゾリーニが監督・脚本を手がけ、「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」「戦火の馬」のエディ・マーサンが主演。人気ドラマ「ダウントン・アビー」のジョアンヌ・フロガットらが共演した。ロンドンに暮らすジョン・メイは、孤独死した人を弔う民生係として働いてきたが、人員整理で解雇を言い渡され、自宅の真向かいに住むビリーの弔いが最後の案件になる。これまでも誠実に故人と向き合い、弔いをしてきたジョンだったが、最後の仕事にはいつも以上に熱心になり、故人を知る人を訪ね、葬儀に招く旅を経て、心の中に変化が生じていく。(映画.comより)
スクリーンに近さを感じました。 終始淡々とした色合いで主人公の日常が進んでいきます。ですからスクリーンを見ているのではなく、実際に目の前で繰り広げられている光景を眺めている感覚がありました。そして実生活においてと同じように色んな思いが浮かんでは消えていきます。客観的に映画を観ているのと違う不思議な感覚がありました。 ジョン・メイは、市の民生係として身寄りのない人を弔う職務を20年以上続けています。故人の歴史や宗派、好みの音楽まで調べあげ、心を尽くした葬儀を執り行ってきました。葬儀に参列するのは牧師の他は毎回ジョン・メイ唯一人。そして彼は、見送った人の写真を自宅のアルバムに一枚ずつ貼ります。自分の友人か、または自分自身のように。 ジョン・メイ自身の内面を現わすような質素で秩序正しい日常が描かれるなか、彼を肯定する気持ちと違和感とが同時に湧いて、落ち着かない気持ちになりました。 こんなふうに故人の最期に心を寄せる人が一人でも居ることがせめてもの救い、という思い。しかしジョン・メイが探し当てた故人の身内は、ことごとく葬儀参列の依頼を強く拒否する。彼の誠意の限りを尽くした仕事によっていったい誰が救われているのかという疑問も湧いてきます。職場の年若い上司が言うように、「限りある時間と予算は生きている者に効率良く使うべきだ」も残念ながら正論に思えます。 ジョン・メイのシンプルで折り目正しい生活スタイルには心地良さを感じました。そして小さなご褒美のような良いこともあります。トラックが落としていったアイスクリームだったり、ホームレスとの酒盛りだったり、胸躍る出会いだったり、、、 物語は淡々としたトーンから、不条理劇のような様相を見せ、現実から乖離した形で終わります。人生の最期がどうだったかなどは何の問題でもない。生まれて生き、人との淡い交流を経て死んでいく、それで良いのだ、というすべてを肯定する安心感に包まれました。何だかスゴイ映画でありました。 @銀座シネスイッチ
by cuckoo2006
| 2015-03-11 20:40
| 洋画
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