小説、映画、絵手紙、都々逸
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カテゴリ:邦画( 64 )

「こんな夜更けにバナナかよ」監督前田哲


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解説

筋ジストロフィーにかかりながらも自らの夢や欲に素直に生き、皆に愛され続けた実在の人物・鹿野靖明さんと、彼を支えながらともに生きたボランティアの人々や家族の姿を描いた人間ドラマ。大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した書籍を原作に、「ブタがいた教室」の前田哲監督がメガホンをとり、大泉洋が主演を務めた。北海道の医学生・田中はボランティアとして、身体が不自由な鹿野と知り合う。筋肉が徐々に衰える難病・筋ジストロフィーを12歳の時に発症した鹿野は、いつも王様のようなワガママぶりで周囲を振り回してばかりいたが、どこか憎めない愛される存在だった。ある日、新人ボランティアの美咲に恋心を抱いた鹿野は、ラブレターの代筆を田中に依頼する。しかし、実は美咲は田中と付き合っていて……。医学生・田中を三浦春馬、彼の恋人・美咲を高畑充希がそれぞれ演じる。(eiga.comより)


「ボヘミアン・ラブソディ」は観てしまったし、お正月に観る映画は消去法で大泉洋主演「こんな夜更けにバナナかよ」になりました。同じ考えの人が多かったようで1月5日のシネコンは、ほぼ満席です。

 「愛しき実話」と副題がついていますが、感動の美談にはなっていません。それは主人公・鹿野さん(大泉洋)の見事さと同じくらいマイナスの面が伝わって来たから。

 筋ジストロフィーの病を持つ鹿野さんは24時間ボランティアの手を借りながら独り暮らしをしています。「鹿野さんって何様!?」横柄な態度に怒ったボランティアの言葉に「ボランティアだって俺から学んでいるんだよ!対等なんだよ!」と怒鳴り返します。
 
 私の兄は私よりずっと重いリウマチで、同じような体の不自由さを抱えています。「水!」、「〇〇、違う!△△」と上から指図されると理屈ではなくストレスを感じるのは私も体験していること。スクリーンの鹿野さんと兄の姿が度々重なりました。それでも50代から老人ホームにいる兄にどういう態度を取って欲しいのかは私にも良く解らないのです。ただ鹿野さんの高圧的な物言いや自己主張の強さから彼の哀しみが伝わって来ました。

 断固拒否していた人工呼吸器を装着した夜、それまで徹底的に遠ざけていた、おかあちゃん(綾戸智恵)とのやり取りに涙が出ました。いつも強気な鹿野さんの弱さ脆さを目の前にすると、見ている者はうろたえるばかりです。

 私が強く印象に残った人物は、ボランティア手配の取りまとめをしているタカムと鹿野さんに呼ばれる友人の高村(萩原聖人)。鹿野さんとは反対に急にボランティアの穴埋めを頼む時など「助かった!」と拝むように礼を言います。猫背でいつも困ったような表情で鹿野さんを後ろから見守るタカム。彼の存在がボランティアをまとめ上げたことは間違いないでしょう。

 映画を観た後、いつもより明るく兄に接していました。たまたま観た映画が、自分が観て本当に良かった映画でした。

 大泉洋さん、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、これは行くのではないでしょうか!


@TOHOシネマズ西新井

by cuckoo2006 | 2019-01-14 21:21 | 邦画 | Trackback | Comments(4)

「日々是好日」監督大森立嗣


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解説

エッセイスト森下典子が約25年にわたり通った茶道教室での日々をつづり人気を集めたエッセイ「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」を、黒木華主演、樹木希林、多部未華子の共演で映画化。「本当にやりたいこと」を見つけられず大学生活を送っていた20歳の典子は、タダモノではないと噂の「武田のおばさん」が茶道教室の先生であることを聞かされる。母からお茶を習うことを勧められた典子は気のない返事をしていたが、お茶を習うことに乗り気になったいとこの美智子に誘われるがまま、流されるように茶道教室に通い出す。見たことも聞いたこともない「決まりごと」だらけのお茶の世界に触れた典子は、それから20数年にわたり武田先生の下に通うこととなり、就職、失恋、大切な人の死などを経験し、お茶や人生における大事なことに気がついていく。主人公の典子役を黒木、いとこの美智子役を多部がそれぞれ演じ、本作公開前の2018年9月に他界した樹木が武田先生役を演じた。監督は「さよなら渓谷」「まほろ駅前多田便利軒」などの大森立嗣。(eiga.comより)


 やはり最後に樹木希林を観ておきたいと思いました。特に好きな役者さんという訳ではなかったのですが、ここ何年も私が観たいという映画に必ずこの人は出ているのでした。


 「万引き家族」(是枝裕和監督)での“家族”が海で遊ぶのを眺めながら自分の足に砂をかけるシーン。ああ、この人はもうじき死ぬのだと只ならぬものが伝わってきました。


 同じ是枝作品で、常識を纏って生きてきた年代の役が私は印象に残っています。「そして父になる」の妻の母親。「海街diary」の叔母さんなど、何でもない普通の役に安定感がありました。小津映画の杉村春子みたいだなと感じていました。


 「日々是好日」は、不器用で機転が利かないと自分を嘆く典子(黒木華)が茶道を通して成長していく物語です。樹木希林は典子に手ほどきする武田先生を演じます。典子と対比するように一緒にお稽古を始めた従姉妹の美智子(多部美華子)は柔軟性に富んだ逞しさがあります。


 茶室を囲む四季が何度も何度も回るなか、武田先生が生徒達にぽつりぽつりと語る茶道の神髄が染みます。新年の初釜で、『変わらないことを同じようにできることが幸せ』ということ。『同じ場所、同じ顔ぶれでも茶会は常に一期一会』。『形から入る、そこへ後から心が入って行く』。『すぐに分かるものは通り過ぎるが一度で分からないものはそこに留まる』。メモしたいような言葉が幾つも残りました。


 「日日是好日」の掛け軸を眺め、典子と美智子が「これって、どういう意味?」「毎日良い日ってことでしょ」「そんなことは分かってるわよ」というやり取りがあります。


 数十年を経て典子はそれを体得します。『雨が降っている時は雨の音を聴く。うだるような暑さの夏はただその暑さを感じる。体の芯まで冷える冬を感じながら雪を見る。すべての日をその身に感じ受け止める』。


 目の前のことに集中し、心と体を浄化する作用のある茶道はヨガや座禅に通じるのかも知れません。「日々是好日」の意味が私も分かったような気になりました。


@TOHOシネマズ西新井


by cuckoo2006 | 2018-11-13 19:19 | 邦画 | Trackback | Comments(2)

「カメラを止めるな!」監督上田慎一郎

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解説

映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として製作された作品で、前半と後半で大きく赴きが異なる異色の構成や緻密な脚本、30分以上に及ぶ長回しなど、さまざまな挑戦に満ちた野心作。「37分ワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」を撮った人々の姿を描く。監督はオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」などに参加してきた上田慎一郎。とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたが、そこへ本物のゾンビが襲来。ディレクターの日暮は大喜びで撮影を続けるが、撮影隊の面々は次々とゾンビ化していき……。2017年11月に「シネマプロジェクト」第7弾作品の「きみはなにも悪くないよ」とともに劇場で上映されて好評を博し、18年6月に単独で劇場公開。当初は都内2館の上映だったが口コミで評判が広まり、同年8月からアスミック・エースが共同配給につき全国で拡大公開。(eiga.comより)

 
 これは、お薦めです!
 
 新聞でも取り上げられた「カメラを止めるな!」は、もう社会現象ですね。渋谷のユーロスペースまで出かけ完売で観られず帰ってきたのは1ヶ月前のこと。遂にご近所シネコンでも上映が開始されました。念のため前日に予約した会場は満席。期待は高まります。

 しかし、すぐに期待は失望に変わりました。“素人の撮ったゾンビ映画”のようでした。それにこのゾンビ映画、たどたどしさが妙にリアルで気色悪いのです。変に現実感のある間合いに胸がザワザワしてきます。やがて“素人ゾンビ映画”は最悪の結末を迎え、映画は終わりました。

 エンドロールを眺めながら我が身を恥じました。巷の評判が下駄を履かせたB級映画。それを有り難がって観に来た自分を呪いました。この時、場内に居た中高年観客のほとんどの感想ではなかったでしょうか。

 しかし、エンドロールが流れた後、映画はここから始まるのでした。思わず座り直します。そして2度目のエンドロールが流れるまでスクリーンに釘付けになりました、、、、

 前半のすべての舞台裏が種明かしされます。声を立てて笑っている自分が快感でした。ここ何年かでこれだけワクワクした映画は記憶にありません。予算300万円で、都内2館上映から火がついた映画には、やはりそれだけの理由があります。

 シネコンを出た後、いつもより力強く歩いている自分に驚きました。帰宅してすぐブログを書き始めた映画は多分これが初めて。会う人みんなに「カメラを止めるな!面白かったよ~」と言っています。


@TOHOシネマズ西新井

by cuckoo2006 | 2018-08-24 17:51 | 邦画 | Trackback | Comments(2)

「万引き家族」監督是枝裕和

 

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解説

「三度目の殺人」「海街diary」の是枝裕和監督が、家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の姿を通して、人と人とのつながりを描いたヒューマンドラマ。2018年・第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、日本映画としては1997年の「うなぎ」以来21年ぶりとなる、最高賞のパルムドールを受賞した。東京の下町。高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしていた。彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。息子とともに万引きを繰り返す父親・治にリリー・フランキー、初枝役に樹木希林と是枝組常連のキャストに加え、信江役の安藤サクラ、信江の妹・亜紀役の松岡茉優らが是枝作品に初参加した。(eiga.comより)


 子どもを含めた登場人物の存在感に圧倒されました。それだけ血肉の通った人物が描かれていたのでしょう。狭い平屋の一軒家に溢れているモノ、モノ、モノ。台所から茶の間まで足の踏み場もないほど埋め尽くされたモノの一つ一つにもリアリティがありました。

 体裁などとは無縁の家族。これは一昔前の話ではと思いましたが、町には東京スカイツリーの姿があります。本音で今日を生きている家族の姿に、なぜか居心地の悪さを感じながらも、引き込まれていきました。

 子どもに万引きを教えること、赤の他人の年金を当てにすること、無断で子どもを連れてくること。ひと度この家族のことがメディアにのれば人として許されない事件と報道されるでしょう。お金に関連づけ、自分達の価値観に照らし合わせ批難することは一番理解が得やすいから。

 けれども、この物語は、その実像を過去に遡りながら、それぞれの心の動きを丹念に描いて見せます。表面を見ただけでは人の内実も家の内実も解からないもの、というのが一番の感想になりました。

 家族はスーパーから万引きするだけではなく、心の中の欠けたものを万引きして生き延びていたのかも知れません。安藤サクラ演じる信江は「盗んだんじゃなくて人が捨てたものを拾っただけ」と言います。

 恐らく捨てた側の人間として、また凶悪事件の善悪の構図に納得してきた身としては、だいぶ居心地の悪さを感じながら席を立ちました。間違いなく問題作です。


@TOHOシネマズ西新井

by cuckoo2006 | 2018-07-19 13:41 | 邦画 | Trackback | Comments(3)

「探偵はbarにいる3」監督吉田照幸

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解説:作家・東直己の「ススキノ探偵シリーズ」を大泉洋と松田龍平の共演で実写映画化した人気シリーズ「探偵はBARにいる」の第3作。札幌にあるアジア最北の歓楽街・ススキノ。この街の裏も表も知り尽くす探偵のもとに、相棒である高田が人探しの依頼を持ち込んでくる。失踪した女子大生・麗子について調査を開始した探偵たちは、モデル事務所の謎めいた美人オーナー、マリに翻弄されるうちに、いつしか大きな事件に巻き込まれていく。裏社会に影響力を持つ冷酷非道な大物実業家・北城役をリリー・フランキー、マリ役を北川景子、麗子役を前田敦子がそれぞれ演じる。監督は前2作の橋本一から「疾風ロンド」の吉田照幸にバトンタッチ。脚本はシリーズ全作を手がける古沢良太。(映画comより)
 
 大泉洋、上手くなったなあ!というのが一番の感想です。
2011年「探偵はBARにいる」
は映画館で鑑賞。「2」は見逃し、今回の「3」で7年ぶりの探偵との再会です。

 最初の作品では正直言って、共演の松田龍平と役者としての格の違いを感じました。素の大泉が見え隠れし、持ち味の軽さが出過ぎていました。松田龍平の存在感あってこそ成立する作品という印象です。(小心者ゆえ迷った末、感想記事にこの事を書かなかったので記憶はより鮮明)

 男子三日会わざれば刮目して見よ、ですねえ。大泉洋は、もう松田龍平と互角でした。互角ゆえ更に松田龍平の個性が活きます。渋みを増した探偵の表情に歳月を感じました。
 
 思えば、NHK大河ドラマの「真田丸」で主人公の兄の真田信幸を演じた時にも、一皮むけたなあと思ったものでした。大泉ファンとしては嬉しいことです。

 作品はもう定番の安定感。期待を裏切りません。心沁みるラストが荒っぽい雰囲気を奇麗さっぱり押し流します。エンドロールの後にオチがありますのでお見逃し無く。
 
 今年は、堅くなる一方の頭のマッサージも兼ね、ご近所シネコンにせっせと通いたいと思います♪


@TOHOシネマズ西新井

by cuckoo2006 | 2018-01-05 20:59 | 邦画 | Trackback | Comments(4)

「永い言い訳」監督西川美和

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解説

「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督が、第153回直木賞候補作にもなった自著を自身の監督、脚本により映画化。人気作家の津村啓こと衣笠幸夫は、突然のバス事故により、長年連れ添った妻を失うが、妻との間にはすでに愛情と呼べるようなものは存在せず、妻を亡くして悲しみにくれる夫を演じることしかできなかった。そんなある時、幸夫は同じ事故で亡くなった妻の親友の遺族と出会う。幸夫と同じように妻を亡くしたトラック運転手の大宮は、幼い2人の子どもを遺して旅立った妻の死に憔悴していた。その様子を目にした幸夫は、大宮家へ通い、兄妹の面倒を見ることを申し出る。なぜそのようなことを口にしたのか、その理由は幸夫自身にもよくわかっていなかったが……。

(eiga.comより)





 衝撃的な作品でした。衝撃的という言葉を使ったのは多分「ブラックスワン」以来。ブログを始めて10年になりますが、衝撃の種類は違えど
とこの「永い言い訳」は私の中で飛び抜けて衝撃度の高い映画です。


 どんなふうに衝撃的かと言いますと、自分の中の過去の未解決なままの感情が湧き上がってくるような感覚。胸のザワザワが数日間、後を引きました。そういう意味で不思議な力を持った映画です。


 妻・夏子(深津絵里)が夫・幸夫(本木雅弘)の髪を切っているシーンから物語は幕を開けます。美容院かなと思わせた場所は瀟洒なマンションのリビングルーム。些細なことで苛立っている夫を、優しさと強さで受け止めているように見える妻。このやり取りが息苦しいほどにリアルなのです。只ならぬ気配がスクリーンから伝わります。


 スキー旅行の出で立ちで親友とはしゃぎ合う妻。夜行バスの中の楽しそうな様子。著名な美容師として活躍する妻は、周囲からも信頼され精神的に安定しているように見えます。その妻がバスの中で見せた横顔が、この作品を象徴する映像です。白々と明けていく窓の外を眺める妻の横顔が胸に焼き付きました。


 妻を送り出した後、招き入れた愛人(黒木華)への「いらっしゃーい」の幸夫の声。押さえようとしても隠せない弾んだ甘さ。モッくんは上手かった!本木雅弘を見るのは
以来になりますが、幸夫が見せるが様々な表情が自然で巧みでした。


 あれほど鼻持ちならなかった幸夫が人が変わったように、バス事故で妻と一緒に死んだ親友の遺した子供達(兄・真平と妹・灯)の世話をしに行くことになります。かなり唐突にも感じますが、そうでもしなければ生きていられないほど彼の苦しみは大きかったのでしょう。


 夜、塾の帰りに眠り込んだ真平はバス停を乗り過ごしてしまいます。迎えに出ていた幸夫は次のバス停まで自転車を飛ばし、バスに駆け上がって真平を起こします。「ボク疲れちゃって・・」と寝ぼけながら言い訳する真平。この場面が泣けました。感情を表に出すことが不得手な幸夫と真平は、相通ずるものをお互いに感じます。幸夫と子供達の交流の中で、一番沁みたシーンでした。


 明るく切なく、遺された者達は日々の暮らしを生きていきます。妻の人生は幸せだったのだろうか?観ている間中、こちらまで問い掛けられている気持ちになりました。夏子が携帯電話の未送信フォルダに残したメールは、その時の真実。それでも物書きとしてスランプに苛立つ夫を心のどこかで理解していたのではないか、とも思いたい。今でも妻の横顔がフラッシュバックします。


 来春発表の日本アカデミー賞総なめ間違いナシ、でありましょう!



@TOHOシネマズ西新井


by cuckoo2006 | 2016-11-19 13:59 | 邦画 | Trackback | Comments(0)

「シン・ゴジラ」監督庵野秀明

d0074962_13520937.jpg解説:「ゴジラ FINAL WARS」(2004)以来12年ぶりに東宝が製作したオリジナルの「ゴジラ」映画。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の庵野秀明が総監督・脚本を務め、「のぼうの城」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」の樋口真嗣が監督、同じく「のぼうの城」「進撃の巨人」などで特撮監督を務めた尾上克郎を准監督に迎え、ハリウッド版「GODZILLA」に登場したゴジラを上回る、体長118.5メートルという史上最大のゴジラをフルCGでスクリーンに描き出す。内閣官房副長官・矢口蘭堂を演じる長谷川博己、内閣総理大臣補佐官・赤坂秀樹役の竹野内豊、米国大統領特使カヨコ・アン・パタースン役の石原さとみをメインキャストに、キャストには総勢328人が出演。加えて、狂言師の野村萬斎がゴジラのモーションキャプチャーアクターとして参加している。(eiga.comより)

 これは、いわゆる怪獣映画ではありません。
ゴジラは、人間が、私達の社会が生み出したもの。ゴジラが突きつける真実がなかなかに深く、また2時間退屈するところのない面白さです。
 
 東京湾から、横浜沖から、上陸したゴジラが都会の幹線道路をただただ歩く姿に爽快感が湧いてきます。不思議にもゴジラに感情移入してしまいました。

 非常事態を目の前に、政府は緊急対策委員会を立ち上げ会議と手続きに終始するのみ。御用学者はまるで役に立たない。事態収束のため東京壊滅を辞さない国連決議が採択されようとする中、唯一頼みの対応チームは最後の矢を放つ。一方、臨時内閣で総理を押し付けられた昼行燈のような農水大臣は、、、

 ゴジラが総攻撃される場面では何故か悲しい気持ちになりました。現実社会の中でゴジラが象徴する様々なもの、そこから幾つもの事が連想されました。右手に国技館を見たラストシーンの風景は衝撃的です。

 「面白かったねーー!!」これほど夫婦の意見が一致した映画は初めてかも知れません。


@TOHOシネマズ西新井


by cuckoo2006 | 2016-08-12 16:26 | 邦画 | Trackback | Comments(2)

「母と暮らせば」監督脚本 山田洋次


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解説 1948年8月9日。長崎で助産婦をして暮らす伸子の前に、3年前に原爆で亡くしたはずの息子・浩二がひょっこり現れる。「母さんは諦めが悪いからなかなか出てこれなかったんだよ」。その日から、浩二は時々伸子の前に現れるようになる。ふたりはたくさんの話をするが、一番の関心は浩二の恋人・町子のことだった。「いつかあの子の幸せも考えなきゃね」。ふたりの時間は、奇妙だったけれど、楽しかった。その幸せは永遠に続くようにみえた―。(TOHOシネマズ)

キャスト

吉永小百合 福原伸子

二宮和也  福原浩二

黒木華   佐多町子

浅野忠信  黒田

加藤健一 上海のおじさん

 原爆投下から3年が過ぎた長崎。戦争で大切な人を失った人々の夏から秋、初雪の舞う新年までが描かれます。

 長崎湾を見渡す墓の前で、「もう、諦めた、忘れましょう」と息子の恋人・町子に声を掛ける母・伸子。町子は一人になった伸子にこれまで何くれとなく力を貸してくれていました。

 シイシイシイと蝉の鳴く中、汗を拭き拭き家までの急な坂を上り下りする二人。この夏の季節が一番良かった。心の綺麗な人々が織りなすドラマに現実感はやや薄れますが、山田洋次監督の世界が心地良く沁みます。

 一緒に観た友人から「マザコンぶりがキモチワルイ」と言われてしまった浩二ですが、確かに出かける時、母から返事があるまで玄関で「カーサン!カーサン!行って来ます!」と大声を出すのは小学生まででしょう。

 母からも「あんたは男のくせにお喋り」と笑われる浩二ですが、母ではなく息子をお喋りの設定にしたのは、吉永小百合が母親役だからこそでしょう。

 そんな中、母が最後に見せる、幸福になる町子への嫉妬。吉永小百合が顔を醜く歪め感情を爆発させます。スクリーンがグンと近づいた瞬間でした。「母さんは悪か人間よ」という母にじっと寄り添うしかない浩二でした。

 一緒に観た友人に「死を美化している」と指摘されたラストシーンですが、町子に浩二を忘れ幸せになりなさい、と告げた伸子の心身は限界を越えていたのでしょう。もうこれで良かったのだと思えました。

 物語の余韻が悲しく、悲しい気持ちを少しの間、引きずる、そんな作品でした。


@新宿ピカデリー


by cuckoo2006 | 2016-02-14 13:39 | 邦画 | Trackback | Comments(0)

「恋人たち」監督・原作・脚本橋口亮輔



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解説

「ぐるりのこと。」で数々の映画賞を受賞した橋口亮輔監督が、同作以来7年ぶりに手がけた長編監督作。橋口監督のオリジナル脚本作品で、不器用だがひたむきに日常を生きる人々の姿を、時折笑いを交えながらも繊細に描き出した。通り魔事件で妻を失い、橋梁点検の仕事をしながら裁判のために奔走するアツシ。そりがあわない姑や自分に関心のない夫との平凡な生活の中で、突如現れた男に心揺れ動く主婦・瞳子。親友への想いを胸に秘めた同性愛者で完璧主義のエリート弁護士・四ノ宮。3人はもがき苦しみながらも、人とのつながりを通し、かけがえのないものに気付いていく。主人公となる3人はオーディションで新人を選出し、橋口監督が彼らにあわせてキャラクターをあて書きした。リリー・フランキー、木野花、光石研ら実力派が脇を固める。(映画comより)

キャスト

篠原篤 篠塚アツシ

成嶋瞳子 高橋瞳子

池田良 四ノ宮

不思議な映画でした。
「今を生きるすべての人に送る絶望と再生の物語」とポスターにあります。


 物語はタイトルバックもなく、男性の独白から始まります。主役の三人が素人っぽいこともありドキュメンタリーでも見ているような感覚です。これぞ橋口監督の狙い通りでしょう。

 それぞれの場所で閉塞感を抱えながら生きる三人の人間。終始、暗く重く乾いたトーンは、見て心楽しくなるものではないのですが、目が離せないのは日常の些細なやり取りが自分と重なるからでしょう。

 新人俳優が生身の感情をぶつける場面は、臨場感一杯。登場人物が脈絡のないことを語り出すのも、これはひょっとしてアドリブなのでは?と思わせる緊張感があります。有名俳優だったらこうは思わないでしょう。

 妻を通り魔に殺された篠塚が一人感情を爆発させ「お前らにおんなじことが起きたら、首括ってそれで終わりやぞ」と怒鳴るところには心を揺さぶられました。

 その篠塚が風呂場で死のうとする。死のうとしたその瞬間こそが、地獄の底に爪先がチョンと触れた瞬間だったのでしょう。地獄の釜の底まで落ちればあとは浮上する道理。その後、彼の表情が変わりました。あ、今最悪の底を蹴ったな、という私自身のちっぽけな感覚も思い出しました。

 弁護士の四宮が、切れた電話に話し掛けるところは、切ない。親友からのこの疑いは辛かったでしょう。瞳子が駆け落ちしようとした男が〇〇〇だったことは幸いでした。篠塚が受け取った薬物も△△△で、本当に本当に良かったのです。
 
 映画を観終わった後、これは到底感想を書ける代物ではないなと思ったのですが、一緒に観た友人とあーだこーだ話すうちに、案外いい映画を観たのだ、という気になってきました。書きたいことも浮かんできました。

 この作品は、あちらにもこちらにも差障りアリでテレビで放映しないのはもちろん映画賞の対象にもならないでしょう。賞を取ったら日本アカデミー賞を見直します。

 それでも、生きていこう、生きているだけでいいのだ、と心が感じ取れた作品でした。


@丸の内toei

 



by cuckoo2006 | 2016-01-23 22:48 | 邦画 | Trackback | Comments(0)

「日本のいちばん長い日」監督原田眞人

a0163466_8543854.jpg解説 昭和史研究の第一人者・半藤一利の傑作ノンフィクション「日本のいちばん長い日 決定版」を、「クライマーズ・ハイ」「わが母の記」の原田眞人監督が映画化。1945年8月15日に玉音放送で戦争降伏が国民に知らされるまでに何があったのか、歴史の舞台裏を描く。太平洋戦争末期の45年7月、連合国軍にポツダム宣言受諾を要求された日本は降伏か本土決戦かに揺れ、連日連夜の閣議で議論は紛糾。結論の出ないまま広島、長崎に相次いで原子爆弾が投下される。一億玉砕論も渦巻く中、阿南惟幾陸軍大臣や鈴木貫太郎首相、そして昭和天皇は決断に苦悩する。出演は阿南惟幾役の役所広司、昭和天皇役の本木雅弘をはじめ、松坂桃李、堤真一、山崎努ら。(eiga.comより)
キャスト
役所広司 阿南惟幾
本木雅弘 昭和天皇
松坂桃李 畑中健二
堤真一  迫水久常
山崎努  鈴木貫太郎

 この映画は観たいというよりも今観ておかなければという思いでシネコンへ向かいました。

 1945年4月、鈴木貫太郎が昭和天皇に「どうか気持ちを曲げて受けてほしい」と直々に総理大臣就任を頼まれる場面からドラマは始まります。この時鈴木は77歳。歴代総理就任時の最高年齢でした。

 「大変なことになった」と家族にこぼす鈴木に長男は仕事を辞め父の秘書官になると申し出ます。家族も2・26事件で瀕死の重傷を負いながらも生還したオジイチャンなら大丈夫と努めて明るく受け止めます。鈴木貫太郎と阿南惟幾(あなみこれちか)陸軍大臣の家庭生活が折り目正しくもほのぼのと挟み込まれ身近に感じられます。

 7月、ポツダム宣言受諾の要求に連日連夜、閣議が紛糾する場面では、現在迷走中の東京五輪の国立競技場とエンブレム問題がどうしても重なってきます。責任を取る覚悟のあるリーダーが一人もいない。今の日本で重大局面を迎えた時、命を賭して事を行える政治家なんているのだろうか?スクリーンを眺めながら、そちらの方で背筋が寒くなりました。

 無条件降伏を受諾するか否か閣議の結論が得られないまま、8月6日広島、8月9日長崎に原爆が投下されます。戦争終結に向けて天皇の聖断を求める首相官邸と本土決戦へ突き進む陸軍。めまぐるしく同時進行する数日間の舞台裏が臨場感を持って描かれます。

 「総辞職など有り得ない。この内閣で戦争を終わらす。ロシアが加わる前に相手がアメリカのうちに始末しなければならない」と軍部強硬派からの私刑を覚悟し法を破っても戦争を終わらせようとする鈴木貫太郎。陸軍大臣を辞任する道を断ち終戦の詔勅に署名した阿南。その後、阿南は部下の介錯を断り自ら壮絶な最期を遂げます。

 胆の据わり方が違う人間があの場に居たことが良く解りました。一方で、それほど胆が据わってない普通の人々の行動も印象に残りました。青年将校に対し、玉音放送のテープを隠し持つ侍従達の言葉の機転や放送局員のとっさの判断などたくさんの人々の力がありました。

 元木雅弘演じる昭和天皇は、その口調や物腰が文句のつけようがないほど見事です。でも、天皇はやはり映画の中の天皇だった。もちろん他の登場人物も映画映えするように描かれてはいるとは思いますが天皇にはダイレクトにそれを感じました。2006年のロシア制作「太陽」の中のイッセー尾形の演じた昭和天皇が私の中で色濃く残っています。

 国政を担う方々に是非見ていただきたい映画。戦争は絶対に初めてはならない、というのが感想のすべてです。


@TOHOシネマズ西新井
by cuckoo2006 | 2015-09-11 13:01 | 邦画 | Trackback | Comments(0)