小説、映画、絵手紙、都々逸
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カテゴリ:洋画( 85 )

「リメンバー・ミー」監督リー・アンクリッチ


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解説

「トイ・ストーリー3」でアカデミー賞を受賞したリー・アンクリッチ監督が、陽気でカラフルな「死者たちの世界」を舞台に描いたピクサー・アニメーションの長編作品。日本におけるお盆の風習にあたるメキシコの祝日「死者の日」を題材に、音楽を禁じられたギター少年ミゲルの冒険や家族との強い絆を、数々の謎と音楽を散りばめながら描いた。物語の鍵を握る劇中歌「リメンバー・ミー」の作詞・作曲を、「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー ありのままで」を手がけたクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペスが担当。第90回アカデミー賞では長編アニメーション賞および主題歌賞を受賞した。天才的なギターの才能を持つ少年ミゲルはミュージシャンを夢見ているが、過去の悲しい出来事が原因で、彼の一族には音楽禁止の掟が定められていた。ある日ミゲルは、憧れの伝説的ミュージシャン、デラクルスの霊廟に飾られていたギターを手にしたことをきっかけに、まるでテーマパークのように楽しく美しい「死者の国」へと迷いこんでしまう。ミゲルはそこで出会った陽気で孤独なガイコツのヘクターに協力してもらい、元の世界へ戻る方法を探るが……。(eiga.comより)


 ゴールデンウィーク真っ只中の「リメンバー・ミー」は大入り満員。前から2番目の席が一つ見つかり辛うじて最前列を免れました。 

「アナと雪の女王」の続編の短いお話に続き本編が始まります。4年前にも同じ場所で「アナ雪」を観ましたが、今回の「リメンバー・ミー」の方が私はずっと好みでした。

 先祖代々、靴職人の家に生まれた少年ミゲルは大の音楽好き。けれども一家は、すべての音楽に触れることを固く禁じてきました。それは曾祖父に纏わる暗い過去があったからです。

 一年に一度、祖先が家に帰る「死者の日」に渡る橋や「死者の国」の存在が、日本古来の「盂蘭盆会」や「黄泉の国」に重なります。奇想天外なストーリーにもスーッと入っていけます。

 死者への、この世にいる人間の思いが、あの世での死者の待遇に影響する、自分が忘れられているのを死者は知っているなど、鮮やかな画面のディズニー映画から突きつけられるものがありました。

 私が一番好きだったのは「ママ・ココ」、このオバアチャン・キャラクターが効いています。終盤の「ママ・ココ」の見せ場では、右と後ろの席から小さな女の子の号泣に近いすすり泣きが聞こえてきました。この場面で大泣きするとは、しっかり物語を理解している証。子どもって感受性が高いのだなあとオバサン感激してしまいました。

 いかにも「いい人」が実は「極悪人」だったのは「アナ雪」と同じ。大どんでん返しの大ハッピーエンドに最後まで退屈しないお伽噺でした。


@TOHOシネマズ西新井 

by cuckoo2006 | 2018-05-06 17:31 | 洋画 | Trackback | Comments(3)

「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」監督スティーブン・スピルバーク

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解説

巨匠スティーブン・スピルバーグ監督のもとで、メリル・ストリープとトム・ハンクスという2大オスカー俳優が初共演を果たした社会派ドラマ。ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国民の間に疑問や反戦の気運が高まっていた1971年、政府がひた隠す真実を明らかにすべく奔走した人物たちの姿を描いた。リチャード・ニクソン大統領政権下の71年、ベトナム戦争を分析・記録した国防省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在をニューヨーク・タイムズがスクープし、政府の欺瞞が明らかにされる。ライバル紙でもあるワシントン・ポスト紙は、亡き夫に代わり発行人・社主に就任していた女性キャサリン・グラハムのもと、編集主幹のベン・ブラッドリーらが文書の入手に奔走。なんとか文書を手に入れることに成功するが、ニクソン政権は記事を書いたニューヨーク・タイムズの差し止めを要求。新たに記事を掲載すれば、ワシントン・ポストも同じ目にあうことが危惧された。記事の掲載を巡り会社の経営陣とブラッドリーら記者たちの意見は対立し、キャサリンは経営か報道の自由かの間で難しい判断を迫られる。第90回アカデミー賞で作品賞と主演女優賞にノミネートされた。


 学生時代にウォーターゲート事件を描いた「大統領の陰謀」を観ました。主演はロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマン。ワシントン・ポスト紙の若手記者を演じました。

 40年以上も前の映画で今でも印象に残っているシーンがあります。それは二人が人差し指2本でタイプを早打ちするシーン。私は当時、就職に備えて英文タイプを習っていました。ブラインドタッチに苦労していたので本場の新聞記者のタイピングに衝撃を受けました。こんなのでいいのか?と。

 この「ペンタゴン・ペーパーズ」はウォーターゲート事件以前に起こった事件を扱っています。泥沼化するベトナム戦争の最中、スクープされた戦地での実態を記録した国防省の最高機密文書・通称「ペンタゴン・ペーパーズ」。それは政府の発表とは異なり、戦況は極めて厳しいという内容でした。

 ワシントン・ポストはニューヨーク・タイムズに一歩遅れながらも膨大な全文書を入手します。既にニューヨーク・タイムズはニクソン政権から差し止めを受けていました。亡父、亡夫から受け継いだポスト紙・社主キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は全てを賭けた決断を迫られます。社主の器はないと周りから軽視されていたキャサリンは投獄も覚悟の上、掲載に踏み切ります。ここから沸き起る新聞各紙の決断。これが史実であることにメディアのあるべき姿を見た思いでした。

 編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)がデッドラインへ一心不乱にタイプを打つ記者に「二本指は駄目だ!」(No chopsticks!とかナントカ)と叫ぶシーンがあります。そしてラストシーンではウォーターゲート事件の幕開けを匂わせます。40年前の映画「大統領の陰謀」へのスピルバーグ監督のオマージュを感じました。

 まさに今、旬な作品です。

 

@TOHOシネマズ西新井
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by cuckoo2006 | 2018-04-10 14:26 | 洋画 | Trackback | Comments(5)

「あなたの旅立ち、綴ります」監督マーク・ペリントン

 
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解説

大女優シャーリー・マクレーンと若手実力派のアマンダ・セイフライドが共演し、人生の終わりを見据えた嫌われ者の老婦人と、始まったばかりのキャリアに悩む若い女性記者が、世代を超えて育む友情を描いたハートフルストーリー。マクレーンとセイフライドはともに製作総指揮も務めた。ビジネスで成功し、何不自由ない生活を送ってきた老婦人ハリエット・ローラーは、80代になって孤独と死への不安を抱くようになり、自身の訃報記事を生前に用意しておこうと考える。地元の若い新聞記者アン・シャーマンに記事執筆を依頼したハリエットだったが、わがままで自己中心的なハリエットを良く言う人は誰もおらず、出来上がった記事は理想とはほど遠い内容だった。そこでハリエットは「最高の訃報記事」ができるように自分を変えることを決意。愛され、尊敬される人物になるよう奮闘する。そんな何事にも強気なハリエットと正反対な性格のアンは、しばしば衝突するが……。(eiga.comより)

 
 懐かしい名前シャーリー・マクレーンに惹かれ観に行きました。タイトルバックに彼女の幼い頃から現在までの写真が一枚ずつ映し出されます。ああ、この40代頃の顔がシャーリー・マクレーンの私のイメージだなぁとスクリーンを眺めます。目はそれほど大きくなく、どことなく東洋的でチャーミング。俳優ウォーレン・ベイティは弟。日本でも人気が高かったのが良く分かります。

 ビジネス界で成功を収めたハリエット・ローラー(シャーリー・マクレーン)は豪邸にメイドと暮しています。引退した今も果物の切り方から芝の刈り方まで、あらゆることを自分の流儀でしないと気が済みません。誰よりも有能であることを自負するハリエットは、周りを振り回しながら思い通りに生きて来ました。

 そんな彼女が生前に自分の訃報記事を作ることを思いつきます。皆から賞賛される文章を思い描きながら、彼女は長年広告を出していた新聞社に乗り込みます。訃報ライターのアン(アマンダ・セイフライド)はハリエットの依頼に面食らいながらも彼女の知人リストを一人一人訪ね回ります。

 知人達のハリエット評は気持がいいほど辛辣でした。「私は人の事を悪く言う場合は何も言わないことにしてるの」一人の女性はアンに微笑んで見せます。アンは取材内容をそのままハリエットに伝えます。良い訃報記事が書けないのはアンの能力が低いからと責めるハリエット。イイエ、それはあなたがクソババアだからよ、と応酬するアン。

 残念ながら面白いのは、ここまででした。ここからハッピーエンドに至る展開は、あまりにも奇麗にまとめられています。理想の訃報記事作成のため行動を共にするハリエット、アン、養子の女の子の三人組の構図は、いかにもありきたり。退屈しました。

 私の一番の感想はと言うと、ハリエットほど思いのままに生きて来た人が、なぜ自分が死んだ後の訃報など気にするのかということ。自分勝手も最期まで貫けば立派でしょう。そもそも訃報記事には良いことしか書かれないのですから。首を捻ったままエンドロールの途中で映画館を出ました。


@銀座シネスイッチ

by cuckoo2006 | 2018-03-09 14:21 | 洋画 | Trackback | Comments(4)

「しあわせな人生の選択」監督セスク・ゲイ


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解説 余命わずかな男と彼を取り巻く人々の最期の4日間を描いたドラマ。カナダに住むトマスは長年の友人でスペインに住むフリアンが余命わずかであることを聞き、フリアンのもとを訪れる。治療をあきらめ、身辺整理を始めたフリアンは、愛犬トルーマンの新たな飼い主を探し、アムステルダムの大学に通う息子の誕生日を祝うためにオランダへ旅をする。その中でフリアンとトマスは、昔のように遠慮のない関係に戻っていくが……。主人公フリアン役を「人生スイッチ」のリカルド・ダリン、フリアンの親友役を「トーク・トゥ・ハー」のハビエル・カマラがそれぞれ演じる。監督、脚本のセスク・ゲイは母親の闘病生活の実体験をベースもとに本作を製作し、スペイン版アカデミー賞といわれる第30回ゴヤ賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞の5部門を受賞した。

(eiga.comより)



 ストーリー+“犬モノ”に惹かれて観に行きました。人間の日々の営みが発する生暖かなモノ、息や体温や匂いが伝わってくるような映画です。

 

 作品の原題は「トルーマン」。主人公が飼っている大型の老犬の名です。お目当ての犬の登場シーンは予想よりずっと少なかったのですが、涙が込み上げる場面に必ず犬はいるのでした。

 

 スペインで暮らす親友フリアンが余命わずかなことを知り、カナダから駆けつけるトマス。二人が共に過ごす4日間の物語です。フリアンとトマスが肩を並べ町を歩きます。出喰わす友人知人とのやり取りからフリアンがどんな人間か想像されます。

 

 俳優であるフリアンは気ままに本音で生きてきた男。フリアンと、ぶつかったことがある者も今の彼の病状を知っているようです。フリアンと顔を合わせてしまった居心地の悪さや罪悪感が彼らの顔に浮かびます。

 

 そんな時でも、フリアンの隣に温厚そうなトマスが立っていることで雰囲気が少しだけ和みます。トマスの存在に、フリアンと顔を合わせた知り合い、医者や息子でさえ救われた気持になっていることが分かります。トマスが来てくれて本当に良かったと、こちらまでホッとしました。

 

 フリアンは本来の自分のまま、いようと努めます。それでもトマスもフリアンを見守る彼の従姉妹も、フリアンの纏う死の影に息苦しさを感じます。帰国する前の晩、死の影を払り払うかのようにトマスと彼女が求め合うのも人間そのもののように感じました。

 

 ラストシーン、トルーマンにもフリアンにも傍らに寄り添う人間がいます。カナダへ帰る機上の人となったトマス。余りにも色々なことが起り、混乱する彼の胸の内が察せられました。これも人間だなあと愉快な気持になります。そしてカナダの自然の中を、のっそり歩くトルーマンの姿が浮かびました。




@ヒューマントラストシネマ有楽町



by cuckoo2006 | 2017-07-22 14:08 | 洋画 | Trackback | Comments(0)

「lion/ライオン 25年目のただいま」監督ガース・デイビス

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解説


インドで迷子になった5歳の少年が、25年後にGoogle Earthで故郷を探し出したという実話を、「スラムドッグ$ミリオネア」のデブ・パテル、「キャロル」のルーニー・マーラ、ニコール・キッドマンら豪華キャスト共演で映画化したヒューマンドラマ。1986年、インドのスラム街で暮らす5歳の少年サルーは、兄と仕事を探しにでかけた先で停車中の電車で眠り込んでしまい、家から遠く離れた大都市カルカッタ(コルカタ)まで来てしまう。そのまま迷子になったサルーは、やがて養子に出されオーストラリアで成長。25年後、友人のひとりから、Google Earthなら地球上のどこへでも行くことができると教えられたサルーは、おぼろげな記憶とGoogle Earthを頼りに、本当の母や兄が暮らす故郷を探しはじめる。

(映画com.より)







冒頭に表示される「物語は事実に基づいている」のテロップに緊張感が高まります。インドのスラム街、5歳のサルーと兄は、盗んだ石炭をミルクに代え母と妹に持ち帰ります。法を犯してでも今日を生き抜く子ども達の姿が活き活きと描かれます。


母にミルクを差し出すサルー。自分はいいと笑顔で首を振る母。貧しい暮らしの中、サルーが母の愛情を受けてきたことが伝わります。だからこそサルーは過酷な運命を生き延びられたのでしょう。

 

 仕事を探しに行く兄に強引について来てしまったサルーは駅のベンチで眠ってしまいます。無人のホームで目覚めた彼は貨物列車に飛び乗り閉じ込められます。数日後、列車が到着したのは大都市カルカッタ。言葉も通じない喧噪の町でサルーは一日一日を懸命に生き延びます。

 

 無力なサルーの前での大人達の振る舞いは恐いほどその人の本質をあぶり出します。路上でも収容施設でも孤児達の境遇はあまりに痛ましく目と耳をふさぎたくなる場面もありました。

 

 やがてサルーはオーストラリアの夫婦の元へ養子に行きます。誠実で愛情深い養父母に、こちらまで救われた思いでした。新しい環境に順応したサルーは逞しく成長します。しかし大きくなっても彼の心は迷子のままでした。

 

 大学生になったサルーはGoogle Earthにより自分が迷子になったカルカッタに何処からたどり着いたのかを調べ始めます。そして遂に見つけ出す自分の生まれ育った村。


幼い頃、過ごした路地に足を踏み入れるシーンはサルー自身の目でカメラが進みます。ドキュメンタリーを見ているようにドキドキしました。

 

 最後は実際のサルーの行方不明児捜索の写真や母親と妹との再会のシーンが映し出されます。実際のサルーを目にして、彼の現実対応能力の高さと持って生まれた魅力があったから生還できたことが良く分りました。


 しかし優しい兄は、駅で居なくなった幼い弟を必死に探し回り、列車に轢かれ命を落としていました。また、サルーの後に養子に来た少年は傷ついた心を取り戻すことはできず、誰にも心を開くことはありませんでした。多くの孤児達の真実をすくい取っていると思います。

 

「インドでは毎年8万人の子どもが行方不明になっている」と最後にテロップが出ます。幸運なサルーのハッピーエンドから現実に引き戻されました。



@渋谷シネパレス


by cuckoo2006 | 2017-07-07 18:20 | 洋画 | Trackback | Comments(0)

「ラ・ラ・ランド」監督デイミアン・チャゼル


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解説

「セッション」で一躍注目を集めたデイミアン・チャゼル監督が、ライアン・ゴズリング&エマ・ストーン主演で描いたミュージカル映画。売れない女優とジャズピアニストの恋を、往年の名作ミュージカル映画を彷彿させるゴージャスでロマンチックな歌とダンスで描く。オーディションに落ちて意気消沈していた女優志望のミアは、ピアノの音色に誘われて入ったジャズバーで、ピアニストのセバスチャンと最悪な出会いをする。そして後日、ミアは、あるパーティ会場のプールサイドで不機嫌そうに80年代ポップスを演奏するセバスチャンと再会。初めての会話でぶつかりあう2人だったが、互いの才能と夢に惹かれ合ううちに恋に落ちていく。「セッション」でアカデミー助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズも出演。第73回ベネチア国際映画祭でエマ・ストーンが最優秀女優賞、第74回ゴールデングローブ賞では作品賞(ミュージカル/コメディ部門)ほか同賞の映画部門で史上最多の7部門を制した。第89回アカデミー賞では史上最多タイとなる14ノミネートを受け、チェゼル監督が史上最年少で監督賞を受賞したほか、エマ・ストーンの主演女優賞など計6部門でオスカー像を獲得した。(eiga.comより)






 アカデミー賞授賞式で間違えられたことでも話題になった作品。
ミュージカル映画は苦手だし、あまり期待しないで観に行ったのですが、これがとても良かった!

 渋滞中のハイウェイで、車から次々に飛び出し歌い踊るファーストシーンに圧倒されました。“只者”ではない雰囲気が漂ってきます。

 ハリウッド女優を目指すミア(エマ・ストーン)はオーディションにさっぱり受からず、撮影所近くのカフェで働く毎日。ミアの高い演技力が一向に評価されないオーディションシーンから厳しい現実が伝わってきます。同じ夢を追うルームメイト三人とチャンスを求めパーティに繰り出すミア。音楽に乗って、若く白い肌にショッキングブルーのドレスが翻ります。

 ミアの無造作な髪と素肌感が若さを引き立て、夢を追い求める情熱が伝わってきます。若い時代特有の苦しさ切なさを思い出させてくれます。ジャズピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と愛するがゆえに行き違うのも現実感ある展開でした。

 唐突に台詞を歌い出すような違和感は一つもなく、ミアとセバスチャンがお互いの魅力を引き立て合うように踊るシーンに心地良く酔えました。過去のミュージカルシーンをオマージュする振り付けは残念ながら私にはほとんど分りませんでした。それでも最後に、ゴッホの中で私の一番好きな絵「夜のカフェテラス」に二人が入り込むシーンには興奮しました。

 それから五年後、、、再会した二人の出逢いの場面から別の人生が繰り広げられていきます。過去を変えることはできない。人生をやり直すことはできない。互いの幸せを願いながら瞳の中で頷き合うラストシーンに切なさが込み上げます。余韻がありました。


@TOHOシネマズ西新井

by cuckoo2006 | 2017-04-26 14:26 | 洋画 | Trackback | Comments(0)

「幸せなひとりぼっち」監督ハンネス・ホルム

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解説
孤独な老人が隣人一家との触れあいを通して再生していく姿を描いたスウェーデン発のヒューマンドラマ。世界的ベストセラーとなったフレドリック・バックマンの同名小説を映画化し、スウェーデンで大ヒットを記録した。愛する妻に先立たれ、悲しみに暮れる孤独な毎日を送っていた老人オーベ。そんなある日、隣の家にパルバネ一家が引っ越してくる。車のバック駐車や病院への送迎、娘たちの子守など、何かと問題を持ち込んでくるパルバネたちにうんざりするオーベだったが、次第に彼らに心を開くようになり、やがて妻との思い出を語りはじめる。「アフター・ウェディング」のロルフ・ラスゴードが主人公オーベを好演。スウェーデンのアカデミー賞と言われるゴールデンビートル賞で主演男優賞と観客賞をダブル受賞した。(eiga.comより)

 
 スウェーデン国民の5人に1人が見たという記録的大ヒット作品。心がラクになるような後味の良い映画でした。

 妻に先立たれ、会社をクビになったオーベは、近隣でも偏屈者として煙たがられています。もうこの世におさらばしようと決めたオーベの家の隣に、イランからの移民一家が越してきます。3人目を妊娠中の妻パルバネは、人とのコミュニケーションにおいて、一瞬ためらう、やる前に迷う、という事が一切ありません。親切は考えた末にやめてしまう私にとって、パルバネの真っ直ぐさは衝撃的です。遠慮などしてたら生きてはいけないし、生き抜くためにオーベの本質を見抜く目も持っていたのでしょう。

 オーベが死のうとすると、若き日の幸せだった自分と妻の映像が蘇ります。大体それは隣の一家に邪魔されて現実に戻るのですが、死のうと思っていた数分後には、もう怒ったり駆け出したりしている。人の気持ちって本当にこんな風です。ちょっとお茶を飲んだり、ちょっと外へ出たりすると、さっきまでの絶望的な気分はどこかへ行ってしまう。またその反対に、体をぶつけ合って笑っていたオーベとパルバネが、どちらかの一言で瞬く間に険悪な雰囲気になる。そしてその後、また気分は変わります。人の暮らしって、人生って、だましだましだなあとつくづく思います。

 正論ばかり振り回す、出来ることなら近づきたくないオーベに、周りの人達が優しいのはきっと亡妻ソーニャが積み上げた遺産でもあったのでしょう。そして、オーベの最期にパルバネがすぐに気づいたのは、オーベが毎朝欠かすことがなかった日課のせい。それはオーベがこの世をより良く生きた証のようでした。そしてオーベの胸の上で彼を見守っていたもの、それも彼がこれまでの人生をどんなふうに生きてきたかを物語っていたのでした。


@ヒューマントラスト渋谷

by cuckoo2006 | 2016-12-29 17:15 | 洋画 | Trackback | Comments(0)

「さざなみ」監督アンドリュー・ヘイ

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「解説」長年連れ添った夫婦の関係が1通の手紙によって揺らいでいく様子を通し、男女の結婚観や恋愛観の決定的な違いを浮かび上がらせていく人間ドラマ。結婚45周年を祝うパーティを土曜日に控え、準備に追われていた熟年夫婦ジェフとケイト。ところがその週の月曜日、彼らのもとに1通の手紙が届く。それは、50年前に氷山で行方不明になったジェフの元恋人の遺体が発見されたというものだった。その時からジェフは過去の恋愛の記憶を反芻するようになり、妻は存在しない女への嫉妬心や夫への不信感を募らせていく。「スイミング・プール」のシャーロット・ランプリングと「カルテット!人生のオペラハウス」のトム・コートネイが夫婦の心の機微を繊細に演じ、第65回ベルリン国際映画祭で主演男優賞と主演女優賞をそろって受賞した。(eiga.comより)


 一言では感想が言い表せない映画でした。

 土曜日に結婚45周年パーティを控えた夫婦のもとに、月曜の朝、
夫が、妻と出会う前に付き合っていた恋人が事故で落下した氷山の中、当時の姿のまま発見されたという知らせが入ります。

 心身ともに眠り込んだように暮らしていた夫の心は大きく揺れ出します。病後の夫に寄り添うように過ごしていた妻の心にもさざなみが立ち始めます。

「My〇〇(恋人の名)」と言ってしまったこと。
「もし事故がなかったら彼女と結婚した?」という妻の二度の問いかけに二度とも
「YES!」と答えてしまったこと。
デリカシーに欠けた夫の致命的なミスに妻の心のさざなみは大きく広がります。

 美しさの面影を残しながらも、鏡には夫と出会ってから半世紀を刻んだ自分自身が映ります。そこへ氷の中で眠った20代のままの夫の恋人が登場する。あまりに良くできた残酷過ぎる設定です。

 心に空洞を抱えたまま生きている夫の目の前に、輝いていた過去が現れる。夫の心は一気に恋人の眠るスイスの氷山へと飛んで行ってしまいます。

 そして、迎える結婚45周年パーティ。夫の感動的なスピーチの後、夫婦は結婚式の時と同じ曲でダンスをします。ラストシーンの妻は・・・あれこそ現実でしょう。

 一緒に観た性格が男前の友人は、スイスになどいくらでも行かせてやれば良い、という意見。私は全く不本意ながら、妻の言動のすべてに共感してしまいました。

 老後はそれでなくても病気など苦労の種があるのだから、出来得る限り夫婦間に無用な波風を立ててはならない。墓場まで持っていく言葉を口にしてはならない。それが最低限にして最大限の相手への愛である、というのが一番の感想になりました。

@銀座シネスイッチ

by cuckoo2006 | 2016-05-21 13:17 | 洋画 | Trackback | Comments(0)

「おみおくりの作法」監督監督ウベルト・パゾリーニ

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解説:孤独死した人を弔う仕事をする民生係の男が、故人の人生を紐解き、新たな人々との出会いから、生きることとは何かを見つめ直していく姿を描いたイギリス製ヒューマンドラマ。「フル・モンティ」「パルーカヴィル」などのプロデューサーとして知られるウベルト・パゾリーニが監督・脚本を手がけ、「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」「戦火の馬」のエディ・マーサンが主演。人気ドラマ「ダウントン・アビー」のジョアンヌ・フロガットらが共演した。ロンドンに暮らすジョン・メイは、孤独死した人を弔う民生係として働いてきたが、人員整理で解雇を言い渡され、自宅の真向かいに住むビリーの弔いが最後の案件になる。これまでも誠実に故人と向き合い、弔いをしてきたジョンだったが、最後の仕事にはいつも以上に熱心になり、故人を知る人を訪ね、葬儀に招く旅を経て、心の中に変化が生じていく。(映画.comより)


 スクリーンに近さを感じました。
終始淡々とした色合いで主人公の日常が進んでいきます。ですからスクリーンを見ているのではなく、実際に目の前で繰り広げられている光景を眺めている感覚がありました。そして実生活においてと同じように色んな思いが浮かんでは消えていきます。客観的に映画を観ているのと違う不思議な感覚がありました。

 ジョン・メイは、市の民生係として身寄りのない人を弔う職務を20年以上続けています。故人の歴史や宗派、好みの音楽まで調べあげ、心を尽くした葬儀を執り行ってきました。葬儀に参列するのは牧師の他は毎回ジョン・メイ唯一人。そして彼は、見送った人の写真を自宅のアルバムに一枚ずつ貼ります。自分の友人か、または自分自身のように。

 ジョン・メイ自身の内面を現わすような質素で秩序正しい日常が描かれるなか、彼を肯定する気持ちと違和感とが同時に湧いて、落ち着かない気持ちになりました。

 こんなふうに故人の最期に心を寄せる人が一人でも居ることがせめてもの救い、という思い。しかしジョン・メイが探し当てた故人の身内は、ことごとく葬儀参列の依頼を強く拒否する。彼の誠意の限りを尽くした仕事によっていったい誰が救われているのかという疑問も湧いてきます。職場の年若い上司が言うように、「限りある時間と予算は生きている者に効率良く使うべきだ」も残念ながら正論に思えます。

 ジョン・メイのシンプルで折り目正しい生活スタイルには心地良さを感じました。そして小さなご褒美のような良いこともあります。トラックが落としていったアイスクリームだったり、ホームレスとの酒盛りだったり、胸躍る出会いだったり、、、

 物語は淡々としたトーンから、不条理劇のような様相を見せ、現実から乖離した形で終わります。人生の最期がどうだったかなどは何の問題でもない。生まれて生き、人との淡い交流を経て死んでいく、それで良いのだ、というすべてを肯定する安心感に包まれました。何だかスゴイ映画でありました。


@銀座シネスイッチ

by cuckoo2006 | 2015-03-11 20:40 | 洋画 | Trackback | Comments(0)

「フライト」監督ロバート・ゼメキス

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解説
「フォレスト・ガンプ 一期一会」のロバート・ゼメキス監督がデンゼル・ワシントンを主演に迎え、「キャスト・アウェイ」以来12年ぶりに手がけた実写作品。フロリダ州オーランド発、アトランタ行きの旅客機が飛行中に原因不明のトラブルに見舞われ、高度3万フィートから急降下を始める。機長のウィトカーはとっさの判断で奇跡的な緊急着陸に成功。多くの人命を救い、一夜にして国民的英雄となる。しかし、ウィトカーの血液中からアルコールが検出されたことから、ある疑惑が浮上し……。第85回アカデミー賞で主演男優賞、脚本賞にノミネートされた。(eiga.comより)


 エンドロールが流れ出すと、隣と後ろから「いい映画だったねえ」という声が聞こえてきました。ハイ、私も今年の暫定ベスト1です。

 この映画の魅力は、何と言っても様々な要素が盛り沢山に楽しめること。冒頭の飛行機墜落事故の場面は、逆さまになった事故機に自分も乗ってるような迫力です。事故が起る前の、コックピットでの機長ウィトカーの言動は、嫌味で自信家で信頼できない人物そのもの。しかし、ひと度緊急事態が発生すると、これ以上ない有能な機長となる。どーんと肝っ玉が据わり、大胆さと緻密さで難局を乗り切ります。

 このシーンで思い出したのは、日航ジャンボ機墜落事故のボイスレコーダーに残った機長の声、でした。「どーんと行こうや!」を最後に録音は途絶えたのでした。機上でのアクシデントは死に直結する。その現実対応力こそ機長に求められる能力なのですね。それにしても、(映画の方の話ですが)、極限状態におけるプロの手腕は、人格や人間性などとは一切関係なく、ひたすら高度な技術と強靭な精神力が要求されることが良く分かります。

 事故後は、ガラリと雰囲気を変え、ウィトカー機長の内面へ焦点が当てられます。機長が隠す彼自身の過失について、観る者は全部分かっているわけです。追い詰められた機長の胸中を駆け巡る、自負、恐怖、女性乗務員への罪の意識、、、。別居中の妻子に拒絶され、死んだ父の家に身を隠すウィトカーの心中に全面的に感情移入してしまいます。

 ウィトカー機長は、熟練の操縦技術やスマートな身のこなしで、辛うじて体裁を保ってはいたが、既に身も心も破綻状態だったことが露呈してきます。事故原因究明の公聴会前夜の“毒を食わば皿まで状態”の場面を大袈裟とは思えませんでした。これが現実でしょう。

 出来レースの公聴会の最後の質問に対しては、やはりあの「答え」しかありませんでした。あんなの綺麗事だ、とは全く思わなかった。航空会社の敷いたレールに乗っていた彼の人生を思うと背筋が凍ります。

 最後の面会シーンに現れたのは、あの人物一人。これが、もう効いていた。これほど暖かい気持ちになったラストシーンは久しぶりです。ああ、いい映画だった!私も思わず声に出したくなりました。


@TOHOシネマズ錦糸町


★次回は、小川洋子の「最果てアーケード」です。

by cuckoo2006 | 2013-03-30 18:19 | 洋画 | Trackback | Comments(0)