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「石狩平野」上・下 船山馨〔著〕

北海道・小樽、
貧しい小作農の娘・鶴代が生き抜いた明治、大正、昭和の時代ー

「鶴ンこ」と呼ばれるこの主人公の強く明るく気持がいいことったらなかった。

真っ直ぐ顔を上げ、どんなに苦労して損することになっても決して自分を曲げない。
いつも人生に真正直に立ち向かい貧乏し倒した鶴代13歳から77歳までー

何のかんの言っても、人間、お天道様に恥ずかしくないよう真っ当に生きた者の勝ち、結局それが一番気持がいいものなのだ。この本を読み終えての一番の感想はそんなところ。

世間体など気にしない。些細なことにこだわらず、明日のことは心配しない。
今日生きてることに感謝して目の前にあることを一生懸命やる。
昔の人は、生きていくことで精一杯。こんなこと当たり前に毎日を送っていたのだろうなあ。

下巻の後半からは、もう戦争一色、
「お国のため」の軍国思想の中、鶴代だけはどんなに非国民と迫害されても怯まない。
「生きて帰って来い!」とスジを通してブレがない。

結局、子供も孫もすべてを戦争で失くし、曾孫二人が遺される。
6歳の曾孫の和也と学童疎開をしている姉の和子を迎えに行こうとするところがラスト・シーンとなる。

昭和20年、敗戦真近の東京、和也の手を取り「行こうかね」と歩き出すところで物語は終わる。いやあ、あっぱれだ、鶴代ばあさん!

「どんなに不遇の時でも自分の生きる力で小さなを光りを灯し、その光りで周囲を照らすような人間になるんだよ」

こんなキラリと光る言葉も胸に残った。
せめて自分の足元くらいは照らし、私もせいぜい真っ直ぐ歩いて行きたいと思ったものだった。
by cuckoo2006 | 2006-06-16 23:56 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(0)
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