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「羊と鋼の森」宮下奈都〔著〕

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内容(「Book」データベースより)

ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。


 全体を流れるトーンは、私の好きな小川洋子作品を思い起こす静謐さです。

 森に囲まれた山間の集落で生まれ育った外村(とむら)は高校生の時、体育館のピアノの調律に偶然立ち会う。蓋を開けたグランドピアノの鍵盤を調律師が叩くと、森の匂いがしました。

 この出会いにより何かに導かれるように、外村は調律師になる道を歩み出します。調律という森に足を踏み入れてしまった外村は、もがきながらも一歩一歩前に進んで行く。そこは迷い込んだら帰れない鬱蒼と茂った暗い森のようでした。

 音を描写する繊細な言葉に引き込まれます。ピアノの中にあるハンマーが羊の毛で作られたフェルトであること。いい草を食べて育ったいい羊の毛を使ったフェルトがいい音を出すこと。ピアノの木はスプルースという松の木の一種であること。音から景色が浮かんでくること。外村と一緒に感覚が研ぎ澄まされていくようです。

 それと物語のもう一つの魅力は、外村が暗中模索する姿に共感できるところ。調律師という馴染みの少ない職種が描かれますが、外村の苦しみはどんな仕事にも共通するように思えます。実は自分には不向きなのではないか、自分が一人前になる姿が皆目想像出来ない、何をどうすればいいのかさえ解らない、、熱意はたやすく不安や葛藤に押しつぶされます。

本の中には、たくさんの会話があります。
「焦ってはいけない。こつこつ、こつこつです」
「どういうふうにこつこつするのが正しいのでしょう」
「こつこつと迷って、こつこつとヒット・エンド・ランです」
「ホームランはないんですね」
「ホームランを狙ってはだめなんです」

 その他にも、
「料理人が一度の味見で決めるように調律師も一度で音を決められなかったら迷い続けることになる」
「どんなことでも1万時間かければ形になる。悩むならその後にしろ」1万時間はだいたい5、6年ということらしい。
「才能っていうのは、どんなことがあっても、そこから離れられない執念や闘志みたいなもの」

 私も先輩達の言葉に励まされました。
 
 外村は少年の頃、森をあてもなく歩いている時にだけ自分はゆるされている、世界と調和していると感じることができた。彼はそれをピアノの中に見つけます。自分を包んでいたあの森をピアノで再現できる日まで外村は努力を続けるのでしょう。
 
 芥川賞は、コンビニ人間」
に破れましたが、2016年本屋大賞受賞作品。地道に頑張れば何とかなる!それしかないのだ!若い人をたくさん励ました本に違いありません。


by cuckoo2006 | 2016-10-26 21:15 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)
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