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「グラスホッパー」伊坂幸太郎〔著〕
「グラスホッパー」
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説! (文庫本裏表紙より) 猛暑の中で読むのに最適の一冊でした。 あとがきには、伊坂幸太郎が初めて書いた正統の「ハードボイルド」小説、とあります。 登場するのは、三人の殺し屋。彼等と主人公の元教師・鈴木が交互に語り手を努めます。読み始めは嫌悪感を感じましたが、徐々に殺し屋達に親しみが沸いてきます。 登場人物達が、拠り所としている哲学・美学が繰り返し語られます。ドストエフスキーの「罪と罰」だったり、ジャック・クリスピン(ロックミュージシャンらしい)だったり、亡き妻の口癖だったり。いつもながらこういうのが洒落てます。 殺し屋自身も、駒の一つとして操られる悲哀を味わい、罪悪感という亡霊に取り付かれる。彼等によって語られるおぞましい殺人現場に不思議な静けさがあります。 私は、気分転換に読書して、遠くへ飛ぶ感覚が好きなので、日常生活をなぞるような小説は嬉しくない。でも、登場人物に感情移入は是非したい。この本は、猛暑の中、殺し屋に感情移入できて、だいぶ涼しくなりました。 以前、村上龍が、「トパーズ」が、自分の本を読む一冊目になるとマズイ、と言ってるのを聞いたことがありますが、この「グラスホッパー」も最初に読む伊坂本には不向きです。アレルギーを起こすとマズイ。まずは、「重力ピエロ」、「オーデュボンの祈り」あたりがお薦めです。 暑さもようやく峠を越えたようですね。
by cuckoo2006
| 2008-08-21 20:30
| 本(日本のもの)
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Comments(6)
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寝人でえす。
at 2008-08-24 19:35
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はてさて、時下三伏の炎暑、、ご賢姉におかれましても、、
といいたいのですが、すっかり涼しい我が邦国の今夕。 なかなか、思うようにはいきませぬ、なあ。 章子様にもお変わりなさそう、慶賀です。 小生、来月末にて二年間の鹿島勤務もいよよ終了。 ただいま就職活動中。 つぎはいずこの月の下。 願わくはタイの月みて我が・・・。 といいながら、本年の訪タイ実績はですなあ、、。は 1月、5月、7月、、、。病膏肓ですなあ、。 来年二月からは厚生年金受給可能。 いよよ、スローライフっす。 でふぁ、でふぁ、ご活躍をば。 寝人 拝
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笑
at 2008-08-24 21:26
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おひさしぶりです。
伊坂さんのハードボイルドは読んだことがないので今度読んでみようかなー。好きなのは『アヒルと鴨のコインロッカー』です。映画が先だったのですが原作と映画両方よかったです。「死神の精度」は残念ながら映画は失敗だと思いますが・・。 私は最近重松清さんにハマっているのですが、今日読んだ「トワイライト」がよかったので、cuckoo2006さんにおすすめしたいで〜す。 あっ、でも“遠くへ飛ぶ感覚”というのであれば森絵都さんの「ラン」も面白かったです。ファンタジーですが、めずらしい設定です。最初は物足りなかったのですが、350ページくらいから盛り上がります(笑)
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cuckoo2006 at 2008-08-25 21:53
秋の長雨のような天候ですね。
寝人さん、鹿島でのお勤めご苦労様でございました。 私の方は、引越しを控えてオリンピック眺めながら荷造りの夏になりました。 いつの間にか溜まりに溜まったモノを極力減らすため、ひたすら捨てる作業。 スリム化へ奮闘中です。スローライフ、憧れますねぇ。 コメントありがとうございました~
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cuckoo2006 at 2008-08-25 21:57
笑さん、こんにちは。
重松清「トワイライト」、森絵都「ラン」、ぜひ読んでみます。 「グラスホッパー」は、文庫本の帯に著者が、「こんなに楽しんで書いた小説はありません!」とあったので、伊坂氏が“ちょっと遊んでみた”というところかな。 今読んでる「ラッシュライフ」の方が私は好みですねぇ。 また、お薦め本など教えてくださいね。 コメントありがとうです。 九月再見!
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笑
at 2008-09-02 12:30
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「トワイライト」、会社の人に貸したとことろ、最後まで読めなかったと返却されてしまったので、おすすめする自信なくなっちゃいました。ひとそれぞれの感想が違って当たり前ですが(笑)
でも、いまギンレイでやっている映画2本「さよなら。いつかわかること」「ダージリン急行」はおすすめです!とくに「ダージリン急行」。お時間があったらぜひ行ってみてくださいね。ttp://www.ginreihall.com/schedule/index.html
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cuckoo2006 at 2008-09-04 08:31
「トワイライト」は、合う、合わないがはっきりのお話のようですねぇ。タイトルも雰囲気があって私は読んでみたいですワ。今度貸してくださ~い♪
「ダージリン急行」は、恵比寿の映画館で予告を観て、「インド」(行く機会はまずないので)を味わいに行きたかったんですが見逃しました。「さよなら。いつかわかること」も好みのタイプです。ご紹介感謝!それからこの前書き忘れましたが、「アヒルと鴨のコインロッカー」の主人公がアパートから駅に向かう、最後の2ページの描写がもう素晴らしかった。そこが映画でどういうふうになってるのかDVDで観てみようと思います。笑さん、コメントありがとうです~
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