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「女たちの遠い夏」 カズオ・イシグロ〔著〕内容(「BOOK」データベースより) 『イギリスに住み、娘の自殺という事態に遭遇した悦子は、自分が生きてきた道を回想する。裏切りの記憶、子殺しの幻影、淡く光った山並みの残像―戦後の長崎を舞台に、戦争と戦後の混乱に傷ついた人々の苦しみを、端正流麗な文体で描きあげる。謎めいた構成の背後から、戦後日本の一つの透し図が現われ出る…。長崎生まれ英国育ちでブッカー賞受賞の日本人によるイギリス文壇へのデビュー作。』 微かに不吉な予感を漂わせながら、物語は淡々と進みます。心がざわっと波立つような感覚にページを捲る指が逸りました。やっぱり、カズオ・イシグロは、デビュー作から面白かった! 舞台は、戦後すぐの長崎と、それから二十数年を経たイギリス、二つの時代が交差します。カズオ・イシグロは、五才の時、渡英し、すべての教育を英国で受けたそうです。その著者によって、日本を舞台にした小説が描かれたわけですが、違和感はありませんでした。ただ、独特のゆったりしたリズムが、“小津安二郎”だった。舅と嫁の関係や、同じことを何度も繰り返す会話などは、小津映画そのもの。日本語をほとんど話せないという著者の日本人のイメージが、笠智衆に原節子、というのが何だか当たり前過ぎて、逆に驚きました。 けれども、小津映画とは別の方向に、物語は少しずつ暗い影を広げていきます。二つの時代の語り手は、同じ女性なのか、不幸な運命に押し流される二人の少女は同一人物なのか・・・とらまえどころのないゆらゆらとした流れに、惹き付けられます。 ラストは、ばっさり終わりました。今まで何冊か読んだイシグロの一分の隙もない繊細さとはまた違う世界でしたが、不思議な磁力は、デビュー作から発揮されています。 原題は、"A Pale View of Hills"、邦題の「女たちの遠い夏」は、早川文庫に収められる際、「遠い山なみの光」に改名されたそうです。どことなく朧げな感じが、新しいタイトルの方に似合っています。写真は、図書館から借りた絶版の文庫本の表紙。
by cuckoo2006
| 2007-09-24 12:05
| 本(外国のもの)
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