カテゴリ
全体本(日本のもの) 本(外国のもの) 海外ミステリー 村上春樹 邦画 洋画 韓国映画 舞台 えてがみどどいつ 折り込み都々逸 折り込み短・狂歌 狂歌(今年を振り返って) 絵手紙展 3分スピーチ@話し方教室 エッセイ@文章教室 児童文学 旧作再掲載 未分類 以前の記事
2024年 03月2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... 最新のコメント
最新のトラックバック
ブックマーク (五十音順)
★都々逸しぐれ吟社★
伊勢の手鏡 インディアンとウチナーンチュ Welcome to Dolphin Samba えっちゃんの絵手紙日記 ブログ版「江戸時間で暮 す」 小野桂之介の「都々逸っていいなあ」 おばさんの、ひとりごと 想い出CameraⅣ 北川ふぅふぅの赤鬼と青鬼のタンゴ 霧島の森よりキルトとともに愛をこめて・・・ くぬぎの森の物語 / 鵜澤廣 春夏秋冬 銀の絵手紙 JAZZ VOCAL KUNIE IWANAMI ないものを あるもので 日本語のおもしろ言葉遊び 日本回文協会 日々是絵手紙 梟通信~ホンの戯言 47都道府県温泉制覇 +旅の都々逸 タグ
絵手紙(559)
都々逸(453) 愛犬ハル(58) 折り込み都々逸(31) 湯呑み(13) 小説(12) どどいつ(11) 3分スピーチ(9) 菊(7) 村上春樹(7) 記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
「トムは真夜中の庭で」フィリパ・ピアス[著]「トムは真夜中の庭で」を子どもの頃、読んだ、という方はいらっしゃいますでしょうか。
イギリスの児童文学の中の傑作中の傑作といわれる作品だそうです。 1958年にフィリパ・ピアスという女性作家によって書かれています。 主人公トムは、弟がはしかにかかり叔父さん、叔母さん夫婦の元に預けられます。 叔父さん叔母さんの住まいは、昔は一軒の大きな邸宅だったのをアパートにしたものでした。かつての庭園も今はなく、その後にできた小さな家がぐるりとひしめき合っていました。 はしかにかかっているかも知れないトムは外出も許されず退屈しきっています。 そんなある晩のこと、ホールにある大時計が13時を打ち、トムは眠れないまま階段を降りて行きます。 トムが暗いホールの一番奥のドアを開けると、そこには広い芝生のあちこちに花壇がありモミの木やイチイの木を囲み様々な花が咲き乱れていました。 そこでトムは一人の少女ハティと出会います。 庭園の世界には、ハティの他に三人の従兄弟や園丁、女中、そして意地悪なハティの親戚のおばさんがいました。 それからトムはハティに会いに真夜中の庭園に毎晩、通います。 しかし庭園を流れる「時間」の速さや順序はばらばらで、ハティの年齢も季節もその時々で変化します。 トムは自分がいる「時間」とハティの住む世界の「時間」が違うことに気づくのでした。 小さな女の子のハティが従兄弟達に相手にしてもらえなかったり、親戚のおばさんに邪険にされるのを心配したトムは、彼女の遊び相手になり慰め励まし続けます。 それでもハティが結婚する年齢になると、彼女からはもうトムの姿は見えなくなり、トムのことも忘れてしまいます。 この場面が私は一番印象に残りました。 子どもの読者が、置いてきぼりにされたトムに感情移入していることを考え、切なくも微笑ましい気持ちになりました。 同時に自分が大人目線で読んでいることに、がっかりもしました。 巻末に著者フィリパ・ピアスの「『真夜中の庭で』のこと」、という文章が載っています。 時間が人間の上にもたらす変化に触れ、『子どもたちは、かれらがやがて大人になるとか、大人もかつては子どもだったなどときくと、声をあげて笑う。』という一文に驚きました。 子どもの感覚を新鮮に感じてしまいました。 平仮名がやや多い他は、「児童文学」ということを感じさせません。 小学校高学年くらいにならないと緻密な風景の描写などを読み取るのは難しいでしょう。 著者ピアスの言葉は『私たちはみんな、じぶんのなかに子どもをもっているのだ。』と結ばれます。 感じ入りました。
by cuckoo2006
| 2021-03-25 13:02
| 児童文学
|
Trackback
|
Comments(2)
Commented
by
exarakant at 2021-03-26 03:18
池田正孝氏の「世界の児童文学をめぐる旅」、昨日本屋さんで受け取ってきました。
『トムは真夜中の庭で』のページをさっそく開いてみました。 「自分の中に子どもをもっている」、まさに同感です。 もっとも、大人になれなかったおとなも居まして、これはとても厄介な場合が多いです。 これはもう一度読んでみなければと思ったことでした。 年老いた婦人と抱擁するトムの設定があるなら、逆に抱擁する年老いた男と少女、出会うごとに若返って行く設定もあるかな、そんな設定を夢想しているところです。
0
Commented
by
cuckoo2006 at 2021-03-26 12:30
exarakantさん
『世界の児童文学をめぐる旅』お手元に届いて嬉しいです。 『トムは真夜中の庭で』はとても深みのある物語でした。 でも実を言うと、私の大人のアタマでは、「スケート靴」のくだりだけは、うまく飲み込めませんでした。 もし、子どもの頃に読んでいたら、「現実的に有り得ない」などという感想は沸かなかったのでは、と残念な気持ちにもなりました。 その問題の「スケート靴」ですが、物語の舞台となり、現存している邸宅に本当にあった、と池田先生の著書で紹介されています。 面白いなあと思いました。 児童文学を読み漁った?あらかんとさんでしたら、私よりずっと楽しめる内容かも知れません(⌒‐⌒)
|