小説、映画、絵手紙、都々逸
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「錦繍」 宮本輝〔著〕

d0074962_12431816.jpg離婚後10年の歳月を隔て、夫と妻は、蔵王のゴンドラ・リフトの中で再会する・・・
荒んで面変わりした夫と身体の不自由な8歳の息子を連れた妻、
そこから二人の手紙のやり取りが始まる。全編、往復書簡のみの構成。

これは、心に沁みた。胸が締め付けられた。
この二人は偶然に再会し、そして妻が夫へと手紙を書き送る、という行為によってお互いの胸の内を初めて知っていくという作業ができた。

でも、実際のケースでは、全く理解し合えないまま、傷ついたまま、別れて行く夫婦や恋人達がほとんどではないか、と思う。

妻が告白するー 
あの時、私は本当はこう思っていた、こう言いたかった、だけど言葉になって口から出たものは、、、だったのよ・・・この辺のくだりは心底理解できたなあ。

プライドやコンプレックス、それから相手への気遣いで、男と女って、きっちり向き合うことを避け擦れ違ってしまう。

このお嬢さん育ちで、ちょっと我がままな主人公、宮本輝のいつもの少々現実離れした
立派過ぎるヒロインと違って、等身大に描かれていたと思う。

離婚の直接の原因となる「悲劇」、それが起こる直前の男女のやり取りなども非常に現実味あった。
不倫相手への思い遣りと自らの保身・・あの時の夫の言動は、男性の典型的なものではないだろうか。

何と言うか、こう、日頃から慣れ親しんできた自分の感情のパターンを見せつけられたような感覚だった。思わずこの妻に自己投影してしまった。

「御子息が、きっときっと、あなたの願いどおりに成長されますよう、陰ながら心よりお祈りいたしております」

「いつまで書いていてもきりがありません。いよいよ筆を擱くときが来たようでございます。ーー さようなら。お体、どうかくれぐれもお大切に。さようなら。」

こんなそれぞれの最後の言葉で往復書簡は終る。

切なく美しい物語だけれども主人公達に現実感があって絵空事になっていない。
宮本輝の中でピカイチに好きな作品です。
by cuckoo2006 | 2006-06-30 23:22 | 本(日本のもの) | Trackback | Comments(4)
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Commented by のぼる at 2006-07-10 19:06 x
 枕元まで余韻は深く読書日記が長くなる

ブログ開設おめでとうございます。
それにしても圧倒的な読書量、僕はほとんど読んだことがないので、
ろくなコメントが書けないのが心苦しい限りです。
その中でこの「錦繍」ですが、僕の先輩も宮本輝では一番好きだと
言っていたのを思い出しました。
宮本輝の作品では、「理解のタイムラグ」とも言うべきモチーフが頻繁に
出てくるような気がします。
『蛍川』の主人公が、父親の死後にその言葉の意味を悟ったりとか。
母親の回想で、誤解されたまま越前に連れて行かれる場面もたぶん
これと関わりがあって、こちらは「幸福な誤解」とでも呼べばよいのか、
誤解の上に立った愛情表現なのだけれど、それはそれとして嬉しい。
さらには病床の父親が子供時代を思い出して、ある場面から先が
どうしても思い出せない、、、というくだりがありましたが、それは過去の
自分を改めて理解しなおす作業、とも読めそうです。
そういう人と人のすれ違いや隔たりが人の性として淡々と描かれ、
読んでいて肩の力が抜けます。
今後とも、映画を含めて楽しいブログをよろしくお願いします(^^
Commented by AKIKO at 2006-07-10 22:03 x
枕元まで余韻は深く ~~ 私も読書は圧倒的に寝床が多いです。
それと本の中の一節からパッと歌のイメージが浮かぶことありますよね。
宮本輝作品の「理解のタイムラグ」という言葉は始めて耳にしました。
とても面白い切り口ですね。今度読む時、頭に入れておきます。
輝氏の作品に共通するテーマが、「再生」というのは良く言われてますよね。
傷を負っている主人公達が、最後には未来への微かな光りを見出し歩き出す。
そんなふうに魂が救われ癒やされるところに私などは引かれてしまいます。
「蛍川」「泥の川」「道頓堀川」の川三部作はとても良かったです、と言っても悲しいかな、三つが混線状態・・でも、辛うじてその中で、主人公の少年と廓舟に暮らす姉弟との交流を描いた「泥の川」、あれが一番印象的でした。
ではでは、今後ともご贔屓のほどよろしくお願いします!
Commented by 正子 at 2006-07-15 16:47 x
早速「日本回文協会」のお仲間リンクありがとうございます。こちらからもリンクいたしました。私のほうはブログはすっかりおざなりになり、HPからの種々の言葉遊びの投稿を紹介する対応に追われています。回文短歌などの難しくてりっぱなものを作れる人がいておどろいております。章子さんの圧倒的な読書量にはこれもびっくり。映画評なども参考にして近日中に「ゆれる」を見に行くつもりです。
Commented by AKIKO at 2006-07-15 22:02 x
こちらこそリンク感謝です。
「言葉遊びの投稿欄」は次々に達人が出現されてますね。
今日も最新の作品拝見して感嘆しました。
私は個人的に『たっくんは五回も烏賊ご飯食った』も大好き。

クリスティ全作品読破の正子さん、「ミステリ」「イギリス」、「女性作家」
私もこの3つのキーワードに何故か引き付けられてます。

「ゆれる」もぜひ観てください。
「つり橋の上で起こった事実」の真相について推理小説ファン同士、語り合いませう!
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