絵手紙に自作の都々逸を載せています。小説と映画の感想も。
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「トムは真夜中の庭で」フィリパ・ピアス[著]


「トムは真夜中の庭で」フィリパ・ピアス[著]_d0074962_12392873.jpg

「トムは真夜中の庭で」を子どもの頃、読んだ、という方はいらっしゃいますでしょうか。
イギリスの児童文学の中の傑作中の傑作といわれる作品だそうです。
1958年にフィリパ・ピアスという女性作家によって書かれています。

主人公トムは、弟がはしかにかかり叔父さん、叔母さん夫婦の元に預けられます。
叔父さん叔母さんの住まいは、昔は一軒の大きな邸宅だったのをアパートにしたものでした。かつての庭園も今はなく、その後にできた小さな家がぐるりとひしめき合っていました。

はしかにかかっているかも知れないトムは外出も許されず退屈しきっています。
そんなある晩のこと、ホールにある大時計が13時を打ち、トムは眠れないまま階段を降りて行きます。
トムが暗いホールの一番奥のドアを開けると、そこには広い芝生のあちこちに花壇がありモミの木やイチイの木を囲み様々な花が咲き乱れていました。

そこでトムは一人の少女ハティと出会います。
庭園の世界には、ハティの他に三人の従兄弟や園丁、女中、そして意地悪なハティの親戚のおばさんがいました。
それからトムはハティに会いに真夜中の庭園に毎晩、通います。

しかし庭園を流れる「時間」の速さや順序はばらばらで、ハティの年齢も季節もその時々で変化します。
トムは自分がいる「時間」とハティの住む世界の「時間」が違うことに気づくのでした。

小さな女の子のハティが従兄弟達に相手にしてもらえなかったり、親戚のおばさんに邪険にされるのを心配したトムは、彼女の遊び相手になり慰め励まし続けます。
それでもハティが結婚する年齢になると、彼女からはもうトムの姿は見えなくなり、トムのことも忘れてしまいます。

この場面が私は一番印象に残りました。
子どもの読者が、置いてきぼりにされたトムに感情移入していることを考え、切なくも微笑ましい気持ちになりました。
同時に自分が大人目線で読んでいることに、がっかりもしました。

巻末に著者フィリパ・ピアスの「『真夜中の庭で』のこと」、という文章が載っています。
時間が人間の上にもたらす変化に触れ、『子どもたちは、かれらがやがて大人になるとか、大人もかつては子どもだったなどときくと、声をあげて笑う。』という一文に驚きました。
子どもの感覚を新鮮に感じてしまいました。

平仮名がやや多い他は、「児童文学」ということを感じさせません。
小学校高学年くらいにならないと緻密な風景の描写などを読み取るのは難しいでしょう。
著者ピアスの言葉は『私たちはみんな、じぶんのなかに子どもをもっているのだ。』と結ばれます。
感じ入りました。

by cuckoo2006 | 2021-03-25 13:02 | 児童文学 | Trackback | Comments(2)
Commented by exarakant at 2021-03-26 03:18
池田正孝氏の「世界の児童文学をめぐる旅」、昨日本屋さんで受け取ってきました。
『トムは真夜中の庭で』のページをさっそく開いてみました。
「自分の中に子どもをもっている」、まさに同感です。
もっとも、大人になれなかったおとなも居まして、これはとても厄介な場合が多いです。
これはもう一度読んでみなければと思ったことでした。

年老いた婦人と抱擁するトムの設定があるなら、逆に抱擁する年老いた男と少女、出会うごとに若返って行く設定もあるかな、そんな設定を夢想しているところです。
Commented by cuckoo2006 at 2021-03-26 12:30
exarakantさん
『世界の児童文学をめぐる旅』お手元に届いて嬉しいです。
『トムは真夜中の庭で』はとても深みのある物語でした。
でも実を言うと、私の大人のアタマでは、「スケート靴」のくだりだけは、うまく飲み込めませんでした。
もし、子どもの頃に読んでいたら、「現実的に有り得ない」などという感想は沸かなかったのでは、と残念な気持ちにもなりました。

その問題の「スケート靴」ですが、物語の舞台となり、現存している邸宅に本当にあった、と池田先生の著書で紹介されています。
面白いなあと思いました。
児童文学を読み漁った?あらかんとさんでしたら、私よりずっと楽しめる内容かも知れません(⌒‐⌒)
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